1. オーガニックとは?

2. 紛らわしい?オーガニックと混同されがちな言葉

3. オーガニックの目的とは?

4. オーガニックには認証規格がある?

5. オーガニック製品を試してみよう

1段落 オーガニックとは?

色とりどりの野菜

農林水産省によると、オーガニック(有機農業)とは、主に以下の3つの定義に当てはまる農産物を指します。

 1. 化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない

 2. 遺伝子組換え技術を利用しない

 3. 農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減する

安定的に農作物を育てるため、多くの農家で合成農薬が使用されています。しかし、そうした農薬が野菜に残留し、体に何らかの害をもたらす可能性を心配する人は少なくありません。

オーガニックで作られた農産物は化学合成農薬や化学肥料を使用していないため、そうした人々に支持されています。

また、野菜や穀物などのみを摂取し、乳製品なども含めた動物性食品を一切取らないヴィーガンにも、オーガニックに注目している人は多くいます。ヴィーガンについて詳しく知りたい人は、「ヴィーガンとは?実践目的やベジタリアンとの違い、注意点を解説」をご覧ください。

※引用:農林水産省「【有機農業関連情報】トップ ~有機農業とは~」(2024年2月8日)

 

1‐1 オーガニックは有機農業とほぼ同義

「オーガニック(organic)」を日本語に訳すと「有機の」という意味になります。つまり、オーガニックと有機農業はほとんど同義の言葉です。

「オーガニック」と名乗るために設けられている基準は国ごとに異なりますが、ドイツ・ボン市に本部を置き、有機農業推進活動を行う「IFOAM(国際有機農業運動連盟)は」、オーガニックの基本原則として「健康」「生態系」「公正」「配慮」の4つを掲げています。

その根底にあるのは、「健康や命は単体では成り立たない」ということ。人や動物、植物、微生物など、すべてがお互いに影響しあいながらつながっているため、すべてのものを平等に扱いながら、全体がより良く生きられるように配慮されている技術を利用することが求められています。

紛らわしい?オーガニックと混同されがちな言葉

落ち葉でOrganic

オーガニックと混同されがちな言葉には、主に以下の4つがあります。

 ● 無農薬

 ● エシカル

 ● ボタニカル

 ● サステナブル

以下で、それぞれの言葉との違いを詳しく解説します。

 

2‐1 「オーガニック」と「無農薬」の違い

結論からいうと、オーガニックだからといってすべての農薬を使ってはいけないわけではありません。オーガニックは天然物・天然物由来の一部の農薬(※)に限り、使用していいことになっているので、オーガニック=無農薬というわけではないことを頭に入れておきましょう。

無農薬は、文字のとおり種類を問わず一切の農薬を使用しないということ。しかし、完全な無農薬栽培にはいくつかの難しい事情があります。

事情として大きいのは「ほかの田畑から農薬が飛んでくる恐れがあること」。まわりにある田畑で農薬を使用している場合、それが風で飛んでくることにより、無農薬野菜に付着する恐れがあり、それによって“完全なる無農薬野菜”とはいえない場合があります。

また、無農薬で育てることで害虫などの駆除を手作業で行わなければならず、手間がかかるうえ、行き届かない場合は農作物を食い荒らされ、販売できなくなってしまう可能性があります。そのため、農薬を使うことは必ずしも“悪”というわけではないのです。

(※)JAS(日本農林規格)が認定している農薬のみ

 

2‐2 「エシカル」「ボタニカル」「サステナブル」との違い
オーガニックと混同されがちな言葉には、「エシカル」「ボタニカル」「サステナブル」もあります。以下は、それぞれの意味合いについてまとめたものです。

言葉           意味                                  
オーガニック化学合成農薬・肥料を使わない有機栽培や有機食品のこと
エシカル人や地球、環境、社会などに配慮した考え方や行動のこと
ボタニカル植物から作られたものや植物に関係したもののこと
サステナブル「持続できる」「持続可能な」「ずっと続けられる」という意味

 

このように、オーガニックと3つの言葉には明確な違いがあります。オーガニックが農作物・畜産物に限定しているのに対し、ほかの3つは考えや行動など、比較的ジャンルを問わないのが特徴です。

オーガニックの目的とは?

畑を下から

それでは、オーガニック食品は何を目的として選ばれているのでしょうか。

オーガニックの目的は、大前提として「人と自然の調和を図り、すべての命を幸せにすること」。先述したとおり、国際NGO「IFOAM(国際有機農業運動連盟)」は、オーガニックの基本法則として「健康」「生態系」「公正」「配慮」の4つを掲げています。

以下で、それぞれについて詳しく解説します。

 

3‐1 すべての「健康」のため

オーガニックを「健康」とイメージする人は多いでしょう。しかし、ここで意味する健康とは、自分だけのものではありません。

例えば、私たちが口にする新鮮な野菜や肉は、健康な土壌や環境がなければ健康に育ちません。自分の健康に繋がるまでに、さまざまな“健康”をクリアしていかねばならないのです。また、健全な食物連鎖を成り立たせる中で、脅かすものがあればそれらから守ることも必要です。

