ここ数年でリモートワークという働き方が広がって、“おうち時間”が増えた人も多いのではないでしょうか。とかく孤独になりがちな在宅ワーク。心の潤いや癒しを求めて自宅に観葉植物を取り入れる人が急増したといわれています。

そんな中、観葉植物をペットのように溺愛し、名前を付けて話しかけることはもちろん、成長記録をつけるなどして観葉植物との濃密な日々を送る観葉植物マニアたちの存在がちらほらと見受けられるようになってきました。

なぜ彼らはこれほどまでに観葉植物との暮らしにのめり込むのか。心を癒すという以外にも、情熱を激しく掻き立てる理由があるのでは……!? 観葉植物マニアたちの心をひも解きつつ、観葉植物沼の魅力を勝手に語ります!

最近突然気になり出した、観葉植物沼にハマる人たち

観葉植物

長年スニーカーやらB級映画やらサブカル界隈に生息してきた筆者は、どちらかというと人が作ったもの、人工的に形作られたものに心惹かれてきました。ところが最近は欲しいスニーカーを手に入れることよりも、お気に入りの一足で公園に出かけ、季節を彩る花々に心奪われたり風に触れたりすることでこそ喜びを感じ、満ち足りる気がするのです。

かくいう私も在宅ワーカー。ここ数年は直接人と会う機会が減り自宅にこもる時間が増え、無意識のうちに自然を求めていたようです。


ふと目に留まった観葉植物だらけのお部屋
かくしてなんとなく自然というものに心惹かれていた私は、時々観ていたとあるお笑い系動画配信者の動画に映し出されるその人の部屋が、観葉植物で埋め尽くされていることに気付きました。いえ正確には、それまでは何の気なしに見ていたその部屋が、ものすごく“偏っている”ということに気付いたのです。

なぜそんな部屋になったのか。その配信者の過去動画を漁ると、仕事でスベったときに買って帰ったら癒されて、それからスベるたびに買って増えていった、という発言に行き当たりました。自然や植物を求める行為は人間の本能といってもよいのかもしれません。


観葉植物界隈、想像以上に大賑わい
この配信者のSNSを観ると、時々観葉植物の写真が投稿されています。その投稿からは植物への深めの愛がひしひしと伝わってきて、それを観た人たちの「癒される」「自分も育てている」といったコメントも多く残されていました。ついでに #観葉植物 でハッシュタグ検索をするとものすごい数の投稿が出てきて、観葉植物マニアのアカウントもすぐに見つけられます。

どうして人は観葉植物に魅かれ、観葉植物沼へとハマっていくのか。ちょっと気になったので、観葉植物マニアさんたちの生態や観葉植物の魅力を調べてみることにしました。

観葉植物マニアさんたちの生態

鉢植えと芽

まずInstagramやnote、Twitter、ブログなどネット上で観葉植物に沼る人たちを捜索。ざっと調べてみただけでもすぐに次のようなマニアさんたちに出会えます。

・鉢植えが所狭しと並べられたジャングルのような部屋に住む人。
・観葉植物を主役にして部屋のインテリアをコーディネートする人。
・植物名に「さん」などの敬称を付けて呼んだりする人。
・観葉植物の観察日記を付けてSNS上で公開する人。

こうした観葉植物マニアさんたちの生態を勝手にざっくり次にまとめてみました。


生態1:観葉植物に囲まれて暮らしてる
観葉植物マニアさんたちの多くが、植物を中心とした部屋づくり・インテリアを楽しみ、マニアという名に恥じないほどたくさんの植物に囲まれた暮らしを送っています。コレクション系の趣味を持つ人は趣味のアイテムで部屋が埋め尽くされがちですが、観葉植物も種類が多く、育てる楽しみの他に集める楽しみもあるようです。


生態2:人や動物に対するときと同じように観葉植物と接する
観葉植物に「さん」などの敬称を付けて「ウンベラータさん」などと呼んだり、植物を新たに購入したときには「新しい子をお迎えする」と表現したりするマニアさんたちのSNSやブログを時々見かけます。彼らにとって観葉植物たちは、手塩にかけて育てた子どものようでありペットのようであり、とても身近で大切な存在であることが伝わってきます。自分の生活に密接にかかわり、共に寄り添い、一緒に暮らしているという感覚が強めの人もいるようです。


生態3:映えなくてもとにかく写真を撮ってる
推しの魅力を伝えたり推しの成長記録を残したりするときには、文字よりも写真が有効な手段だったりする様子。多くの観葉植物マニアさんたちが推しを自慢すべく褒められるべく、とにかく写真を撮ってSNS上でUPしているのが印象的です。

映えや美しさにこだわる人は、どうしたら我が家の「ウンベラータさん」が居心地よさそうに見えるのか、光の入り方や背景はどうか、どの鉢との組み合わせが素敵なのか。そんな考察を交えながら撮影しています。さらにはどんな角度が可愛いか、いじらしいか、イケメンか。一緒に撮影するものは何が似合うのか、コーヒーかしら紅茶かしら、それとも水差しかしら霧吹きかしら。などと練りに練った構図で撮影した写真も多数見受けられます。

