もくじ

マインドフルネスとは?

深呼吸をする人

マインドフルネスとは、心を「今」に向けている状態のことです。忙しく過ごしている私たちは、「今」を生きていても、心や頭の中は「過去」や「未来」を考えています。とくに、過去の失敗や未来の不安などのネガティブなことは深く考えがちです。考え込んでしまうと、ストレスとなって身体のさまざまなところに不調をきたす可能性があります。

マインドフルネス瞑想を取り入れることで、「今」の瞬間だけを意識できるようになるため、ストレスや疲れが軽減するのです。

マインドフルネスは仏教の瞑想に由来していると言われています。1979年頃より医療行為として取り入れ始め、21世紀からはビジネスでも注目されています。

 

ビジネスシーンでも注目されている理由

近年、ビジネスシーンでもメンタルケアが重要視されているため、マインドフルネスが注目されています。ビジネスパーソンのストレスは増すばかりで、うつなどの気分障害に悩む人も珍しくありません。

精神疾患を有するほどのストレスが増えてきた理由には、世界環境の劇的な変化が挙げられます。リーマンショック・自然災害の増加・新型コロナウイルス感染症の流行など、心に大きな負担を与える出来事が多々ありました。

これらのことから、見えない未来の不安ばかり考えるような、ストレスや不安を感じやすい状況が生まれています。このような現代では、自分の心身のケアを意識的に行う必要があります。心身のケアは仕事力の向上にも繋がるため、マインドフルネスを実践する企業が出てきたのです。

 

医療現場でも取り入れられている

マインドフルネスは心理療法として、マインドフルネスストレス低減法やマインドフルネス認知療法が医療現場で取り入れられています。

マインドフルネスストレス低減法は、過去の失敗や未来の不安から距離を置き、今の瞬間に豊かさを感じられる方法です。一方マインドフルネス認知療法は、認知行動療法の一種であり、うつ病の再発予防プログラムとして確立されています。どちらも副作用のある可能性は低いため、現在でも用いられています。

マインドフルネスのメリット

起床

マインドフルネスにはストレスや不安の軽減に加えて、集中力の向上や睡眠の質の向上など、さまざまなメリットがあります。うまく取り入れることで、仕事や生活の質を上げることが可能です。

 

ストレスや不安の軽減

マインドフルネスの大きなメリットは、ストレスや不安の軽減です。人間は過去や未来の出来事にストレスや不安を抱きます。マインドフルネスにより心を「今」に向けることで、過ぎてしまった過去やまだ見えない未来を考え過ぎても仕方がない、と考えられるようになります。

また、自分を客観的に見られるようになるため、感じていた怒りや悲しみなどの感情をコントロールできるようになるところもメリットです。

 

集中力の向上

「今」だけに意識を向けることによって、集中力が高まります。これは、余計なことを考えずに「今」だけを感じられるからです。集中力が高まると、仕事のパフォーマンスアップが期待できます。仕事をこなすスピードが上がったり、今までは処理しきれなかった難易度の高い仕事もこなせたりするでしょう。

 

睡眠の質の向上

ストレスや不安の軽減によって、睡眠の質も向上します。ベッドに入ってもなかなか寝付けない、しっかり寝たつもりでも疲れが取れないなど睡眠の質が悪いのは、ストレスや不安が原因の場合もあります。

マインドフルネスの実践によって心も身体もリラックスできる状態になれば、呼吸が深くなり、睡眠の質の向上が期待できるでしょう。
 

初心者でも簡単!マインドフルネスのやり方

椅子

マインドフルネスの手法として「瞑想」が用いられます。瞑想は1回の実施で効果が出ることもありますが、一般的には継続的に行うことで、徐々に効果を高められます。マインドフルネス瞑想は、毎日続けることが重要です。初心者でも挑戦しやすい、マインドフルネスのやり方を紹介します。

 

基本的な姿勢

いすに腰かけて行う、床に座って行うそれぞれのケースでの基本的な姿勢を紹介します。いすに腰かけて行う場合の、手順とチェックポイントは以下のとおりです。

 1. 椅子に腰かける
 腰かける際は、背もたれにもたれず浅く座ります。正しい姿勢で腰かけるために、骨盤を垂直に立てるイメージで、足の裏をしっかり地面につけることを意識しましょう。

 2. 背筋を伸ばす
 背骨がまっすぐ伸びるイメージで、頭のつむじを真上に向けるように意識します。

 3. 腕を下ろして手は膝の上にのせる
 腕を下ろす前に肩を数回まわし、胸を大きく開いた状態で腕を下ろしましょう。

 4. 目を閉じてゆったりと構える
 周りの状況を確認できるよう半目でも問題ありません。

床に座って行う場合はあぐらをかいて座り、上半身の姿勢を椅子に腰かける場合と同じです。

 

