目次

1.神楽とは?

2.宮中と民間で継承されてきた神楽

3.神楽の種類とは?

4.神楽の主な演目とは?

5.神楽が見たい!出かけてみよう、神楽を楽しみに。

6.沼っちゃう?全国の神楽

神楽とは?

能面

神楽とは、簡単に言うと神様と交流するために行う儀式のことです。

独立行政法人日本芸術文化振興会が運営する文化ライブラリーによると、神楽の語源は「神座(かむくら)」だと考えられているようです。

「かむくら」から「かんぐら」になり、現在呼ばれている「かぐら」へと変化したのだとか。ちなみに、神座は神様を迎えたり、神様に捧げる儀式を行ったりする神聖な場所のことです。神楽は豊作・豊漁を願い、感謝し、疫病を追い払うための儀式として受け継がれてきたとされています。

神楽には大きく分けると「御神楽(みかぐら)」と「里神楽(さとかぐら)」の2つがあります。御神楽は宮中で行われてきたもの、里神楽は民間で行われてきたものです。

日本には神楽以外にも伝統芸能が複数あります。伝統芸能に興味がある人は、「日本の伝統芸能とは?伝統芸能の種類一覧も紹介!」の記事もチェックしてみてください。

 

1‐1  神楽の始まりはアメノウズメ

神楽の起源は、アメノウズメが舞った舞とされています。アメノウズメは古事記や日本書紀などの神話にたびたび登場する神です。

アメノウズメが最初に神楽を舞ったのは、古事記や日本書紀に記載されているエピソードのなかでも有名な「岩戸隠れ」の段です。ここでは太陽神である天照大神(アマテラスオオミカミ)が天の岩戸に隠れ、世界が光を失ったエピソードが書かれています。このとき、アマテラスオオミカミが岩戸から出てくるよう誘い出すために舞った舞が神楽の始まりです。

アメノウズメの舞は、それを見ていた八百万の神々を大笑いさせ、アマテラスオオミカミを誘い出すことに成功しました。アメノウズメは神様のために舞ったことから、神様と交流する儀式として神楽が受け継がれてきたとされています。

 

1‐2 神楽は舞い方とはやし方の共作

神楽は「舞い方(まいかた)」と「はやし方」がいて成り立つ舞です。

舞い方は美しい刺繍が施された華やかな衣装を身に着けて舞う踊り子のことです。お面や「がっそう」と呼ばれるかつらのようなものを身にまとい、踊ったり口上を言ったりします。

はやし方は、古くから日本で演奏されてきた管楽器や打楽器、弦楽器などを演奏する人たちのことです。神楽には楽譜がなく、打楽器のなかでも大太鼓のテンポに合わせて演奏をするのが一般的です。

神楽は勧善懲悪の物語が多く、曲調は厳かな雰囲気のものからダイナミックなものまでさまざま。はやし方同士がテンポを合わせることはもちろん、舞い方とはやし方が息を合わせることも大切です。レベルの高い神楽を完成させるために、舞い方もはやし方も日々腕を磨いています。

宮中と民間で継承されてきた神楽

宮中

神楽には、先述のとおり宮中で行われている「御神楽」と、民間で継承されてきた「里神楽」があります。どちらも神様に向けて舞を舞う点は共通しています。

では、どのような点が異なるのでしょうか。それぞれの特徴を確認してみましょう。

 

2‐1 宮中で行われる御神楽(みかぐら)

御神楽は1002年(長保4年)から、宮中の恒例行事として続いている神事です。内侍所で行われたことから「内侍所神楽(ないしどころかぐら)」といわれています。この神楽は、現在はなくなってしまった複数の神楽がもととなり出来上がったものとされています。

【宮中で御神楽が行われる主な行事】

 ● 恒例御神楽之義(こうれいみかぐらのぎ)……12月中旬に宮中の賢所(かしこどころ)で行われる儀式

 ● 神武天皇祭……4月3日に行われる儀式

 ● 大嘗祭……天皇が即位した際に初めて行われる新嘗祭

 ● 伊勢神宮で20年に一度行われる式年遷宮

御神楽が始まった頃は公家や殿上人などが夜通し行っていたようですが、現在は宮内庁式部職楽部が簡略化した形で行っています。

なお、伊勢神宮や春日大社など特定の神社では、御神楽の一部を一般公開により見学できますが、宮中で行われるものは一般公開されていません。

 

2‐2 民間で継承されてきた里神楽(さとかぐら)

里神楽はわたしたちが神社などで目にすることもある、いわゆる一般的な神楽のことです。この記事では、こちらの里神楽のことを「神楽」として解説しています。

御神楽は宮中の一部の人々のみが行い、受け継がれてきた神事でした。一方里神楽は、民間で継承されています。

もともと里神楽は神主しか行えないものでしたが、現在は巫女や山伏などの宗教に関わる人、神楽の保存会や地元の子どもが行うケースもあります。神楽を行う場所も神社だけでなく、地域の体育館などを利用し、イベントとして行うところもあるようです。

日本全国には地域ならではの神楽があるものの、里神楽が行われるようになった時期などははっきりわかっていません。

神楽の種類とは?