このように、作物に関係するすべての「健康」をクリアしてはじめて「オーガニック」といえるのです。

 

3‐2 生態系や環境に配慮した生活のため

オーガニックの目的として「生態系や環境に配慮した生活のため」もあります。生態系のバランスを壊さずに自然と共に生きていくためには、資源を生態系の中で循環させていかなければなりません。

例えば、牛や豚など陸上の動物が生きるためには、水や空気だけでなく、植物や動物などのエサとなる生き物が必要です。また、そのエサとなる生き物が育つためには、水や空気、土壌環境などが不可欠です。

このように、生態系はどれかひとつ欠けるだけでもバランスが崩れてしまいます。オーガニックは、合成農薬や化学肥料を制限しながら使うことで、土壌・水源などの汚染を減少させ、生態系への影響を軽減しています。

 

3‐3 生産から消費までにかかわるすべての人の公正のため

生産から消費まで、オーガニックに関わるすべての人や動植物の命が公正な関係であることも、オーガニックの重要な目的です。

一つの商品が消費されるまでには、生産や加工から梱包、輸送、販売まで細かい工程があり、それぞれすべてに人が関わっています。この工程の中で不正があったり、強制労働があったりしては、公正な商品(オーガニック)とはいえないのです。

つまり、オーガニックとは健康や自然への配慮だけでなく、労働問題すらもフェアでなければ成り立たないのです。

 

3‐4 次世代への配慮のため

オーガニックの4つ目の目的は、「次世代への配慮」。オーガニックは自然や生物、人々への配慮や敬意を持ちながら、次世代へ繋いでいます。

一方で、化学合成農薬を使うことはコスパを重視した人間中心の思考と考える人もいます。化学合成農薬を使うことで、作物の生産性が向上し、消費者に野菜を供給することができます。しかし、使用された化学合成農薬が野菜に残留している事実を知ると、嫌悪感を覚える人がいるのも事実です。

農業技術は日々発展・進歩しています。しかし、すべての技術が将来的にも安全であるとは誰も断言できません。オーガニックは私たちのためだけでなく、次世代の人間に安全で暮らしやすい環境を引き継ぐために必要な取り組みなのです。

オーガニックには認証規格がある?

店の野菜コーナー陳列棚

基準は国ごとに異なりますが、オーガニックには認証規格があります。ここからは、私たちが日常の買い物で判別できる認証規格を解説します。

 

4‐1 オーガニック食品は農林水産省の「有機JAS規格」

かつては農林水産省の定めた有機農作物の表示ガイドラインに基づき、各生産者が自主的に「オーガニック」を名乗っていましたが、その品質はバラバラでした。そんな中で2001年にできた制度が「有機JAS認証」です。

有機JAS認証マークとは、生態系や自然、環境に可能な限り負荷をかけないように生産された農産物・畜産物と、それらを原料とする加工品に関して、書類や現地調査を経て合格した商品にのみ記載できるもののこと。太陽と雲と植物をイメージしたデザインが特徴です。

認証を受けるための審査対象は生産者のみならず、小分け事業者や輸入業者も含まれます。

2024年現在、有機JAS認証マークを付けられるのは、主に以下のカテゴリです。

 ● 有機農産物(野菜や果物・穀物など)

 ● 有機加工食品(ジャム・調味料など)

 ● 有機畜産物(食肉・乳製品など)

 ● 有機飼料(家畜が食べる干草や藁・ペレットなど)

 ● 有機藻類(昆布やわかめなどの海藻など)

 ● 有機酒類(日本酒やワインなどのアルコール類)

有機酒類は2023年10月1日から追加されたもので、有機加工食品のJAS認証を取得すると、アルコール類にも「有機」「オーガニック」などと表示できるようになりました。

 

4‐2 オーガニックコットンは「GOTS認証」や「OCS認証」など

オーガニックコットンは「GOTS認証(Global Organic Textile Standard)」や「OCS認証(Organic Content Standard)」の審査に合格する必要があります。

以下は、2つの認証の違いを表にまとめたものです。
 

        GOTS認証                     OCS認証                   
運営団体・会社Global Standard gGmbHTextile Exchange
運営開始年2006年2011年
認証条件

●     Organic(organic in conversion):使用する繊維の95%以上が認証されたオーガニック繊維であることなど

●     Made with (x %) organic materials:原料の70%以上がオーガニックであることなど

●     OCS 100:認証済みオーガニック原材料を95%以上含むこと

●     OCS Blended:認証を受けた原料を5%以上95%未満使用すること(残りの原料が同一素材の場合にも適用)

対象糸や生地、衣服、ホームテキスタイル、ベッド用品などすべてのテキスタイル(繊維製品)

 

「GOTS認証」「OCS認証」のどちらもラベルが2種類あり、それぞれの基準は異なるので注意が必要です。

 

4‐3 オーガニックコスメには「ECOCERT」や「COSMOS認証」など

オーガニックコスメには、「ECOCERT(エコサート)認証」と「COSMOS(コスモス)認証」の2つがあります。

1991年に設立された「ECOCERT(エコサート)認証」とは、フランスにあるトゥールーズに本部を置く国際有機認証機関のこと。オーガニックコスメに対する認証基準はとても厳しいといわれており、審査は土壌づくりから始まります。製造工程やボトルにおいても地球環境への配慮がされているかなど、その厳しさは細部に至ります。