呼吸を整える

いすに腰かける場合と床に座る場合のどちらの姿勢でも、「呼吸」を意識しましょう。呼吸の整え方は以下のとおりです。

 ● 腹式呼吸で行う
 自然な呼吸を心がけます。

 ● 呼吸の流れを意識する
 集中力が途切れるなど雑念が入った場合は中断して仕切り直します。

 ● 5~10分ほど呼吸を意識したら自分に意識を戻す

最初から10分意識するのは難しい場合があります。まずは数分から始めて徐々に伸ばしていくと、無理なく続けられるでしょう。
 

マインドフルネス瞑想のポイント

瞑想をする人

マインドフルネス瞑想に成功も失敗もありません。毎日継続することで効果を感じられます。

 

良し悪しを判断しない

瞑想を良い、悪いと判断しないようにしましょう。誰でも気分が乗らない日や集中できない日はあります。気になることがあって集中できない、雑念が入って呼吸を意識できないなどがあっても落ち込む必要はありません。

瞑想が途中で途切れてしまっても焦ることなく、そのような日は早めに切り上げましょう。日を改めれば、自然と意識を瞑想に向けられます。マインドフルネス瞑想は、ありのままを受け入れることがポイントです。

 

毎日継続して行う

マインドフルネス瞑想は、毎日続けることで効果が高まるとされています。毎日実践できるタイミングに取り入れて習慣化しましょう。

毎日続けるには、無理をしない程度で短時間でも実践することです。必ず10分は続けると決めてしまうのではなく、「今日は気分が乗らないから2分だけ」「今日はゆっくり時間をとれるので10分行おう」など、気分に合わせて時間を変えても構いません。

毎日続けることで、最近ストレスが減って身体が軽くなった、仕事の効率が上がったなどの変化を感じられるようになるはずです。
 

効果は科学的に実証されている

オーロラ

マインドフルネスは、科学的にも効果が実証されています。研究によると、マインドフルネス瞑想を8週間続けることで、脳の海馬や扁桃体に良い効果が見られました。海馬は記憶や学習を司る脳の部位で、ストレスによって萎縮します。マインドフルネス瞑想によってストレスが緩和されると海馬が厚くなり、学習力や仕事の効率アップにも効果的です。

一方扁桃体は、不安を感じることで動きが活発になります。活発になると小さなストレスに対しても過敏に反応してしまい、不安障害やうつ、パニック障害などの精神障害につながりかねません。マインドフルネス瞑想を実践すると、扁桃体の動きが緩やかになります。

このように、マインドフルネスは実際に感じられるメリットだけでなく、脳への良い効果があります。
 

8週間マインドフルネスのプログラム

伸びをする女性

マインドフルネスは、以下のプログラムをこなして習慣化させるのが大切です。習慣化できるまでの8週間のプログラムを紹介します。瞑想する時間や場所をあらかじめ決めておくことで、取り組みやすくなりますよ。

しかし、マインドフルネスは毎日続けることが重要です。その日の調子によっては、時間を短縮するなど工夫しましょう。

参照:「8週間でマインドフルネスに取り組む方法

 

【1週目】「身体と呼吸の瞑想」(1日1回)

1週目は心を安定させるために「身体と呼吸の瞑想」を行います。身体と呼吸の瞑想によって、自分の心を「今」に意識させられるようになります。呼吸を意識した瞑想だけでなく、短い瞑想として食べる瞑想をすることで、今の瞬間としっかり関われるようになるでしょう。

食べる瞑想とは、食べながら行う瞑想のことです。食材一つひとつの色・形・香り・味・食感・喉ごしを意識しながら食事します。

 

【2週目】「ボディスキャン瞑想」(1日1回)

あらゆるものの見方が、自分自身の物事への反応に影響を与えるという考え方を学ぶために、ボディスキャン瞑想を練習します。ボディスキャン瞑想では、感覚や思考パターンを観察して、ストレスに対する反応への気づきを養います。

人間は頭で考えながら生活しがちですが、ボディスキャン瞑想を行うことで、感覚的に集中することが可能です。

 

【3週目】「マインドフルな動きの瞑想」「呼吸と身体の瞑想」(1日1回づつ)/「3分間呼吸空間法」(1日2回)

3週目は、1週目・2週目で習得した内容を発展させた、「マインドフルな動きの瞑想」「呼吸と身体の瞑想」「3分間呼吸空間法」を行います。マインドフルな動きはヨガを元にしているため負担は少なく、初心者の方でも取り入れやすい瞑想です。

これらの瞑想によって、精神的・身体的な限界に到達したときに、自分の反応をより明確に理解できるようになります。心と身体を結びつけられるようになるため、それぞれの変化に気づけるようになるでしょう。

