もくじ
1. プラーナとは
2. プラーナは身体を循環する
3. プラーナを感じる方法
4. プラーナを整えて心身を安定させよう
プラーナとは
プラーナは、わたしたちの原動力となる「生命エネルギー」です。サンスクリット語で「息吹」「呼吸」を意味する言葉で、東洋医学の「気」に似ているともいわれています。
サンスクリット語とは、古代インドで用いられた言語で、漢字文化圏では「梵語」と表されます。インドを発祥とするヨガやアーユルヴェーダでは、サンスクリットに由来を持つ言葉が多く用いられています。
プラーナは実体が存在するわけではないため、理解しづらいと感じるかもしれません。しかし、人間や動物などの生命体だけでなく、風や水を含むすべてのものにプラーナは存在すると考えられます。プラーナを意識的にコントロールすることができれば、心身のバランスが整い、豊かな日々を過ごしやすくなります。
3つのプラーナとは
プラーナには、次の3種類があります。
・天の氣
・地の氣
・人の氣
わたしたちは、呼吸により体内にプラーナを取り入れています。空気中に酸素がなければ、生命を維持することはできないため、「天の氣」はもっとも基盤となるエネルギー源といえます。
「地の氣」は、食事によるプラーナの補給を意味します。「何を食べるか」だけでなく、「どこで生産されたか」「誰が調理したか」なども、プラーナの質に関わる重要な要素です。
周囲の人からも「人の氣」のプラーナを受け取っており、日々の行動や体調に影響を与えています。直接的な関わり合いはもちろん、ネガティブな情報ばかりに触れてばかりいると、エネルギーが失われてしまいます。
プラーナと心と身体の関係
プラーナが不足してしまうと、心のバランスが崩れやすくなり、精神的に不安定な状況に陥ります。困難な事態に遭遇しても、プラーナが満ちている人は、体内のエネルギーを立ち向かう力に変えて乗り越えられます。気持ちが落ち着かず、不安感が強い場合は、プラーナが減少しているサインかもしれません。
身体を自分の思い通りに動かすためにも、プラーナは不可欠です。古代インドの哲学書『ウパニシャッド』では、プラーナと心と身体の関係が馬車に例えられています。
運転手 :自我
車体 :肉体
手綱 :思考
エネルギー:プラーナ
運転手、車体、手綱が揃っていても、動かすエネルギーがなければ、馬車は前に進みません。反対に、動かすエネルギーが強すぎると車体や手綱をうまくコントロールできなくなります。
プラーナと人間関係
プラーナは人間関係にも影響を及ぼすと考えられています。「気が合う」「波長が合う」といった表現のとおり、わたしたちは目に見えない何かを基準にして、人の好き嫌いを判断することがあります。
苦手な人がいる場合でも、プラーナをコントロールすることで、関係の改善が期待できるかもしれません。「身体が喜ぶ食べ物を口にする」「親しい人との時間を増やす」など、体内に良質なプラーナを取り込むことで、苦手な相手の思いがけない一面が見えてくる可能性もあります。負の感情に振り回されず、自分のなかのエネルギーを上手に使うことで、よりよい人間関係が築けます。
プラーナヤーマとの関係は
プラーナヤーマとは、ヨガの呼吸法のことです。「ヤーマ」は、広げる・伸ばすという意味のサンスクリット語「アーヤーマ」を語源とします。つまり、プラーナヤーマは「生命エネルギーを身体全体に広げる呼吸法」という意味を持ちます。
ヨガと一般的なエクササイズの大きな違いとしては、呼吸法が挙げられます。ヨガの目的は、健全な肉体・精神を保つための正しい姿勢と正しい呼吸法の習得です。プラーナの存在を意識することで、正しい呼吸法の習得に役立ちます。
プラーナヤーマの呼吸法が身につくと、日常生活に活かすことも可能です。「ストレスを感じやすい職場」「緊張しやすい体質」などの悩みを抱える方は、ゆっくりと深い呼吸で全身に生命エネルギーを行き渡らせることで、リラックス効果が高まります。
世界のプラーナ
世界にはプラーナに近い概念やエネルギーが存在します。
・中国の「気」
・チベット仏教の「ルン」
・ポリネシアの「マナ」
・ギリシアの「プネウマ」
ギリシアの「プネウマ」は、英語の「スピリチュアル」の語源になった言葉です。スピリチュアルは「霊的な」「神聖な」と訳されることが多いですが、プネウマは「呼吸」「エネルギー」「精神」「超自然的な存在」「悪霊・聖霊」などを意味します。日本では、精気や霊気などが、プラーナに近い概念です。
スピリチュアルについて、もっと詳しく知りたい方は、こちらの読み物もあわせてご覧ください。
「スピリチュアルとは?意味やサイン、受け取れるメッセージを紹介」
プラーナとチャクラの関係
