もくじ

若者の話す言葉がわからない……

手で顔を伏せる男性

若者の話す言葉の意味が分からなくて困っている人は意外と多いといわれています。若者言葉を話しているグループを見かけると、「ちゃんとした日本語を使おうよ」と思うこともあるでしょう。

このような若者言葉に対する嘆きは、いつの時代も変わらないようです。鎌倉時代から南北朝時代にかけて活躍した随筆家・吉田兼好(兼好法師)も、『徒然草』のなかで、「たゞ言ふ言葉も、口をしうこそなりもてゆくなれ(近頃は、話し言葉もだんだん残念なものになっている)」と述べています。

しかし、「最近の若者は言葉が乱れている」と片付けてしまうのは少しもったいないかもしれません。とくに、身近に若者がいる場合は、言葉を理解することでコミュニケーションが円滑になります。

テレビや雑誌などのメディアでも若者言葉が使われるケースは少なくないため、時代に取り残されないためにも定番の言い回しを知っておくと便利です。

2024年、最新の若者言葉は「それガーチャー!ほんまゴメンやで」

2024年若者言葉ランキング

LINEリサーチ調べ(n=545)

早速、2024年に流行している若者言葉について確認していきましょう。

LINEリサーチの調査によると、高校生が選ぶ2024年に流行しそうな言葉1位は「それガーチャー! ほんまゴメンやで」が8.4%で圧倒的だったそう。

「それガチ? ほんとごめん」を意味するフレーズで、菊池風磨が主演を務めたドラマ内でのセリフが元ネタと思われます。

2位は「厳しいって」「それな」が2.8%で同率。4位は「チピチピチャパチャパ」などの動画で大流行した「猫ミーム」がランクイン。

TikTokやYouTubeのショート動画などでよく耳にするフレーズが多いのではないでしょうか.....!

2023年の流行語大賞の若者言葉を振り返る

メモに書かれた「2023Ranking」

1984年からスタートしたユーキャンの新語・流行語大賞。2023年の大賞は「アレ(A.R.E.)」でしたが、ノミネートされた30語のなかには、数々の若者言葉がありました。2023年の新語・流行語大賞にノミネートされた若者言葉を一覧で見ていきましょう。

若者言葉意味                                 

蛙化現象

(かえるかげんしょう)

・グリム童話『かえるの王さま』が由来

・好きな相手から好意を示された途端、嫌いになってしまう現象

ひき肉です/ちょんまげ小僧

・現役中学生6人組YouTuber「ちょんまげ小僧」の挨拶

・独特な声とポーズが話題となり、SNSを中心にブームとなる

Y2K

(ワイツーケー)

・Year 2000を意味する言葉

・2000年前後のテイストを取り入れたファッションのこと

 

若者言葉の多くはSNSがきっかけ

ノミネートされた若者言葉の多くは、SNSがきっかけで流行しました。SNSにはさまざまな種類がありますが、若者の間では、X(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどが人気です。日本は世界的に見てもX(旧Twitter)の利用率が高く、言葉が「文字」として広まりやすいといった特徴があります。

蛙化現象という言葉自体は新しいですが、「追いかけられるより追いかけたい」という考え方は以前より存在していました。ちょんまげ小僧の「ひき肉です」という挨拶は、勢いとテンポの良さが多くの人を惹きつけたのかもしれません。

Y2Kは、ファッションに関する若者言葉です。世界的なブームとなっているY2Kファッションについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

Y2Kファッションとは?ブームの理由や特徴的なアイテム、今までとの違いを解説 

 

2023年のネット流行語

「ニコニコ大百科」を運営する株式会社ドワンゴと、「ピクシブ百科事典」を運営するピクシブ株式会社は、独自の基準で選定するネット流行語100を毎年開催しています。2023年のネット流行語100では、次の言葉が表彰されました。

年間大賞      推しの子                                   
ニコニコ賞君は完璧で究極のゲッター
pixiv賞ブルーロック
ネット新語賞薩摩ホグワーツ

 