屋外の神楽

民間の人々により受け継がれてきた里神楽にはさまざまな種類があり、衣装や道具などが異なります。

また、複数の特徴が混ざった神楽も存在するなど、神楽の種類は多種多様です。そのため明確に何種類とは分けられませんが、神楽の種類には例えば以下のようなものがあります。

 

3‐1 巫女舞(巫女神楽)

巫女舞は文字通り巫女が舞う神楽のことで、巫女神楽とも呼ばれている種類です。神様への感謝を表す舞や平和を祈る舞などがあり、扇や榊を手にした巫女が舞います。

巫女舞の始まりは、神様を憑依させるべく巫女をトランス状態にするための舞ともいわれています。巫女は神様に仕える存在であり、神様に祈りを捧げるほか神様からのお告げを人々に伝える存在でもありました。トランス状態を作り出すための舞ということは、激しくダイナミックな動きをしていたのかもしれません。

現在行われている巫女舞の多くは、明治時代後期に作られたものです。その理由は明治時代に巫女を廃止する「巫女禁断令」が出たからです。その後、一部神社が声を上げたことから、神様を憑依させるための舞としてではなく、芸能として神様に捧げるための舞として踊ることが許されるようになりました。

 

3‐2 出雲流の採物神楽(とりものかぐら)

採物神楽は採物を持ち、面は身に着けずに舞うものと、神話など神様に関する話を演劇風に舞うもので成り立っています。現在の島根県に位置する出雲国から広まった神楽で、主に中国地方より西側や関東地方で行われます。

採物とは、神事芸能で舞を舞う人が手に持つアイテムのことです。採物に神様が降臨するため、それを手にして舞えば神様の力が使えたり、神がかりできたりするとされています。

採物は主に9種類あり、どのようなものを使用するのかは神楽の題材によって異なります。

 

【採物の種類】

 ● 御幣(ごへい)……神社でお祓いをするときに神主が使用する吹き流しのような白い紙

 ● 榊(さかき)……神様に供えるハリのある緑色の樹木

 ● 笏(しゃく)……神職の服装の一部となっている

 ● 鈴……古くから呪力があると考えられてきた

 ● 扇……曲目や役柄ごとにデザインが決まっている

 ● 弓矢……魔除けとして飾られることもある

 ● 茅輪(ちのわ)……疫病除けとされてきた茅を大きな輪にしたもの

 ● 剣(鉾)……刃身の両側が刃になっている刀のようなもの

 ● 鬼棒(ざい)……鬼が使用する武器

 

3‐3 伊勢流の湯立神楽(ゆだてかぐら)

伊勢流の湯立神楽は、無病息災・五穀豊穣を願ったり、占い的な意味で行ったりする神楽です。

神様の前で釜にお湯を沸かし、煮立ったお湯を撒いて自分や周辺にいる人にかけるのが一般的ですが、やり方は神社によってさまざま。お湯を撒くのが素手だったり木の枝だったり、沸かすお湯にお米などを入れたり海水を使ったり、神社ごとに特徴があるのも興味深いところです。

動画共有サイトでは各地の湯立神楽を見られるので、実際に足を運べない地域のものを見比べて見るのも楽しいのではないでしょうか。湯立神楽は神楽のなかでも神様に対する儀式という雰囲気がとくに強く、見ごたえがあります。

湯立神楽は伊勢神宮外宮で行われていたものが広まったとされています。旧暦の11月(霜月)に行われていたので霜月神楽と呼ばれることもあり、花祭という名称で行われているところもあります。

 

3‐4 獅子神楽(ししかぐら)

獅子神楽は獅子舞の一種で、東北地方に伝わる山伏神楽や伊勢神宮などに伝わる太神楽といった系統があります。山伏神楽はご神体とされる獅子舞の頭部分を被って舞う神楽、太神楽は獅子頭を持ってお祓いや祈祷のために巡回する神楽です。

山伏神楽は霊山で修行を行っていた山伏により伝承されてきた神楽で、回転したり高く飛び跳ねたりダイナミックな動きで舞うのが特徴です。

太神楽は江戸時代末期に舞台芸にもなっています。なかでも伊勢神宮にお参りに行けない人のために地域を巡行する伊勢大神楽は、国の重要無形文化財にも指定されている有名な獅子神楽です。

ちなみに、獅子舞は見学している人々の頭を噛む仕草をしますが、これには邪気払いの意味があります。獅子舞を見学する際は、ぜひ頭を噛んでもらいましょう。

神楽の主な演目とは?