一方成長したり変化があったりした部分に寄った、ちっとも映えない写真を淡々とストイックなまでにUPしている人もいます。角度を変えて何枚も何枚も。推しのささやかな変化を愛しむように。

こだわり派もストイック派も、どちらのマニアさんたちも愛情ダダ漏れで、とてもクールです。見る人によってはなんの変哲もない写真もあるかもしれませんが、そんなのはお構いなし。だって我が子の可愛さは親である自分が一番わかっているのだもの――列挙された写真からはそんな胸アツな主張や揺るがない信念が見えてくるようで、グッと心を掴まれます。

観葉植物の魅力と沼るワケ

たくさんの鉢植えに植わった植物

観葉植物マニアさんたちの生態をみてきたところで、やはり気になるのは彼らを沼落ちさせる観葉植物の魅力とはどんなものなのかということ。マニアさんたちを追う過程で見えてきた観葉植物の魅力と沼る理由を次に挙げていきます。


育てる喜びを知って沼るらしい
植物の醍醐味はなんといっても育てることにあるのではないでしょうか。水をあげれば元気になったり、個々に合った育て方をすればそれに応えてすくすく育ってくれたり。植物が成長していく様子はなんとも可愛くて愛おしい! 育てる面白さや達成感、喜びを実感できるのは、観葉植物の持つ大きな魅力といえそうです。

こうした育てる楽しさを味わうには、まず数多くある観葉植物の中から育てやすい種類を選ぶことが大切です。どれどれちょっと観葉植物沼を覗いてみようかという初心者の方は、ウンベラータ、パキラ、サンスベリア、多肉植物など育てやすい種類を選ぶとよいでしょう。

植物を育てた成功体験は自信となり、栽培難易度を上げながらさまざまな品種にチャレンジし、どんどん沼にハマっていく……といったケースは多いようです。


推し植物と運命的な出会いをすることもあるらしい
観葉植物マニアさんたちのSNSやブログは、よく見かけるものから珍しい(のであろう)ものまで、さまざまな植物たちの写真で賑わっています。観葉植物は種類が豊富で、選ぶ楽しみがあることも魅力のひとつのようです。

もしそんな数多ある植物の中から唯一無二の推しに出会えたとしたら……それすなわち沼落ち確定といっても過言ではありません。とにかく沼落ちを経験してみたいという方は、推し植物を見つけることから始めるとよいでしょう。推しに出会うためにはInstagramやPinterestなどのSNS、また写真集などに目を通し、常日頃から理想を思い描くこと(イメトレ)、直感やフィーリングを大切に過ごすことです。もちろんできるだけグリーンショップなどに足を運び、植物との出会いの機会を増やすことも大事であるようです。


突出した個性や稀少性のある塊根植物も魅力的らしい
観葉植物に沼る人の中には、次第により個性的でインパクトのあるもの、また稀少性のあるものに惹かれていく人も多いよう。その代表格のひとつが塊根植物(かいこんしょくぶつ)、別名コーデックスです。

塊根植物は水分を蓄えるために根や茎、幹などが太く膨らんでいるのが特徴的で、パキポディウム・グラキリウス、パキポディウム・デンシフローラムなどの品種が人気を集めています。その独特なフォルムに「うわっきもっ!」と感じる方もいるようですが、歪さや異質さは圧倒的な存在感となり、心奪われる人も多いそうです。

また塊根植物の中には稀少で高価な品種があったり、同じ形状のものがひとつとしてなかったり、成長が遅く一年を通して数ミリしか伸びない健気な品種もあったりするなどほかにはない魅力がたっぷり。見た目はもちろん、コレクション性があり強めの愛着も抱きやすいことから、観葉植物沼経由で塊根植物沼にズブズブとハマる人もいるようです。

観葉植物には沼落ちしやすくなる決定的な魅力があった!

ガジュマルとメモ帳

さて、観葉植物マニアたちの魅力的な生態や観葉植物に沼る理由をみてきましたが、観葉植物界隈で見かけたみんなが共通して言っているのは、「緑があると心が落ち着く」ってこと。そりゃそうですよね。植物ってリラクゼーションやリフレッシュ効果、空気清浄効果があって、さらには適度な湿度を与えてくれるってことも知られているのだから。結局のところ、観葉植物のいちばんの魅力って「癒される」ってことなのかも。つまり観葉植物マニアの人たちは、究極の癒しを求める探究者なのかも(?)しれません。

ってあれこれ勝手に語ってきちゃいましたが、ひとつ買ってみようかな。配信者さんの部屋にも飾ってあって初心者にも育てやすいというパキラさんを。自分も観葉植物好きになれるといいな……!