チャクラは、「体内と体外のエネルギーが交換されている場所」を指します。プラーナと同じく古代インドを起源とする概念で、サンスクリット語では「車輪」「回る」などを意味します。主要なチャクラは体内に7つあるといわれており、心身のエネルギーの起点となります。
名前の由来のとおり、チャクラは回転している必要がありますが、プラーナが不足していると正しく機能しません。プラーナの循環が悪くなると、チャクラの働きも弱まり、全身のエネルギーが失われていきます。
プラーナを身体全体に巡らしていくときに、チャクラの場所を知っておくと、循環のイメージが持ちやすくなります。たとえば、精神的なバランスが崩れているときは胸のチャクラが不活性化している可能性が高いので、重点的にプラーナを流すことで安定した状態に導きやすくなります。
チャクラについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
プラーナは身体を循環する
呼吸や食事によって体内に取り入れられたプラーナは、身体をゆっくりと巡ります。生命エネルギーが身体を満たすことで、肉体と精神のバランスも整います。
基本的にプラーナを目にすることはできませんが、第六感が強い人は「光の粒子」のように見えることがあるそうです。また、プラーナヤーマの呼吸法を極めると、必要な栄養素を食事以外から摂取できるようになり、プラーナのエネルギーだけで生活することができるといわれています。
プラーナの通り道はナーディと呼ばれる
プラーナは、ナーディと呼ばれる道を通って体内を巡ります。ナーディはサンスクリット語で、「流れ」「水路」を意味する言葉です。人の身体には、3万5,000~7万2,000本のナーディがあるといわれており、それぞれがプラーナで満たされている必要があります。とくに重要視されているのが、下記3つのナーディです。
・スシュムナーナーディ
・ピンガラーナーディ
・イダーナーディ
スシュムナーは、背骨に沿って通っているナーディです。先ほど紹介した7つのチャクラは、すべてスシュムナーナーディの上に並んでいます。
体内の中心となるスシュムナーナーディをサポートするように、太陽のエネルギーに関係の深いピンガラーナーディ、月のエネルギーに関係の深いイダーナーディが交差しながら流れています。
プラーナが身体を循環するとどうなる?
プラーナが身体を循環し、すみずみまで行き渡ることで、生命エネルギーが満たされます。これは、わたしたち人間だけでなく、すべてのものに当てはまります。
たとえば、畑から収穫したばかりの野菜は瑞々しく色鮮やかです。実際に食べてみると、採れたてならではの美味しさが感じられます。しかし、同じ畑から収穫した野菜を1週間放置すると、どうなるでしょうか。多くの場合、鮮度も味も急激に落ちてしまうはずです。
水分が不足し、光沢がなくなり、変色が発生している野菜は、プラーナが不足している状態だと捉えることができます。このようなプラーナが不足している野菜を口にしてしまうと、体内のエネルギーの質が低下します。プラーナを体内に循環させて、心と身体を元気に保つためには、上質なプラーナを取り入れることが重要です。
プラーナの循環が悪くなるとどうなる?
プラーナの循環が悪くなると、次のような変化があらわれます。
・体調が悪くなる
・ストレスを感じやすくなる
・人間関係のトラブルが生じる
体内の生命エネルギーが減少することで、体調を崩しやすくなります。慢性的な頭痛や肩こりに悩んでいる方は、プラーナの循環が悪くなっているのかもしれません。
プラーナの循環が悪くなると、チャクラの働きも落ちてくるためストレスを感じやすくなります。ちょっとしたことにもイライラしてしまい、人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
プラーナの循環を良くする方法
プラーナの循環を良くする方法として、次の3つが挙げられます。
・プラーナヤーマの呼吸法を取り入れる
・睡眠の質を上げる
・身体に良い食べ物を選ぶ
プラーナヤーマの呼吸法を取り入れると、身体を温めてプラーナの巡りを良くすることができます。深くゆっくりとしたプラーナヤーマの呼吸法はリラックス効果を高め、副交感神経を活性化する役割も果たします。副交感神経が優位になると、血管が広がって手足の先まで温まります。
プラーナの循環を促すためには、質の良い睡眠とバランスの整った食事も欠かせません。早寝早起きを心がけることで、自然界から良質なプラーナを取り入れやすくなります。また、新鮮な食材を使った作りたてのご飯を食べるのも効果的です。レトルト食品やファストフードばかり食べている方は、プラーナの循環を良くするためにも、食生活を見直してみましょう。
プラーナを感じる方法