舞台での神楽

神楽には多くの演目があります。ここでは有名な「天の岩戸」「八岐大蛇(ヤマタノオロチ)」「鍾馗(しょうき)」「天神(てんじん)」「土蜘蛛」を解説しましょう。

天の岩戸や八岐大蛇などは、何となく言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。とはいえ、具体的にどのような物語なのかは知らない人もいるはずです。

神楽の世界を一層楽しむためにも、それぞれどのような演目なのか、チェックしておきましょう。

 

4‐1 アメノウズメが活躍!天の岩戸

天の岩戸は、冒頭の神楽の始まりでも解説した物語です。神様のなかでもとくに有名なアマテラスオオミカミ。アマテラスオオミカミは太陽の神様で、須佐之男命(スサノオノミコト)という弟がいました。

ところが、このスサノオノミコトは暴虐的で悪行を働く神様でした。そんな弟の行いに心を痛め、怒ったアマテラスオオミカミは天の岩戸に隠れてしまいます。

太陽神のアマテラスオオミカミがいなくなると世界は闇に包まれてしまいます。世界に光を取り戻すには、アマテラスオオミカミに出てきてもらうしかありません。

困った八百万の神様たちは、アマテラスオオミカミを誘い出す方法を考えます。このとき、アメノウズメが舞を舞ってアマテラスオオミカミの興味を引くことを思い付き、アメノウズメに岩戸の前で踊ってもらいました。

楽しそうな様子が気になったアマテラスオオミカミが岩戸を少し開けたところで、神様たちが力を合わせて岩戸の外に誘い出し、世界に光が戻りました。

演目のなかでも神聖なものとされており、岩戸が開くシーンは見物です。

 

4‐2 スサノオと大蛇の戦い!八岐大蛇(ヤマタノオロチ)

八岐大蛇(ヤマタノオロチ)では、天の岩戸とは反対にスサノオノミコトが活躍します。

スサノオノミコトは日頃の行いの悪さから、神様の世界を追い出されてしまいました。そこで旅へと出かけるのですが、出雲の国にさしかかると八岐大蛇という大蛇に苦しめられている老夫婦と出会います。

話を聞くと、夫婦には8人の娘がいたものの、1年に1人ずつ食べられてしまい、最後に残った1人も奪われてしまうということでした。そこでスサノオノミコトは大蛇に毒酒を飲ませて、酔っぱらったところで退治しようと考えます。作戦は成功し、八岐大蛇を退治したというのが八岐大蛇の物語です。

この演目では、最大で8匹もの大蛇が登場します。大蛇が口から火を吹いたり、大蛇が絡み合ってスサノオノミコトを威嚇したりと、手に汗握る迫力のある神楽となっています。

 

4-3  豪華な衣装にも注目!鍾馗(しょうき)

鐘馗は、中国の逸話と茅の輪という故事が混ざり合った物語です。

その昔、唐の玄宗皇帝(げんそうこうてい)が病で床に伏していました。病の原因は人の目では確認できない疫神。人の力ではどうにもならない疫神ですが、茅の輪を使って倒したのが鐘馗です。

鐘馗が茅の輪を皇帝にかざしたところ疫神が姿を現し、戦いが始まります。この戦いで疫神を退治したことで皇帝は健康を取り戻し、国も平和になりました。

鐘馗では戦う2人が見るからに怖そうな面をかぶり、絢爛豪華な衣装を身に着けているのが特徴です。身に着けている面は、大人が見ても怖いと思ってしまうほど迫力あるものです。数百万円もする衣装を身に着けていることもあるため、物語の内容はもちろん、衣装にも注目してみてください。また、この演目は限られた人だけが舞える花形演目でもあります。

 

4‐4 道真と時平の対決!天神(てんじん)

天神は、学問の神様とされている菅原道真(すがわらのみちざね)と藤原時平(ふじわらのときひら)が繰り広げる平安時代の物語です。

当時、菅原道真は右大臣、藤原時平は左大臣でした。時平は道真の優秀さに嫉妬しており、天皇に道真のことを悪く伝えます。それが原因で時平は大宰府へ左遷され、39歳でこの世を去ってしまいました。

