もくじ
1. 犬がぶどうを食べたらどうなる?
2. ぶどうで中毒症状が起きる理由
3. どのくらい食べると危険?
4. 犬がぶどうを食べてしまったときの対処方法
5. ぶどうのほかに食べてはいけない食べ物
6. 犬が危険なものを食べないようにするためには
7. 絶対に犬がぶどうを食べないように注意して
犬がぶどうを食べたらどうなる?
犬は人との生活の中で肉類以外も食べられる雑食へと変化しました。人間の食べ物のなかには犬も食べられるものが多くありますが、ぶどうは犬にとって危険な食べ物です。
ぶどうを食べて起こる症状は「急性腎不全」と考えられています。急性腎不全は腎臓の機能が低下し、尿から老廃物を排泄できなくなる状態です。
ぶどうを摂取しても症状が出ない場合もありますが、これまで中毒症状が出た犬の例では6~12時間ほどで嘔吐など初期症状が見られ、重度の場合はぶどうを摂取後1~3日ほどで急性腎不全のを引き起こす傾向がありました。
急性腎不全で現れるのは次のような症状です。
● 吐き気
● 下痢
● 腹痛
● 食欲不振
● 脱水症状 など
腎不全が悪化すると、「尿毒症」を引き起こす可能性があります。排泄できずに溜まった毒素が体内に回ってしまうと以下のような症状が起こり、命に関わる重篤な状態に陥ります。
● 痙攣
● 呼吸困難
● 口臭
● 口内炎
腎不全を起こした場合、早期の発見と治療が大切です。もし愛犬が間違ってぶどうを食べてしまったときは、症状が出ていないからと様子を見ずにすぐに医師の診断を受けるようにしましょう。
また、ぶどう中毒以外に長生きのために気を付けるポイントや犬の年齢については以下の記事で紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてください。
関連記事:「犬の年齢は人間でいうと何歳?長生きのために気をつけること」
ぶどうで中毒症状が起きる理由
ぶどう中毒は昔から知られていた症状ではなく、2001年にアメリカで症例が報告された頃から徐々に日本でも認知されてきました。
中毒の原因や発症のしくみについては解明されていませんが、ぶどうを食べて死亡した犬の多くが急性腎不全を起こしています。
中毒の原因として考えられているのは、ぶどうの皮についたカビ毒や、ビタミンD類似物質の過剰摂取、ぶどうの栽培に使われた殺虫剤や農薬、重金属などが挙げられていますが、特定はされていません。
どのくらい食べると危険?
犬にとってどのくらいの量を食べると危険なのかは、はっきりしていません。過去にぶどう中毒を起こした例から推測すると、次に挙げる量を超えて摂取した場合は中毒になる可能性が高いとされています。
【危険とされる摂取量のめやす】※動物の体重1kgに対して
● ぶどう:約3~32g
● 干しぶどう:約11~30g
これによると3kgほどの犬の場合、ぶどう1粒でも危険な摂取量となります。また、干しぶどうの場合は、乾燥して小さくなっている分多く食べてしまいやすいので注意しましょう。
摂取量はあくまでも目安で、少しでも中毒を起こす危険性は充分にあります。少量でも犬が誤って口にしないように、細心の注意を払うようにしましょう。
ぶどうジュースなどの加工品にも注意
中毒を起こしやすいぶどうの種類については、まだ明らかになっていません。生のぶどう以外にもぶどうを使った加工品でも中毒を起こした例があるため、以下のようなぶどうの加工品を与えるのは避けましょう。
● 干しぶどう
● ぶどうジュース
● レーズンパン
● レーズンクッキー など
「少量だから」「以前も大丈夫だったから」と軽視せず、ぶどうが含まれている食べ物は与えないようにすることが大切です。
犬がぶどうを食べてしまったときの対処方法
犬にぶどうを与えないようにしている場合でも、間違って食べてしまうことがあるかもしれません。
ぶどうを食べても症状がでない例もありますが、原因やしくみはまだ解明されていないため、少量でも注意が必要です。また以前食べて大丈夫だった場合も、次に食べて中毒を起こさないとは限りません。大丈夫そうだからと自己判断で様子を見るのではなく、すぐにかかりつけ医に連絡しましょう。
病院へ連絡するときや受診するときには、愛犬の様子を観察し以下のことを伝えられるようにメモしておきましょう。
【医師に伝える内容】
● ぶどうを食べた時間
● 食べたぶどうの量
● 食べてからの症状
