もくじ
マインドフルネスとは?
マインドフルネスは、パーリ語の「sati(サティ)」サンスクリットでsatiにあたる「smṛti」が語源だと言われています。
マインドフルネスは、漢字で表すと「念」であり、仏教の世界で現実をありのままにとらえる意味合いと重なる部分があります。
マインドフルネスの歴史
マインドフルネスの概念が医療に導入されるようになったのは、1970年代のことで、「マインドフルネスストレス低減法」という治療プログラムとして活用され始めました。
1990年代には、こちらと精神療法として知られる認知行動療法とが統合され「マインドフルネス認知療法」が誕生しています。
マインドフルネスは、東洋の「禅」をルーツとし「逆輸入」されたメソッドとして生み出されたもの。再発予防効果の実証など化学的裏付けを重ね、今もなおさまざまなシーンで活用されています。
マインドフルネスの種類
「今、目の前のことに集中する」ことで、リラックスしたり穏やかな気分になったりと、ストレスフルな現代人にとって嬉しい効果が期待できるマインドフルネス。
ここからは、数あるマインドフルネスの種類を、一つずつご紹介していきます。
・ビジネス分野「サーチ・インサンイド・ユアセルフ」
ビジネスの分野で知られるマインドフルネスは、Googleの社員であったチャディー・メン・タン(Chade-Meng Tan)が開発したプログラム「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(Search Inside Yourself)です。
エモーショナルインテリジェンス(EQ)を高めたり、職場ストレスを軽減したり、創造性をアップさせたり、さまざまな面で効果が期待されています。
・医療分野「マインドフルネス・ストレス低減法」
1979年にジョン・カバット・ジン(Jon Kabat-Zinn)博士が開発したプログラムが、マインドフルネス・ストレス低減法(Mindfulness-Based Stress Reduction、MBSR)です。
主に痛みの緩和やストレスの低減、そのほかにも身体的・精神的健康問題を緩和する目的で取り入れられています。また、先ほど触れた「マインドフルネス認知療法」は、うつ病の治療にも用いられています。
仏教に基づいた説法
仏教におけるマインドフルネスは、自分自身の今、ここでの行動や判断の仕方をありのままに観察し「今に心を向けた状態」を指します。
仏教の教えのなかで中心的な概念のひとつである「正念(マインドフルネス)」を通じて、自分自身の内面を深く観察し、心の平安と知恵を得ることをめざします。
マインドフルネスの効果
この章では、マインドフルネスを取り入れることによって期待できる、さまざまな効果をご紹介します。
集中力や記憶力の向上
集中するほどに穏やかな気持ちになり、自分の心と身体に素直に向き合うことができるマインドフルネス。心の雑念を軽減し、今この瞬間に集中する能力が高まった結果、集中力や注意力、記憶力が向上すると言われています。
コミュニケーション力の向上
マインドフルネスを取り入れることによって、相手の言葉や感情に寄り添うことができ、より深い理解と共感できる心が養われます。またマインドフルネスによって常に冷静な判断ができるようになるため、対人関係の質が向上し、信頼と協力を築くことにも役立ちます。
自己認識能力の向上
自分の思考、感情、行動を深く観察するマインドフルネスは、無意識に行っている自身のパターンや反応に気付くことができるため、自己認識能力の向上にもつながります。また、日常的にマインドフルネスを実践することで、ストレス管理や感情の調整をしやすくなると言われています。
セルフマネジメント力の向上
マインドフルネスで自分の「今」に集中することで、自身を客観的に見られるようになったり、不安や怒りなどのネガティブ感情とも距離を取れたりと、セルフマネジメント力向上が期待できます。
マネジメント力の向上
上記のように、セルフマネジメント力が向上すると、相手を思いやる気持ちの余裕が生まれます。そうするとチームのストレス管理や集中力、共感力、意志決定力なども高まるのです。
とくに、リーダーやマネージャーなどチームを束ねる立場にある方がマインドフルネスを取り入れることで、より高いリーダーシップ力を発揮できることでしょう。
発想力の向上