神楽では左遷された道真が敵討ちに行き、戦う物語となっています。道真は雷神となり、時平を倒します。見事時平を倒した道真は、後に学問の神様となるのです。

天神では2人が激しく戦うシーンと衣装の早変わりが見物です。天神を見学する際は、どのように衣装が変化しているのかもしっかりチェックしておきましょう。派手な衣装とパワフルな動きはインパクト大です。

 

4‐5 優しい侍女が鬼に変化?土蜘蛛

土蜘蛛は源頼光(みなもとのらいこう)が登場する神楽です。

源頼光が病で床に伏した際、侍女である胡蝶に化けた土蜘蛛が薬を持ってきます。土蜘蛛は古くから大和国の葛城山に住んでいた鬼です。土蜘蛛が持ってきた薬には毒が入っており、これを飲んだ頼光の状態はさらに悪化してしまいました。ここで土蜘蛛は本性を現し、頼光に襲い掛かるのですが、四天王により退治されてしまう物語です。

頼光に薬を渡すまでは優しくおしとやかだった土蜘蛛が一変し、四天王と戦う姿は圧巻です。戦いのシーンになるとテンポが早まり、緊張感も増してきます。

また、土蜘蛛が糸を吐き出す様子が表現されているなど、目が離せなくなること間違いなしです。衣装や動きとともに、胡蝶が土蜘蛛に戻ったときの面や蜘蛛の糸など、小道具にも注目してみてください。

神楽が見たい!出かけてみよう、神楽を楽しみに。

鳥居越しの宮中(モノクロ)

神楽は全国各地で受け継がれており、地域ならではの特徴が含まれているものも少なくありません。文化庁などの調査によると、現在日本国内で受け継がれている神楽は5,000以上もあるのだそうです。

近年はその地域ならではの神楽を通して、地域の活性化をしようという活動も行われています。実際に神楽を見学して日本の伝統芸能を知るとともに、物語の内容や衣装、その場の雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ここからは、数ある神楽のなかでも有名なものを5つ紹介します。

 

5‐1 島根県の石見(いわみ)神楽

石見神楽は島根県の西部、石見地方で受け継がれてきた神楽です。石見神楽の特徴は詞章です。里神楽では珍しいとされる、方言が混ざった優雅な言葉が使われています。

石見神楽を受け継いでいる団体は130以上、演目は約30種類あります。地元の人々が行っているケースがほとんどで、代々舞い方を担う家もあるほどです。

室町時代の後期には行われていたともいわれており、もともとは神様へ感謝する儀式として夜通し行われていたのだとか。現在は年間を通してさまざまな場所で披露されています。近隣に住んでいる場合はもちろん、日程を合わせて旅行のスケジュールに組み込むのもおすすめです。

見学する際は、衣装や面など舞い方の姿にも注目してみましょう。金糸銀糸の華やかな刺繍が施された衣装と、優れた技術を持つ職人が作った表情豊かな面を着用して舞う、美しい姿を楽しめます。

 

5‐2 広島県の広島神楽

広島神楽は広島県内に伝わる神楽です。石見地方の神楽にほかの地域の神楽が融合したものが多く、その種類は大きく分けて5つ。「芸北神楽」「安芸十二神祇」「芸予諸島の神楽」「比婆荒神神楽」「備後神楽」があります。5つのなかでも特徴的な進化をしてきたのが芸北神楽です。

広島神楽は現代でも稲刈り後、神様への感謝の気持ちを伝えるために、各神社で行われています。神聖な儀式としての神楽以外にも、神楽大会が開催されたり、結婚式で披露したりと、多くの人が神楽に触れていることも特徴です。

神楽の中には、常設会場で行われるものもあります。いきなり神社で行われる本格的な神楽を見学するのは勇気がいるという人は、気軽に鑑賞できる定期公演がおすすめです。飲食をしながら鑑賞できる公演もあるので、ぜひ足を運んでみてください。

 

5‐3 宮崎県の高千穂神楽

高千穂神楽は宮崎県の高千穂町で行われる神楽で、本来の目的である神事としての神楽と、観光客に向けた神楽が行われています。観光客に向けた神楽と言っても、もちろん本格的な神楽ですよ。

高千穂町は神話の町として知られており、古事記にも登場する天岩戸神社や高千穂神社などがあります。さらに、1978年に国の重要無形民族文化財に指定された「高千穂の夜神楽」が受け継がれているなど、神様や神事が身近な町です。

