もくじ
1.チョコレートが溶ける温度は何度?
2.チョコレートを溶かしたいときは?
3.チョコレートの保存方法
4.チョコレートを持ち運ぶときは溶けない工夫をしよう
5.チョコレートの保存・製菓は温度管理がカギ
チョコレートが溶ける温度は何度?
そもそもチョコレートが溶けるのは、チョコレートにココアバターが含まれているからです。
ココアバターとは、チョコレートの原料であるカカオ豆に含まれている油脂のことです。オリーブオイルやココナッツオイルなどのほかの油脂と同様に、ココアバターも低温で固まり高温で溶ける性質があります。
日本では、カカオ豆の油脂であるココアバターなどの油脂が一定量以上含まれているものがチョコレートと認められます。具体的には、全重量のうち60%以上をチョコレート生地が占めるものです。チョコレート生地に含まれるカカオ分は下記です。
・カカオ分が35%以上(ココアバターが18%以上)
・カカオ分21%以上(ココアバターが18%以上)でカカオ分と乳固形分の合計が35%以上
つまりチョコレートには油脂が多く含まれているため、周辺温度が高いと溶けてしまうのですが、具体的には何度を超えると溶け始めるのでしょうか。
出典:全国公正取引協議会連合会「チョコレート業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」
チョコレートが溶ける温度
チョコレートにたっぷりと含まれているココアバターは、25℃までは個体の状態を保っています。しかし、25℃を超えると少しずつ溶け始め、33~35℃を超えると完全に溶けてしまいます。
ただし、チョコレートはココアバターだけで作られているわけではありません。そのほかの成分も含まれることから、おおよそ28℃で溶けるといわれています。
実際にチョコレートを製造・販売している菓子メーカーも、「チョコレートは28℃以上になると溶けるため、28℃以下の涼しい場所で保管するように」と周知しています。
ただし、28℃ギリギリの場所では少し温度が変わっただけでチョコレートが溶けてしまう可能性があるので、15~22℃程度の場所で保管するのがおすすめです。
出典:
日本化学会「チョコレートのおいしさとサイエンス」
日本物理学会「チョコレートのおいしい物理学」
日本チョコレート・ココア協会「よくある質問」
チョコレートが溶ける温度は種類によって違う?
チョコレートが溶ける温度の目安は28℃ですが、種類によっては28℃以下でも溶ける可能性があります。
例えばホワイトチョコレートは、色が白いのでチョコレートとは別物と思っている方もいますが、カカオバターが18%以上使われているれっきとしたチョコレートです。
しかし、ほかのチョコレートよりも油分が多めなので温度の影響を受けやすく、26~27℃程度で溶けるといわれています。
生チョコレートは生クリームが使われているため水分が多く、普通のチョコレートよりも溶けやすいのが特徴です。商品によって異なりますが、多くの場合25℃以上になると溶けてしまいます。
チョコレートの中でも特に温度の影響を受けやすい生チョコレートが25℃以上で溶けるということは、「ほとんどのチョコレートは、25℃以下で保管すれば溶けない」といえます。
チョコレートを溶かしたいときは?
お菓子作りにチョコレートを用いるときには、あえて溶かして使うことが多いでしょう。ここではチョコレートを溶かす方法を解説します。
湯煎で溶かす
チョコレートを溶かす定番の方法が湯煎です。熱湯を使うとチョコレートのなめらかさや風味が落ちるので、50~55℃のお湯を使いましょう。手順は下記の通りです。
1.スムーズに溶けるようにチョコレートを細かく刻む
2.鍋で50~55℃のお湯を沸かす
3.鍋の上にチョコレートが入ったボウルを置き、混ぜながら溶かす
湯煎する際には、鍋を火から下ろしておきましょう。チョコレートに水が入ると油分が分離してうまく溶けなくなるので、水が入らないよう注意してください。
また、混ぜすぎるとチョコレートに気泡が入ってしまうので、空気が入らないよう静かに混ぜましょう。
なお、ケーキなどに混ぜるのではなく、トリュフなどチョコレートをそのまま使うお菓子を作るときにはテンパリングを行う必要があります。
テンパリングとは、チョコレートの温度を上げたり下げたりして、チョコレートの風味やツヤ、口どけをアップさせる手法です。
お湯と水で温度調整する方法や、温めたチョコレートに常温のチョコレートを追加して温度を下げる方法などがあるので、やりやすい方法を探してみましょう。
電子レンジで溶かす
電子レンジを使えば、より手軽にチョコレートを溶かせます。
1.スムーズに溶けるようにチョコレートを細かく刻む
2.500Wで50秒温めてヘラで混ぜる
3.500Wで40秒温めてヘラで混ぜる
4.500Wで30~40秒ほど温めてヘラで混ぜる
5.ヘラで混ぜながら余熱で完全に溶かす
加熱しすぎると分離したり焦げたりするため一気に過熱するのは避けて、様子を見ながら慎重に溶かしていきましょう。
チョコレートの保存方法
チョコレートのおいしさを損なわないように保存するには、保管場所と保管する温度に注意する必要があります。ここでは、チョコレートの正しい保存方法についてみていきましょう。
冷暗所が保存に最適
チョコレートの保存場所として最適なのは、15~22℃程度の乾燥した冷暗所です。日が当たる場所や湿気が多い場所だと、チョコレートが溶けたり傷んだりする可能性があるので避けましょう。
夏場は冷蔵庫で保存
お店でチョコレートが棚に並べられていることからわかる通り、チョコレートは常温保存可能で、基本的には冷蔵庫には入れません。
ただし、室内の温度が上がりやすい夏場は冷蔵庫に入れたほうが良いでしょう。匂い移り防止のために密閉できる袋や容器に入れて、温度が低すぎない野菜室で保存するのがおすすめです。
冷蔵庫から出してすぐに開封すると結露して味が落ちやすくなるので、常温に戻るまで放置してから開封しましょう。
長期保存は冷蔵庫を使う
チョコレートは、密閉できる袋や容器に入れて冷蔵庫で保存すれば長期保存できます。とはいえ、長く保存すると風味が損なわれるので、できるだけ早めに使い切りましょう。
チョコレートを持ち運ぶときは溶けない工夫をしよう
チョコレートを持ち運ぶときには、保冷バッグと保冷剤を使って溶けないように工夫しましょう。
ただし、急激に温度が変わると風味が落ちやすくなるので、保冷剤が直接当たらないように注意してください。また、湿気に弱いので密閉できる袋や容器に入れておきましょう。
チョコレートの保存・製菓は温度管理がカギ
チョコレートは種類に寄りますが、25~28℃程度で溶け始めます。また、急激な温度変化や湿気にも弱いので、持ち運びや保存の際には密閉できる袋や容器に入れる、保冷バッグと保冷剤を使うなどして温度管理を徹底しましょう。
お菓子作りに利用するときには、もっと高い温度で溶かす必要があります。ただし、加熱しすぎると風味が損なわれるので、湯煎で溶かす場合は50~55℃程度のお湯を使いましょう。
電子レンジを使う場合は一気に長時間加熱するのは避け、様子を見ながら数十秒ずつ加熱しましょう。
【参考URL】
チョコレート業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約|全国公正取引協議会連合会
ココアバターとはカカオ豆に含まれた油脂。チョコレートへの役割や成分も解説|株式会社明治
ホワイトチョコレートはチョコじゃない?白い理由と製造方法をご紹介|株式会社明治
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