クリエイティブな仕事に就いている方だけでなく、あらゆる仕事においてより良いパフォーマンスをするために、発想力の向上は大切な要素です。
マインドフルネスを取り入れることで、自分自身を等身大で冷静に分析できるため、自己管理がしやすくなります。そうするとそのほかのさまざまな考えを受容できたり、発想が生まれたりと良い効果が期待できます。
ストレス耐性の向上
マインドフルネスは、呼吸を整えることを基本にしているため、自律神経を安定させる効果が期待できます。その結果、ネガティブな思考のクセから抜け出すことができ、ストレスへの耐性も向上すると考えられています。
マインドフルネス瞑想
心理学的治療として用いられているマインドフルネスは、始めるにあたって特別なものを用意する必要がないことも、広く普及している要因のひとつなのでしょう。
数あるマインドフルネス瞑想のひとつ「呼吸瞑想法」は、呼吸に意識を向けるシンプルで取り組みやすいものがあります。可能であれば毎日、難しければ週に1回でも取り組むことで効果を実感しやすくなるでしょう。
マインドフルネス瞑想のやり方
ここからは、具体的なマインドフルネス瞑想(呼吸瞑想法)のやり方を解説します。
基本的な姿勢
【いすに座って行う方法】
深めのいすに浅めに腰かけます。この時、骨盤を起こした状態であごを引き、背筋を伸ばします。合わせて、肩の力を抜いておきましょう。
【床に座って行う方法】
床に座って行う場合は、両ひざとお尻で体重を支えるような姿勢を取りましょう。腰を立て、背筋をしっかりと伸ばして行います。
呼吸を整える
軽く目を閉じ、手の力を抜いてひざの上へ置きます。足裏がしっかりを床についていることも意識してみてください。
呼吸を整えるためには、下記のことを意識しましょう。
● 下腹部に軽く力を入れる
● 息を吐き出してから、呼吸をする
● 鼻から吸い込んだ空気が胸へと流れ込む様子を観察する
● 3分ほど、この呼吸を続ける
呼吸のリズムや息つぎのインターバルなどにも注意をはらってみましょう。
「ボディスキャン瞑想」という方法もある
ボディスキャン瞑想とは、マインドフルネス瞑想の一種で、身体感覚を観察する瞑想法です。この章では、ボディスキャン瞑想のやり方をご紹介します。
ボディスキャン瞑想のやり方
ボディスキャン瞑想は、リラックスした姿勢で、自分の体の感覚や感情に集中するもので、身体の感覚をありのままに感じ取ります。
身体と心のつながりを深めるとともに、ストレスの軽減に役立つとも言われているメソッドです。
・基本的な姿勢
仰向けの姿勢で身体の力を抜きます。
・呼吸を整える
呼吸をコントロールするのではなく、あくまでも自然な呼吸を意識しましょう。身体の各部位に意識を向け、細かく感覚を感じ取ります。
ボディスキャン瞑想のコツ
ここでは、ボディスキャン瞑想を行う際に、知っておきたいコツをご紹介します。
・感覚を無理に感じようとしない
身体を動かさずに、身体の一部に意識を向けるようにします。
部位によっては感覚を受け取れない場合もあるため、無理をせず「感覚が受け取れないことに気が付く」ことも大切だと考えると良いでしょう。
・リラックスできる環境で行う
ボディスキャン瞑想は、快適な温度と服装を取り入れ、リラックスできる環境で行いましょう。心地よく感じられる温度を保ち、身体の感覚を妨げない服装、窮屈に感じない服装を選ぶことが大切です。
・プロのインストラクターに誘導してもらうのもおすすめ
ボディスキャン瞑想を一人でやるのは難しい場合もありますよね。そのような場合は、プロのインストラクターに頼ると、より実践しやすくなります。自己流で行わないよう、プロのインストラクターが開催するワークショップや講習会に参加するのも良いですね。
ほかにも通いやすいヨガスタジオやコミュニティセンターなど、適した環境とインストラクターが在籍する環境を探すと、マインドフルネスをより取り入れやすくなるでしょう。
そのほかにマインドフルネスを実践できる方法
このほかにも、下記のように気軽に行えるマインドフルネスがあります。
● 歩きながらの瞑想
歩きながら、自分の体の動きや感覚、呼吸に集中する瞑想です。視線は前方に固定し、周囲を見ずに行います。部屋の中やトイレの行き帰りなどでも気軽に行えます。
● 食べながらの瞑想