高千穂の夜神楽は毎年11月中旬から2月上旬にかけて各集落で行われる神楽で、集落ごとに異なる舞が舞われるのが特徴です。時期が合えば実際に見学できますが、難しい場合は高千穂神社の境内でほぼ毎晩公開されている高千穂神楽を見学してみましょう。33ある夜神楽のうち、「手力雄(たじからお)の舞」「鈿女(うずめ)の舞」「戸取(ととり)の舞」「御神体の舞」が公開されています。

 

5‐4 長野県の太太(だいだい)神楽

長野県の戸隠神社で行われる太太神楽は、10種類の舞がある神楽です。神様を招くために行う「降神の舞」や五穀豊穣を祈る「水継(みずつ)ぎの舞」、巫女が舞う可憐な「巫女の舞」など、雰囲気の異なる舞を楽しめます。

歳担祭や祈念祭、新嘗祭などで行われていて開催される回数も多いため、タイミングが合えば見学できるかもしれません。ちなみに、戸隠神社では天の岩戸開きで舞を披露しようと創案した天八意志兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)が祀られています。神楽のなかには天の岩戸開きの様子を表現した舞や、世界が光を取り戻す様子を表現した舞なども含まれています。

戸隠神社の太太神楽は昇殿して参列したい場合を除き、基本的には予約なども必要ありません。神楽の前後には御祈祷・神事も行われるので参列してみてはいかがでしょうか。

 

5‐5 岩手県の早池峰(はやちね)神楽

岩手県花巻市の大迫町で受け継がれている早池峰神楽は、500年以上の歴史があるといわれている神楽です。国の重要無形民俗文化財であり、ユネスコ無形文化遺産でもあります。

「大償(おおつぐない)神楽」と「岳(たけ)神楽」の総称が早池峰神楽で、早池峰山の山伏により伝わったとされています。舞の種類は違うものもありますが、大償神楽の面は「あ(阿)」、岳神楽の面は「うん(吽)」の形となっているのが特徴です。

早池峰神社や神楽の館という施設で神楽の開催日があるほか、花巻市の大迫交流活性化センター(早池峰ホール)では、毎月第2日曜日を「神楽の日」として神楽を公演しています。神楽の日は大償神楽・岳神楽・八木巻(やきまき)神楽の3種類を月替わりで鑑賞できます。早池峰神楽の歴史や道具、資料を見学できる「早池峰神楽伝承館」も必見です。

沼っちゃう?全国の神楽

背中合わせの役者2人

神楽はお堅い文化というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、ダイナミックな演出や音楽に感動すること間違いなしです。舞い方さんのなかには多くのファンを持つ人もいるなど、神楽に魅了される人も少なくありません。

筆者も神楽に興味こそありましたが、知れば知るほど深い世界でますます惹かれてしまいました。種類や地域によって異なる神楽を見比べてみようと思います。

新たな気づきを提案する5pm journalには神楽のような文化から食べ物、日常生活に関連する情報など、さまざまなジャンルの読み物がそろっています。日常のちょっとした時間や就寝前のリラックスタイムなどに覗いてみませんか。

参考サイト

・神楽

・企画展「いわての神楽」

・神楽

・アメノウズメとその踊りについて|ご利益や神社もご紹介

・神楽とは

・神楽の魅力

・神楽とは?歴史を由来・起源からみる神楽の昔と今

・雅楽 GAGAKU

・巫女舞

・巫女舞にはどんな種類がある?大枠で2つ、細かくは様々ある

・神楽(かぐら)ってどんなもの?その種類や起源を紹介

・採物の神秘性

・採物神楽

・湯立神楽

・獅子神楽

・お正月の「獅子舞」は、なぜ頭を噛んでくる?

・神楽を観に行こう ~演目紹介~

・演目の説明 天の岩戸

・演目の説明 八岐大蛇(やまたのおろち)

・鍾馗(しょうき)

・鍾馗 | 石見神楽演目紹介

・演目の説明 鐘馗(しょうき)

・天神 | 石見神楽演目紹介

・天神(てんじん)

・知って楽しむ広島神楽・土蜘蛛(つちぐも)

・土蜘蛛

・土蜘蛛(つちぐも)

・水曜日の夜は“広島神楽”へ行ってみよう

・秘められた神の舞、今や地域の目玉に

・石見神楽

・石見神楽とは

・石見神楽とは

・広島神楽早わかり

・高千穂神楽

・秘められた神の舞、今や地域の目玉に

・高千穂の夜神楽

・太々神楽だいだいかぐらについて

・戸隠神社太太神楽

・舞のご紹介

・拝観方法

・早池峰神楽

・ユネスコ無形文化遺産 早池峰神楽