これまで自分の精神状態がどのようになっているのか、なぜ不安を感じるのか自分でわかっていなかった方でも冷静に理解でき、原因を自ら取り除けるようになります。

 

【4週目】「呼吸と身体の瞑想」「音と思考の瞑想」(1日1回づつ)/「3分間呼吸空間法」(1日2回)

4週目はこれまで行った「呼吸と体の瞑想」「3分間呼吸空間法」に加えて、「音と思考の瞑想」を行います。音と思考の瞑想では、音と同じように自分の中に現れた思考も消えていくものとして捉えられるように練習します。

身体にかかる負荷に対してコントロールする能力が身につき、ストレスのかかる状況にうまく対応できるようになるのが、4週目の学びです。

 

【5週目】「呼吸と身体の瞑想」「音と思考の瞑想」「困難を探索する瞑想」(1日1回づつ)/「3分間呼吸空間法(1日2回+必要なときいつでも)

5週目では、3・4週目の瞑想を引き続き行いつつ、「困難を探索する瞑想」を行います。この練習では、逃げたくなるような困難に出会ったときにも、逃げずに向き合うことを学びます。

5週目の瞑想によって、人間関係や仕事で乗り越えなければいけない壁にぶつかったとしても、自分で解決へ導けるようになる、自ら未来を切り開くことが可能です。

 

【6週目】「呼吸と身体の瞑想」「思いやりの瞑想」(1日1回づつ)/「3分間呼吸空間法」(1日2回+必要なときいつでも)

6週目は5週目をさらに発展させた内容です。「思いやりの瞑想」によって、日常生活においても優しさと思いやりを持って物事を考えられるようになります。これまで頭に浮かんでいた否定的な考えが消えていくかを学ぶ週です。

人間は失敗したり自分の悪い部分を見つけてしまったりすると心が慌ただしくなりがちですが、6週目の瞑想によって、自分自身にも優しさと思いやりを持てるようになります。

 

【7週目】好きな瞑想を2つ選んで実施(1日1回づつ)/「3分間呼吸空間法」(1日2回+必要なときいつでも)

7週目では、瞑想を利用して自分に関わることの選択をうまくできるようになることを目指します。人間はストレスや疲れを感じると、差し迫ったことよりも重要なことを優先しがちです。そのため、自分のことはつい後回しにしてしまいます。その瞬間は上手くいったとしても、自分にはまったく優しくありません。

7週目の瞑想によって、周りで起こった事柄を上手に選択できるようになり、自分に対しても優しくなれます。自分に優しくなれることは、いずれストレスや不安も消えていくことに繋がります。

 

【8週目】好きな瞑想を2つ選んで実践(1日1回づつ)/「3分間呼吸空間法」(1日2回+必要なときいつでも)

8週目はこれまでのまとめです。マインドフルネスをしっかり意識しようとしなくても、日常生活に取り入れられることを目指します。

これまでの瞑想で、自分がストレスや疲れを感じている、心が敏感になっているなどの変化を自分で感じられるようになっています。自分の心の変化を感じて必要と思えば、いつでもマインドフルネスを活用しましょう。「今」を感じられてストレスや疲れが軽減していきます。
 

瞑想は寝ながらもできる

ベッド

瞑想によっては寝ながらでもできるものがあります。座って瞑想するのが苦手な方や、日中に瞑想の時間が取れない方におすすめです。

瞑想を始めたばかりの方は、正しい姿勢を意識しすぎるあまり、腰の痛みや身体の痺れが出る場合があります。無理して瞑想を継続すると体に大きく負荷がかかるだけでなく、瞑想の効果を感じられずに挫折してしまうかもしれません。

寝ながらできる瞑想なら姿勢をただす必要もないため、体に大きな負担はかからずリラックスした状態で瞑想に集中することが可能です。

瞑想はある程度時間を確保する必要があり、焦って行うものではありません。そのため、日中は忙しくて時間を確保するのが難しい方もいるでしょう。寝ながら行う瞑想であれば、忙しい方でも就寝前や起床後にベッドで実践できます。

 

寝ながら瞑想のメリット

寝ながら瞑想のメリットは、以下のようなさまざまなメリットがあります。

 ● 短時間でスッキリできる

寝ながら瞑想はよりリラックスした状態でできるため、周りの雑音などを遮断しやすく集中力が高まります。そのため、短時間でも脳がスッキリできます。このスッキリ感は、15分程度昼寝した後の爽快感と同様です。これから集中して取り組みたいことがあるときにもおすすめです。● 座って行う瞑想よりも感覚を意識しやすい
寝る体制は身体の多くの部分が床に接しているため、身体が床に触れている感覚や呼吸によるお腹の膨らむ感覚を意識しやすくなります。瞑想は腹式呼吸が基本ですが、慣れてない方にとっては難しいものです。腹式呼吸が上手くできない場合は、あえて寝ながら瞑想を行うことで習得しやすくなります。