いただく食べ物をよく観察し、丁寧にしっかりと一口ずつ噛み味わうものです。味の変化を観察したり、ゆっくりと飲み込んだりして時間をかけて食事を楽しみます。
● ヨーガ瞑想
呼吸と身体の動きを連動させ、心と身体を実感し労わるというものです。鼻呼吸を基本として、息を吸う時に身体をゆるめ、吐く時に緊張させる動作を数回繰り返して行います。ヨーガ瞑想を行うことで、痛みやかゆみなどの不快感を受け止められるようになると言われています。
マインドフルネスを行う際の注意点
マインドフルネスは心身を健やかに保つために役立つと言われていますが、行う際にはいくつかの注意点があります。下記を確認しておきましょう。
目的をはっきりさせる
マインドフルネスを行う前には、目的を明確にしましょう。
例えば、下記のように具体的な目的をはっきりさせておくのがおすすめです。
● ストレスを軽減したい
● 集中力を高めたい
● リラックスしたい
● 自己管理したい
● ネガティブな感情と距離を置きたい
● 日々を満ち足りた気分で送りたい など
このように目的を明確にすることで、マインドフルネスの種類を適切に選ぶことができます。また、継続的に取り組むモチベーションにもつながりますよ。
雑念を払う
マインドフルネスを実践する際には、雑念を取り除くことが大切なポイントになります。雑念が浮かんできた時には、それを無理に排除しようとせずに、自然に流すよう心がけましょう。その際、下記を意識するとより深いマインドフルネスを実感できます。
● 呼吸に意識を集中させる
● 特定の感覚に注意を向ける
● 雑念が湧いてきても、そこから距離を置き冷静に見つめる
練習を重ねることで、思考は表れては消えていく一過性のものだと気付き、雑念を上手に扱えるようになるでしょう。
マインドフルネスが向かない人
今すぐにでも始められるマインドフルネスは、気軽に取り組みやすいものですが、「マインドフルネスが向かない人」もいます。下記は、その一例ですのでチェックしてみてください。
過度に不安やストレスを感じている人、精神疾患を抱えている人
重度のうつ病など精神疾患を抱えている人は、マインドフルネスによって症状が悪化してしまう可能性があると言われています。
マインドフルネスを実践中にトラウマがフラッシュバックされたり、パニックに陥ったりと予測のつかない症状が出ることも想定しておく必要があります。マインドフルネスによって感情が不安定になる可能性もあるため、実践前には必ず医師に相談をしましょう。
過度に自己批判的な性格の人
自己観察を行うマインドフルネスは、自己批判をしてしまったり、否定的な感情に捉われたりする可能性があります。このことにより、ストレスや不安を増大させる結果となることも想定されます。
身体的な制約がある人
マインドフルネスの一部の方法には、一定の姿勢を保つことが求められる場合があります。そのため、身体に痛みや不快感がある場合はそれがストレスとなる可能性もあります。無理をせず、医師と相談しながら、身体の状態に合わせた方法を取り入れましょう。
マインドフルネス瞑想に役立つアプリ5選
最後に、マインドフルネス瞑想を行う際に役立つアプリを5つご紹介します。音声や映像でのガイドがあると実践しやすいため、参考にしてみてください。
寝たまんまヨガ
ヨガスタジオ「スタジオ・ヨギー」を運営しているヨギーが企画・制作しているアプリで、 現役のトップインストラクターが、レッスンを行うように癒しの声とリズムでガイドしてくれます。睡眠導入、疲労回復、気持ちのリフレッシュに役立つ、「寝たまんま」で実践可能なヨガ&瞑想アプリです。
日々の不安やストレスを感じている方、穏やかな気持ちで過ごしたい方におすすめです。
【対応機種】
【料金】
無料・アプリ内課金有り。
有料コンテンツは、月額課金ではなく、気に入った作品をずっと楽しめる買い切り制(1作品300円~)となっています。
【主な機能】
● ナレーションの雰囲気を確認できる試聴機能
● いつでもどこでも聴けるオフライン再生
● お気に入りのタイトル(作品)のブックマーク機能
● Google Fit連携でマインドフル時間を記録
● アカウントログイン機能
Calm(カルム)
『 2018年ベストアプリ受賞』 Apple社、『2017年最優秀アプリ』 Apple社に輝いたマインドフルネスアプリCalm(カルム)。