すでに嘔吐や下痢などの症状が出ている場合は、すぐに処置が必要です。病院では、中毒の原因になるものを吐かせたり、毒素吸着剤を使用したりして処置します。症状によっては血液検査や胃洗浄、点滴などが行われますが、症状が改善しない場合は命の危険もあります。
無症状でも、病院を受診する
ぶどう中毒はぶどうを食べてすぐに症状が出ない場合もあります。けれどもこれまでの例によると、多くの場合72時間以内に症状が出ているため、早期発見と受診が大切です。
休日や夜間の場合、症状が出ていないと病院に行くのをためらってしまうかもしれません。しかし、自己判断で処置が遅れれば命の危険もあります。すぐに診察を受けておきましょう。
ぶどうのほかに食べてはいけない食べ物
ぶどう以外にも犬が食べてはいけないものがあります。少量でも危険なものもあるため、与える食べ物に次のものが含まれていないかどうか確認しましょう。
【犬に与えてはいけない食品】
● チョコレート・ココア
● ねぎ類(玉ねぎ・長ネギ・ニラ・ニンニクなど)
● アボカド
● ぎんなん
また、キシリトール・アルコール・カフェインの成分が含まれている食品も犬には危険です。チョコレートやネギなどと違い、見ただけでは含まれているか判断できません。キシリトールの場合は甘味料として使用されていることもあるため、食品表示を確認しましょう。
犬が危険なものを食べないようにするためには
犬にとって危険な食品は、飼い主が与えなければ必ず避けられるわけではありません。与えた食べ物以外に口にしないように、日頃からしつけできれば誤食の危険を抑えられるでしょう。
愛犬が危険なものを食べないようにするためのポイントを紹介します。
拾い食いをさせない
犬は生来興味があるものを見つけると口に入れる習性があります。そのため、散歩中や外出先などで口に入れたもので中毒を起こす可能性も少なくありません。
散歩や外出では拾い食いをすぐに止められるようにリードを短めに持ったり、危険なものがありそうな道を避けて散歩したりするなどの工夫が必要です。
「待て」がしっかりできるようにする
「待て」の号令をしっかり覚えさせておくと、外出中に落ちている物に興味を示した場合にも口に入れる前に止められます。トレーニングでは飼い主の号令に従ったときにはごほうびを上手に与え、根気強くしつけましょう。
また散歩や外出中は、拾い食いをすぐに止められるように犬から目を離さないことも大切です。
与えたごはんやおやつ以外は食べないようにしつける
犬が自分で危険な食べ物を判断することは難しく、「待て」の号令を覚えさせても目を離したすきに口に入れてしまう可能性もあります。子犬のころからしつけをして、食べ物はすべて飼い主が与えたドッグフードやおやつのみにするようにできれば、拾い食いの心配もなく安全に散歩できるようになるでしょう。
周りの環境を整える
犬が誤ってぶどうを口に入れないためには、ぶどうを犬の届く位置に置かないことも大切です。犬が届くテーブルにぶどうを置いたり、食べたものが床に落ちていたりしないように注意しましょう。
また、散歩中の誤食も考えられるため、ぶどう畑がある道や庭にぶどうが植えてある場合は犬を近づけないようにしましょう。
絶対に犬がぶどうを食べないように注意して
犬にとって、ぶどうは生命を危険にさらす可能性もある食べ物です。少量で重篤な腎不全を起こす例や死亡例も報告されています。食べてしまった場合には、少量だからと自己判断せずに、すぐに医師に相談しましょう。
筆者もこれまで危険な食材の置き場所に注意したり、見えるところでぶどうを食べないようにしたりして気をつけていたつもりでしたが、加工品や拾い食いにはさらに注意が必要だと感じました。
拾い食いを防ぐしつけでは、飼い主がよりおいしいごほうびや食べ物をくれると認識すれば、拾い食いを減らせるとも言われています。ペットが気に入るフードを見つけたいと思う場合は、「PETOKOTO FOODS」もぜひチェックしてください。
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また、絶対に食べてはいけない食材ではなくても、アレルギー反応が出る場合もあります。初めて食べるものは少し与えてから様子を見て、それでも痒みや脱毛などの症状が確認された際は、すぐに病院を受診するようにしてください。
出典:小方 宗次「犬猫の食物アレルギー」
【参考サイトURL】
【獣医師監修】なぜ犬に「ぶどう」はNG?致死量や食べてしまった時の対処法を解説
【獣医師監修】犬にぶどうは絶対にNG。食べてしまったときの症状と対処方法