 ● 睡眠の質を高めやすい
就寝前に寝ながら瞑想を行うと、入眠がスムーズになります。睡眠の質が高まり、日中のパフォーマンスも上がります。ストレスや疲れによってなかなか寝付けないなどの悩みがある方は、寝ながら睡眠を実践してみましょう。

瞑想にまだ慣れていない方や睡眠の質に不安がある方は、寝ながら瞑想もおすすめです。

 

寝ながらできる瞑想の種類

寝ながらできる瞑想には、以下のような種類があります。

 ● 呼吸瞑想

 ● ボディスキャン瞑想

 ● 慈悲の瞑想

 ● シャバアーサナ瞑想

 ● ヨガニードラ瞑想

それぞれどのような瞑想なのか、またその効果を紹介します。

 

呼吸瞑想

呼吸瞑想とは自分の呼吸に意識を向ける瞑想法のことで、さまざまある瞑想法の中の基本となるものです。呼吸瞑想を習得することで、ストレスが軽減したり集中力が向上したりする効果が期待できます。

 

ボディスキャン瞑想

ボディスキャン瞑想とは身体の感覚に意識を向けて、自らで観察する瞑想法です。リラックス効果が高く睡眠の質が上がるため、睡眠前におすすめします。ボディスキャン瞑想を習得することで、身体のコンディションの状態に気づく能力も上がります。

 

慈悲の瞑想

慈悲の瞑想とは、自分と他者を思い浮かべながら行う瞑想法です。まずは自分の幸せを願い、次に周りの大切な人の幸せを願います。慈悲の瞑想によって共感力が高まる、良好な人間関係を築けるなどの効果が期待できます。

 

シャバアーサナ瞑想

シャバアーサナ瞑想とは、寝転がった状態で身体を床に預けて全身の力を抜いて行う瞑想法です。ヨガで馴染みのあるしかばねのポーズで行います。シャバアーサナ瞑想は、内臓や目の疲労に効果的です。仕事の合間のリフレッシュにもおすすめします。

 

ヨガニードラ瞑想

ヨガニードラ瞑想とは、眠りにつく前のリラックスした状態を維持するために行う瞑想法です。眠る直前には、シータ波と呼ばれる海馬との関係が強い微弱な電波が脳から出ています。ヨガニードラ瞑想を行うことで、シータ波が出る状態を維持でき、記憶力やひらめき力を高めることが可能です。また、自律神経の調整に効果があるため、生活習慣の乱れを整える手段としてもおすすめします。
 

自分にあったやり方でマインドフルネスを行おう

伸びをする女性

マインドフルネスとは、「過去」や「未来」のネガティブなことから心を離して、「今」に意識を向けることです。マインドフルネス瞑想を日常に取り入れることで、ストレスや不安から自分を遠ざけられて、「今」の瞬間だけを意識できるようになります。

私はボディスキャン瞑想を取り入れることで、スムーズに寝付けるようになりました。身体も軽くなり、物事に対して前向きに取り組めるようになっています。習慣化させるには8週間のプログラムをこなすことがおすすめですが、初心者の方は私のように取り組みやすいものからチャレンジしてみましょう。

5PMJourmalでは、暮らしを豊かにする情報を発信、ブランドをセレクトして紹介しています。ぜひご覧になってみてください。

 

【参考サイトURL】

マインドフルネスとは?瞑想の実践方法と日常に取り入れるメリット
 

「マインドフルネス」とは?めい想の方法・効果と「呼吸のめい想」のやり方
 

「マインドフルネスストレス低減法とは?」ー今に集中し、心の平穏を見出す
 

マインドフルネスとは?認知行動療法との関係性も解説
 

マインドフルネスとは?意味・効果・瞑想のやり方を初心者向けに解説
 

マインドフルネスとは?【意味をわかりやすく】瞑想、やり方
 

心療内科の治療で重要な「扁桃体」とは?
 

8週間でマインドフルネスに取り組む方法
 

MBSR(マインドフルネスストレス低減法)8週間コース
 

『寝ながら瞑想』のやり方とは?寝ながらでも簡単にできる方法3選
 

『ボディスキャン瞑想』とは?具体的なやり方・得られる効果を解説!
 

ひらめき力アップに役立つ可能性があるシータ波って何?
 

『慈悲の瞑想』とは?効果・やり方を解説!慈悲のフレーズやコツも紹介
 

『食べる瞑想(マインドフルイーティング)』のやり方とは?ダイエット効果や血糖値を下げる効果も!