第一線で活躍する心理学者、セラピスト、メンタルヘルスの専門家、メディアに推奨されているアプリで、瞑想を初めて行う方、経験豊富な方どちらにも向いています。ガイド付き瞑想は、さまざまな長さが用意されているため、使う人のスケジュールに合わせて活用できます。
【対応機種】
【料金】
無料・アプリ内課金有り。
月額1,650円の月間サブスクリプション、年額6,500円の年間サブスクリプションがあります。
【機能】
● ビギナーから上級者まで、自分のペースで楽しめる7日間のマインドフルネスプログラム
● Calm限定スペシャルな音楽:睡眠、集中、リラクゼーションに着目した会員様限定の音楽を集約
● サウンドスケープ:波の音、雨音、キャンプファイヤー、小川のせせらぎなど、睡眠導入に役立つサウンド集
● リラックスを促す呼吸のエクササイズ
● 時間別のガイドなし瞑想
● 瞑想やヨガ、眠りにつく前のひと時に、30種類以上の心地よい自然音と風
● 連続達成日数を確認可能
● マインドフルな時間/分を確認可能
Meditopia
心理学者とヨガ/マインドフルネスの現役インストラクターの監修により生まれた世界中で300万人以上のユーザーを誇るメンタルウェルネスアプリ「Meditopia」。マインドフルネスエクササイズ、瞑想、7日間の集中プログラム、眠れない時のための睡眠導入などのプログラムが用意されています。
【対応機種】
【料金】
無料・アプリ内課金有り。
月額プラン780円~、年額プラン6,000円~さまざまなプランが用意されています。
【機能】
● ダウンロード保存でいつでもどこでも楽しめるオフライン機能
● ヘルスケアアプリ連携
● 毎日新しいプログラムに出会える「日替わり瞑想」
● 毎日のインスピレーションをお送りする「今日の名言」
● 学習体験を記録できるノート機能
● 一目で振り返りができるマインドフルメーター
● 仲間と一緒にモチベーションアップできるチャレンジ機能
● 瞑想時間とおやすみ時間をお知らせするカスタムリマインダー など
BetterSleep(ベタースリープ)
BetterSleep(ベタースリープ)は、睡眠追跡、プレミアムスリープサウンド、厳選されたガイド付きコンテンツなどの機能があります。医師、神経心理学者、睡眠の専門家によって推奨されているアプリで、ユーザーの91%が1週間使用した結果よく眠れたと答えています。
【対応機種】
【料金】
無料・アプリ内課金有り
【機能】
● 就寝時のリマインダー
● 設定した時間が経過したらアプリを停止
● お気に入りのコンテンツを選択して、睡眠を促すプレイリストを作成
● シームレスで自然なサウンドミックス可能 など
Relook(リルック)
マインドフルネス瞑想アプリRelook は、医師監修の脳科学的に有効な音声を聞くだけで、睡眠導入や瞑想体験ができるアプリです。
ベッドの上で寝たままで、仕事中、勉強中、通勤中など、あらゆるシーンで活用できます。瞑想音声がリラックス感を与えるだけでなく、集中状態に導くと言われており、初心者の方でも音声ガイドに従うだけで瞑想を体験できるのもメリットです。
【対応機種】
【料金】
無料・アプリ内購入あり
【機能】
● 目的に応じたマインドフルネス瞑想コンテンツ
● マインドフルネス瞑想の記録
● 豊富な癒しの自然音、瞑想音楽が聞ける など
日常にマインドフルネスを取り入れよう
この記事では、マインドフルネスの取り入れ方や効果、おすすめのアプリなどをご紹介しました。マインドフルネスを日常に取り入れることで、ストレスを軽減したり、等身大の自分を冷静に分析し、ありのままに受け止められるようになったりと、良い効果が期待できます。
仕事や家事、寝る前など、短い時間でもマインドフルネスの時間をつくり、今この瞬間に意識を向けることで、集中力が高まり、効率もアップするでしょう。
5PMJournalでは、暮らしを豊かにする情報を発信、ブランドをセレクトして紹介しています。ぜひ、お好みでさまざまなコンテンツをお楽しみください。
【参考サイトURL】
マインドフルネスとは? 意味・効果・瞑想のやり方を初心者向けに解説
Google・Apple・ゴールドマンサックスでも活用! 『マインドフルネス』って何だろう? 「今、この瞬間」に注目することの重要性
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