年間大賞の『推しの子』は、赤坂アカ氏と横槍メンゴ氏による漫画作品で、主要キャラクターの名前もネット流行語100のなかに多数ランクインしています。

ニコニコ賞の『君は完璧で究極のゲッター』は、推しの子のアニメ主題歌『アイドル』から派生した言葉です。アイドルのサブ部分を『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』の主題歌と掛け合わせたメロディーがSNSで大きな話題となり、関連する動画も数多く制作されました。

pixiv賞の『ブルーロック』は、金城宗幸氏とノ村優介氏によるサッカー漫画です。第45回講談社漫画賞の少年部門を受賞した作品で、エッジの効いたストーリー展開がネット上でも高く評価されています。

ネット新語賞の『薩摩ホグワーツ』は、薩摩藩の武士がハリーポッターシリーズのなかに登場した姿を想像して楽しむネットミームです。X(旧Twitter)では、薩摩ホグワーツが連日トレンド入りしたことで、一大ムーブメントを巻き起こしました。

次の若者言葉はここから?ネットスラングとは

ネットを楽しむ若者

SNSで爆発的に広がることの多い若者言葉は、ネットスラング発のものが少なくありません。ここでは、いま若者の間で使われているネットスラングをいくつかピックアップしてみました。

ネットスラング意味                                   

おばさん構文

(おばさんこうぶん)

・絵文字を多用したテンションの高い長文メッセージのこと

・語尾をカタカナにする「おじさん構文」も存在する

特級呪物

(とっきゅうじゅぶつ)

・人気漫画『呪術廻戦』に登場する言葉

・「とてつもなく危険なもの」などのニュアンスで用いる

チー牛

(ちーぎゅう)

・「チーズ牛丼を注文してそうな人」を意味する言葉

・言動や雰囲気が陰気で暗い人を指す

かわちい

・かわいいの同義語

・SNS流行語大賞 2023では大賞に選出された

 

ネットスラングとは

ネットスラングとは、インターネット上で使われる俗語のことです。省略した言葉や発音しづらい文字などもあるため、一般的な流行語とは少し趣が異なります。

たとえば、文章上で笑っていることを示す(笑)は、ネットスラングが発祥です。waraiの頭文字をとって「w」「www」と表されるようになり、「草」「大草原」「森」など、新しい表現が次々と生まれました。

ネットの世界で広く使われている言葉もありますが、一部のジャンルでしか通じないニッチな表現も数多く存在します。

 

ネットスラングは流行ってから終わるまでが早い

インターネット上での流行は移り変わりが早く、「数年前の流行語が通じない」といったケースも見られます。

たとえば、2007年ネット流行語大賞では、「アサヒる」「スイーツ(笑)」「ゆとり」がトップ3となっています。ゆとり教育を受けた世代を意味する「ゆとり」は、バブル世代やZ世代と並んで社会に定着した言葉ですが、「アサヒる」「スイーツ(笑)」は聞いたことがない方もいるかもしれません。

ネットスラングは流行ってから終わるまでが早いので、すぐに言葉が古くなってしまう点に注意が必要です。

 

意味が変化する場合もあるため注意

ネットスラングを使うことで、気軽なコミュニケーションが楽しめて会話も盛り上がります。一方で、言葉の意味を正しく理解できていないと、相手に誤解や不快感を与えてしまう恐れがあります。

たとえば、「スイーツ(笑)」「チー牛」は、インターネット上の悪ふざけとして登場した言葉でしたが、徐々に侮蔑的な意味が強くなり、誹謗中傷に使われるケースが増えています。

ネットスラングは意味が変化することがあるため、以前と同じような感覚で使い続けてしまうと、誤解を招いてしまうかもしれません。相手を傷つけるような言葉は、SNSなどの場でも使わないようにしましょう。

定番になった若者言葉

紙に「TREND」「POPULAR」「NEW」

すぐに古くなってしまう若者言葉ですが、一過性の流行ではなく、広く社会に定着しているものも存在します。ここでは、数年前に流行った言葉で現在も使われているものを紹介します。