ほとんどの人はプラーナを目にすることはできません。ですが、イメージ力を鍛えることで、プラーナを感じられるようになります。実際に、ヨガのレッスンではプラーナを全身に循環させるイメージを持ちながら進めます。
プラーナの感じ方には個人差があるため、まずは体内の流れをイメージするところからはじめてみましょう。プラーナを感じ、コントロールできるようになれば、心身の不調に対処しやすくなります。ここでは、プラーナを感じるための具体的な方法を紹介します。
一人でプラーナを感じる①
はじめてプラーナを感じる方や、ヨガ初心者の方は、背骨に沿って通っているスシュムナーナーディを意識していましょう。
1. ヨガの基本「安楽座のポーズ」をとる
2. ゆっくり息を吸い込んで頭のてっぺんからプラーナを取り込む
3. 長く息を吐きながら取り込んだプラーナを尾骨から大地に流す
4. ゆっくり息を吸い込んで尾骨からプラーナを取り込む
5. 長く息を吐きながら取り込んだプラーナを頭のてっぺんから空に放出する
6. 2~5の動作を繰り返す
背骨に沿って生命エネルギーが通るイメージを持つと、プラーナを感じやすくなります。流れる方向が決まっている血液などとは異なり、プラーナは自由に流れを変えることができます。
一人でプラーナを感じる②
スシュムナーナーディを流れるプラーナが感じられるようになったら、ヨガの有名な呼吸法の1つである「片鼻呼吸法」を試してみましょう。
1. 楽な姿勢で座る
2. 右手の親指を右鼻、薬指を左鼻におく
3. 親指で右の鼻の穴を閉じて、左の鼻からゆっくりと息を吸い込む
4. 薬指で左の鼻の穴を閉じて、親指を離した右の鼻からゆっくり息を吐き出す
5. 右の鼻からゆっくりと息を吸い、親指で右の鼻の穴を閉じる
6. 薬指を離した左の鼻からゆっくりと息を吐き出す
7. 2~6の動作を繰り返す
片鼻呼吸法により、スシュムナーナーディをらせん状に流れる「太陽の気道(ピンガラーナーディ)」「月の気道(ダーナーディ)」が浄化され、プラーナを感じやすくなります。
二人でプラーナを感じる①
プラーナは、ペアで感じることもできます。ただし、緊張状態ではプラーナの循環が悪くなるため、親しい人や好感が持てる相手と試してみるのがおすすめです。
1. 向かい合わせで立つ
2. 片方が腕を伸ばして相手の肩に乗せる
3. 肩から指先にかけてプラーナを流す
4. 肩に乗せた腕に上から力を加える
5. プラーナが正しく流れていれば、どれだけ強い力でも腕は曲がらない
筋力に頼ってしまうと、全身に不要な力がかかってしまいます。一方、プラーナを正しく流すことができれば、しなやかな強さが手に入ります。腕だけでなく、脚や腰なども重点的にプラーナを流すことで柔靭なエネルギーが生まれます。
二人でプラーナを感じる①
プラーナのコントロールに長けている人とペアになることで、身体の不調を和らげることができるといわれています。
1. 向かい合わせに立つ
2. 不調を感じている場所を片手で触る
3. もう片方の手の親指と人差し指をつけて「Oのかたち(オーリング)」をつくる
4. 相手が親指と人差し指を離そうとすると「オーリング」はすぐに崩れる
5. 不調を感じている場所に相手が手を当ててプラーナを流す
6. 手当が終わったあと再び「オーリング」をつくる
7. 相手が親指と人差し指を離そうとしても「オーリング」は崩れない
触った部分に不調があると、エネルギーが不足しているため、オーリングはすぐに崩れてしまいます。ペアとなった相手が不調部分にプラーナを直接送り込むことで、生命エネルギーが補給されて症状も和らぎます。エネルギーで満たされることで、オーリングの結びつきも強くなり、プラーナの存在が実感できます。
プラーナを整えて心身を安定させよう
プラーナは、人間だけでなく、すべての存在が持つ「生命エネルギー」です。良質なプラーナを取り込み、全身に循環させることで、心身を健康に保てます。呼吸法を整え、プラーナの流れを意識しながら、エネルギーに満ちた日々を送りましょう。
私たち5PM Journalは、熱量を帯びている偏愛に解釈を添えて、「新たな気づき」を生み出すことを掲げて運営しているWebメディアです。ぜひそのほかの記事もご覧になってみてください。
参考
【studio+lotus8】プラーナ すべてのものはこれがもと。生命エネルギー
【yoga generation】呼吸法で人生が変わる!?ヨガの呼吸・プラーナヤーマの効果とは
【yogajournal】【私たちを動かす力「プラーナ」について学ぼう】エネルギーや氣の流れを身近に感じるヒント
【WELLNESS STORY】ヨガの呼吸法【ウジャイ呼吸】を正しく行うための5つのポイント!ヨガの要はプラーナヤーマ