80年代のバブル期、若者を中心に爆発的なブームを巻き起こした<スキー>。いまでも冬の定番アクティビティとして楽しまれているが、『もっともっとスキーの楽しさを知ってほしい!』と伝えたくてたまらない人、それは編集者の渡邊卓郎。多くの人にこの想いを届けたいがあまりフリーマガジンまで制作を始めた彼が、ここでも思う存分魅力を語ります。第一回は張り切って、ちょっぴり大げさに。

日本の雪ってワールドクラスなんです

はじめまして。編集者の渡邊卓郎です。

みなさん、スキーをしていますか? いきなり暑苦しいかと思いますが、スキーって最高で、とんでもなく楽しいということを言わせてください。そして日本の雪山は世界最高峰。例えるならば、サーフィンでいえばハワイやバリ島の波のような、ワールドクラスの雪が冬の日本にはあるんです。

その例えじゃまだよくわからない?カレー好きにとってのインドとか、韓流アイドル好きにとってのソウルとかでしょうか。よくわからないけど、気持ちだけでも伝わったなら嬉しいです。とにかくワールドクラス!これは、冬は日本の雪山で遊ばないともったいないと思いませんか?

 

日本の最高の雪を求めて海外からたくさんスキーヤー、スノーボーダーがやって来ます。みなさん好きですねえ~。

スキーって楽しくてかっこいいんです

そんなスキーの魅力に魅せられてしまった僕は、『SKI CLUB』というフリーマガジンを仲間と一緒につくっています。スキーの楽しさとかっこよさを伝えたい!というものすごくシンプルな思いで、スキーを愛するさまざまな方々の力を借りて制作しています。

スキーをテーマにはしているのですが、『SKI CLUB』には急斜面を疾走するライディングの写真や、バックカントリースキーでものすごい大自然の中を雪煙を上げて滑っている写真が載っているわけじゃありません。
その世界ももちろんかっこいいし憧れるんですけれど、多くのスキーヤーや、これからスキーを始めてみようかな? という人にとっては遠い世界のことに感じられてしまうのでは?と思ったのです。なので、『SKI CLUB』は奥深いスキーの世界の入り口に位置する雑誌です。なるべくたくさんの人のスキーの扉を開くきっかけになればいいなと願っています。

 

『SKI CLUB』vol.2。キャッチコピーは「スキーに行こうよ!」。まずはとにかくスキーの世界にお誘いしたいのです。

僕自身、ものすごいライディングができるわけでもないし、崖みたいな斜面をスキーを担いで登るスキルもありません。でも、冬になるとスキーのことで、雪山のことで頭がいっぱいで真っ白になるのです。

スキーは親に連れられて子どもの頃からやっていましたが、社会人になってからは家が神奈川だったこともあり、雪山に行く車もないし、ギアを買うお金もないし……と、いろんな理由があってスキーから遠ざかっていました。

湘南に暮らしているので海にばかり目を向けていて、夏も冬も関係なくサーフィンだ!釣りだ!と海に夢中になっていたという理由もありますが、とにかく、ほとんどスキーのことは忘れていました。

八甲田山でパカーン!と何かが開く音がした

そんなある日、仕事で雪山に行くことになったのです。行き先は青森県の八甲田山。厳冬期には6mくらいの雪が積もる大豪雪地帯です。そして、その時は知らなかったのですが、スキーヤーにとっての聖地の一つでもあります。

樹氷の撮影のためにスキーが必要だってことで、借り物のスキー道具とウェアを着込んで山の上へ。なりゆきに任せて20年ぶりのスキーです。八甲田ロープウェイに揺られて上がった山の上の世界は息を呑むほどの大絶景で最高なのですが、スキーで滑り降りることを考えると急に不安に……。「滑れるのか?俺は」

なにせ20年ぶりだったのでおそるおそるだったんですけど、「あ、曲がれた」「あ、滑れるかも」「あ、楽しいかも」と思った時には、もう脳内でパカーン!と何かが開いた音が聞こえました。スノーモンスターと呼ばれる樹氷の森の壮大な景色、フワフワの雪を滑る浮遊感、日常では体験できないスピード感、そんな全てに胸の奥がじんわりとあたたかくなったんです。そうです僕は心の底から感動していたのです。

 

八甲田山の絶景! 滑らなくても最高に美しいけど、この景色の中をスキーで滑るなんて気持ちよさそうでしょう?

八甲田山の雪って多いし、ものすごく軽くて気持ちいいんです。パウダースノーでのターンなんて知らないから転んでばかりなんですけど、ヒザくらいの高さに積もった雪をかき分けるようにしてビューンと滑る感覚は、雲の上にいるようで(行ったことはないけど)気持ち良すぎて興奮を抑えるのが大変でした。

地球と繋がる、といったらちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、まさにそんな感覚を体験できたんです。

「え、なんだこの感覚。スキー、楽しすぎるじゃないか!」そう思った僕の脳内にはアドレナリンとかドーパミンとかエンドルフィンやら、いろんなものが溢れ出ていたと思います。

それ以来スキーと雪山の虜です。ギアを揃えて冬はスキーへ。仕事をくっつけては雪山へ。各地に行きました。

北米やヨーロッパのスキー場にも行く機会があったのですが、結論を言うと日本の冬、日本でのスキーって最高なんです。雪の質も素晴らしいですし、アフタースキーは最高の温泉が待っています。スキーと温泉。この中毒性あるコンボを覚えてしまったら、スキー沼からもう抜けられません。コーヒーとドーナツ、またはビールと餃子、それくらい相性がいいんです。

と、まだまだスキーと雪山の魅力についてはあげていくとキリがないのですが、ほんの少しでも伝わったなら嬉しいです。これだけは言えます。スキーと雪山が好きになったら、寒い冬が楽しくなっちゃいますから。そんなスキーの楽しさ、カッコよさは『SKI CLUB』でも発信していますが、ここでも語らせてもらいますね!