若者言葉意味                                        
イキる

・偉ぶって調子に乗っている様子

・「粋がる」が語源だが、ネガティブな意味で使われることが多い

エモい

・emotional(エモーショナル)を由来とする言葉

・心が強く動かされたときに用いる

ディスる

・disrespect(ディスリスペクト)を動詞化した言葉

・軽蔑する、侮辱する、批判するなどの意味を持つ

陰キャ陽キャ

・陰気なキャラクター、陽気なキャラクターの略語

・陰キャはオタク、チー牛などと呼ばれることもある

もう使わない方がいい若者言葉

ぴえんクッキー

目まぐるしい勢いで興味の対象が変わっていく若者の世界では、何かのきっかけで瞬間的に言葉が生まれ、あっという間に廃れていくことも少なくありません。ここからは、もう使わないほうがいい若者言葉を紹介します。

若者言葉意味                                     
ぴえん

・悲しんでいる様子を表す言葉

・号泣ではなく、目が潤む程度の感情の動き

はにゃ?

・疑問を感じたときに使う感嘆詞

・「あれ?」「えっ?」という言葉に置き換えられる

おはようでやんす

・YouTuberがブームの火付け役

・「楽しいでやんす」など、応用もしやすい言葉

おつかれサマンサ

・ラフな挨拶をしたいときに使えるフレーズ

・『呪術廻戦』の人気キャラクターが使ったことが流行のきっかけ

 

かわいい系はNG

ぴえん、はにゃ?、ちゅきちゅきなど、かわいい系の言葉を大人が使うのは少しハードルが高いかもしれません。

「かわいい系の言葉が使えるのは高校生まで」と考えている若者は多く、大人には似合わないと感じられてしまいます。今後新しい若者言葉が生まれても、かわいい系の多用は避けた方が無難です。

 

挨拶系の移り変わりの早さに注意

おはようでやんす、おつかれサマンサ、ひよってるやついるー?など、挨拶系の言葉は移り変わりの早さに注意しましょう。

使い勝手のいい言葉は、自然と使用頻度が高くなるため、すぐに飽きられやすい印象です。たとえば、おつかれサマンサは漫画『呪術廻戦』がきっかけで爆発的に広がりました。親父ギャグのように感じる言い回しですが、これまで親父ギャグに触れていない若者が使うからこそ、新鮮で広まりやすかったとも考えられるでしょう。

年代を問わず多くの人が使うようになると、若者は使わなくなり、急速に廃れはじめる傾向もあります。周りの若者が使う言葉を意識しながら、情報をアップデートしていくことが大切です。

若者言葉を知って上手に取り入れよう

世代の違う向き合う女性

若者言葉には、その時代のトレンドや動向が深く反映されています。定番となる若者言葉がある一方で、すぐに廃れてしまうケースも少なくありません。また、広がっていく過程で意味が変化する場合があることも知っておきましょう。

「若者言葉を実際に口に出すのは恥ずかしい…」という方は、SNSやメッセージのやりとりからはじめてみるのがおすすめです。生活のなかに若者言葉を取り入れて、幅広い世代とのコミュニケーションを楽しんでくださいね。

私たち5PM Journalは、熱量を帯びている偏愛に解釈を添えて、「新たな気づき」を生み出すことを掲げて運営しているWebメディアです。役立つ情報からちょっと変わったコラムまで、幅広い読み物をご用意しておりますので、ぜひそのほかの記事もご覧になってみてください。

参考

【NHK】調べると意外と深い!若者言葉の世界

【徒然草 (吉田兼好著・吾妻利秋訳)】徒然草 第二十二段

【School Guardian】SNS用語 最近のネットスラング

【DWANGO Co., Ltd.】ネット流行語100 2023

【NHK】新語・流行語大賞(2023)ノミネートされた30語 あなたはいくつご存じですか?

【ITmedia NEWS】こんな言葉も流行りました 07年ネット用語大全

【スタディサプリ】 【もう終わった流行語ランキング 2021】1位は「きまZ」2位「おはようでやんす」

出典:LINEリサーチ(プレスリリース)