一方、2010年に誕生した「COSMOS(コスモス)認証」とは、COSMetic Organic and Natural Standardの略。COSMOS(コスモス)認証が誕生してからは、各国のオーガニック認証団体が終了し、2017年1月からCOSMOS(コスモス)認証が設けた基準での認証に統一されました。

 

4‐4 他の国の認証マークも

オーガニックには、他の国の認証マークも存在します。以下は、5つのオーガニック認証を表にまとめたものです。

認証名          内容                                      
USDAオーガニック認証アメリカ農務省(United States Department of Agriculture)が管轄するオーガニックプログラム制度のもと行われる認証制度で、日本の「有機JAS」に相当する
EUオーガニック認証EUの政策執行機関である欧州委員会(Europian Commission)が制定する、オーガニックの規則に沿って生産や加工されたものであることを証明する制度のこと
ACO(エーシーオー)2000年に設立されたオーストラリア最大の有機農法であるバイオダイナミック農法の認証機関
AB(エービー)1985年にフランス政府が制定した有機農作物の証
国際フェアトレード認証発展途上国を中心に、生産者・加工者の人権を守り、適正な労働環境・取引価格を保証することを示すラベル

オーガニック製品を試してみよう

野菜サラダ

この記事では、オーガニックについて詳しく解説してきました。オーガニック製品に興味がある人は、もしかしたら自分のライフスタイルを見直している最中なのかもしれません。

オーガニックでなければ食べない!使わない!という考え方ではなく、体に良いものを取り入れたいと思うことや、今自分にできることから取り組むという姿勢が身も心も健康に近づく一歩となるのではないでしょうか。

ぜひ、この機会にオーガニック製品を試してみたり、気になる商品に認証マークが付いているかチェックしたりしてみてくださいね。

5PM Journalでは、あなたがハッとする気づきを与える記事を幅広く掲載しています。あなたの人生がより豊かになる一つの選択肢として、ぜひチェックしてみてください。

参考サイト

https://www.ecocert.com/ja-JP/%E8%AA%8D%E8%A8%BC%E8%A9%B3%E7%B4%B0/natural-and-organic-cosmetics-cosmos

https://eleminist.com/article/1881

https://smartagri-jp.com/food/473

https://moa-japan.org/whyorganic/

https://www.biodic.go.jp/biodiversity/possibility/tools/files/WEB_ikitomo17.pdf

https://journal.amasiastore.jp/certifiedmark/cosmos/

https://eleminist.com/article/1750

https://joca.gr.jp/certification/gots/#:~:text=GOTS%E3%81%AF%E3%81%9D%E3%81%AE%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%81%AE%E5%AE%9F%E6%96%BD%E6%A9%9F%E9%96%A2%E3%81%A8%E6%B3%95%E4%BA%BA%E6%A0%BC%E3%82%92%E6%8C%81%E3%81%A4Global%20Standard%20gGmbH,%EF%BC%88%E9%9D%9E%E5%96%B6%E5%88%A9%E6%B4%BB%E5%8B%95%E6%9C%89%E9%99%90%E4%BC%9A%E7%A4%BE%EF%BC%89%E3%82%92%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%BE%8B%E3%81%AB%E5%9F%BA%E3%81%A5%E3%81%84%E3%81%A6%E8%A8%AD%E7%AB%8B%E3%80%81%E6%A7%8B%E6%88%90%E3%81%AF%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8A%E6%9C%80%E9%AB%98%E6%84%8F%E6%80%9D%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E6%A9%9F%E9%96%A2%E3%81%AEAC%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%80%81%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%94%B9%E5%AE%9A%E3%81%A8%E8%AA%8D%E8%A8%BC%E3%81%AE%E7%B5%B1%E6%8B%AC%E3%82%92%E6%8B%85%E3%81%86SC%E5%9F%BA%E6%BA%96%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A%E3%80%81%E7%B5%8C%E5%96%B6%E3%81%A8%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%82%92%E6%8B%85%E3%81%86%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%80%81%E3%81%84%E3%82%8D%E3%81%84%E3%82%8D%E3%81%AA%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%81%A7PR%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%86Regional%20Representatives%EF%BC%88%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E4%BB%A3%E8%A1%A8%EF%BC%89%E3%80%81GOTS%E3%81%AE%E6%89%BF%E8%AA%8D%E3%82%92%E5%BE%97%E3%81%9F%E8%AA%8D%E8%A8%BC%E6%A9%9F%E9%96%A2%E3%81%A7%E6%A7%8B%E6%88%90%E3%81%99%E3%82%8BCertifier%20Council%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

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https://spaceshipearth.jp/sustainable/

https://more-nature.com/1001

https://ethicaljapan.org/what_is_ethical

https://mutenka-hiroba.com/difference#i-2

https://oco45.net/yuukijas/

https://www.isis-gaia.net/hpgen/HPB/entries/555.html

https://eleminist.com/article/2744