もくじ
1. ピットブルはどんな犬?
2. ピットブルの飼い方のポイント
3. ピットブルのお手入れ方法
4. ピットブルの平均寿命
5. ピットブルがかかりやすい病気
6. ピットブルは初心者が飼っても大丈夫?
7. 安全に飼えるように、ピットブルの特徴を理解しましょう
ピットブルはどんな犬?
はじめにピットブルがどのような犬種なのか、基本情報を確認しておきましょう。
子犬から飼うことも多いピットブルですが、成犬になったときの体の大きさなどを知っておくことが大切です。
<ピットブルの基本情報>
正式名称 | アメリカン・ピット・ブル・テリア |
英語表記 | American Pit Bull Terrier |
原産国 | アメリカ |
サイズ | 中型犬 |
大きさ(体高・体重) | ● 体高:約46~56cm ● 体重:約14~36kg |
ピットブルの歴史
ピットブルは19世紀ごろにアメリカで闘犬用に交配された犬種です。闘犬は古代から世界各国で犬と犬、または犬の牛などの動物を戦わせる闘犬が盛んに行われてきました。闘犬の最盛期である18~19世紀には、より強い犬を求めて闘犬用のスタフォードシャー・テリアやブルドッグなど複数の犬種が交配され、強いあごと闘争心を持つようになりました。
その後20世紀 になると愛玩犬が増え、動物愛護の観点から闘犬退会は縮小や廃止されていきます。闘犬で闘うことはなくなりましたが、飼い主に従順で体力がある特徴を活かして牧場で牛を追い立てる使役犬として飼育されるようになります。
しかし、その一方で攻撃的な性格を悪用してわざと人に噛みつかせたり、凶暴で強い犬を積極的に育てたりする人が現れるようになり、噛みつきによる事件が多発しました。多くの事件により気性が荒く危険な犬として世間に知られ、悪役のイメージが強くなりました。
現在海外では、ピットブルを危険犬種に指定して飼育や繁殖を禁止している国も複数あります。日本では特定犬種として扱い、頑丈なおりを設置して特定犬シールを貼るなど規制する自治体も増えています。
ピットブルの特徴
筋肉質で引き締まったシャープな体形はピットブルがかっこいいといわれる理由の一つです。シャープな体形をもつ一方で、顔は離れた小さな目と低い鼻がかわいらしく、大きく口を開いて舌を出す顔は笑ったように見えるため、ギャップが魅力にもなっています。けれども闘犬として噛みつきやすいようにあごを強化してきたため、噛む力がとても強い犬種です。
体形は中型犬のなかでは大きめで、体高よりも体長が長いのが特徴です。個体差はありますが、メスに比べてオスの方が大きくなる傾向があります。耳は立ち耳ですが、闘いで邪魔にならないように耳を短くしてきた歴史もあり、現在も成形手術で立ち耳にしている個体もいます。
体力があり運動能力も高く、運動不足になるとストレスを感じて問題行動を起こす原因になるかもしれません。運動が大好きなので、時間をかけてじっくり散歩するようにしましょう。
ピットブルの性格
生来明るく無邪気なピットブルは、飼い主に非常に忠実で信頼関係が強くなればしっかりと指示に従える賢さと我慢強さを持っています。
信頼関係ができている相手には人懐っこく愛情深い面もあり、SNSなどでは飼い主と過ごすほほえましい写真も多く見られ、家庭犬として幸せに暮らす様子がうかがえます。
その反面、一度興奮してしまうともともと備わっている闘争本能を抑えることが難しくなり、噛みつくとなかなか離さないなど凶暴な一面があるので注意が必要です。そのため力の弱い子どもがリードを持って散歩させることに反対する意見や、家庭で飼育することに疑問の声が上がることも少なくありません。
飼い主がしっかり愛犬をコントロールできるようになるためには、子犬の頃からきちんとしつけや訓練をして信頼関係を強めることが大切です。そのうえで、周囲の人に危険を感じさせないように力のある大人が散歩をするなどの対策が必要になるでしょう。
ピットブルの平均寿命
一般的にピットブルの平均寿命は8~14歳ほどと言われています。
ただし、闘犬として闘って早く死亡した犬の数も含んでいる可能性も高いため、12歳~14歳ほどが平均寿命だという見解もあります。
飼育環境や個体差によってはもっと長く生きられることもあるので、普段の食生活や運動などを整えることも大切です。また日頃から様子を観察して、普段と様子が違う場合にはすぐに医師へ相談してください。
ピットブルは危険?事件・事故もあることを知っておく
ピットブルは危険な犬として、飼育が規制されている場合が国や地域があります。自ら人を噛んだり攻撃したりすることはありませんが、闘犬用に生み出されたために力が強くあごが発達しているため、きっかけがあれば大きな事故につながる場合があるのです。
実際に、飼育中に逃げ出して通行人に大けがを負わせる事件や、飼い主と散歩していた犬が噛まれるという事故などが起きています。そのため日本でも条例で「特定犬」に指定している地域もあり、おりの中で飼うことを義務付けるなどの飼育環境に規定が設けられています。
ピットブルを飼うには、ほかの犬種よりも飼育環境を整える必要があり、しつけや訓練が適切を適切に行って、噛みつき事故などを起こさないよう充分に配慮することが大切です。
ピットブルの被毛
ピットブルは被毛が短く短毛種に属します。ツヤのある被毛は毛色が豊富で、ブラックやブラウンなどの単色のほか、トライカラーやプリンドルなど複数色の毛色を持つ個体もいます。
また被毛にはスムースコートとダブルコートの2種類があり、スムースコートはしっかりした毛質で、ダブルコートは2層の毛で皮膚を守ったり体温調節をしたりしているのが特徴です。
短毛種のため、スムースコートとダブルコートのどちらの場合でもカットの必要はありませんが、毛の生え換わる時期にはこまめにブラッシングして抜け毛のケアをしましょう。
ピットブルの飼い方のポイント
闘う能力を強化して作られたピットブルは、ほかの動物よりも気を付けて飼育しなくてはなりません。飼育を考えている方が知っておきたい飼い方のポイントを紹介します。
また、犬を迎える前には、犬のライフステージや平均寿命についても知っておくべきです。「犬の年齢は人間でいうと何歳?長生きのために気をつけること」の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてくださいね。
適切なしつけをする
犬を育てた経験がある人でも飼育が難しいといわれるほど、ピットブルの飼育は難易度が高いです。
体は大きくありませんが力は非常に強く、一度興奮すれば抑えるのは容易ではありません。主従関係をしっかりと覚えさせるには、子犬のうちからきちんと訓練を受けさせてしっかりしつけをすることが大切です。
常に飼い主の言うことを聞くようにしつけるためには、プロのトレーナーにしつけや訓練を依頼することも選択肢に入れておくとよいでしょう。
ほかの動物と一緒に飼わない
特別な事情がない限りは、ピットブルとほかの動物を一緒に飼育するのは避けましょう。
犬や動物と闘うために作られた犬種であるため、一緒に飼うと噛みつくなどの争いが起こりやすい傾向があります。すでにほかの動物を飼っている場合には、別の部屋を用意して接触をさせないなど、ほかの犬種を飼うときには気にならないようなことへの配慮も必要です。
室温管理をしっかりする
ピットブルの鼻口部(マズル)は短く「短吻種(たんふんしゅ)」に分類されています。短吻種の犬は、体内の熱を呼吸で外に出すことが苦手です。そのため暑さに弱く、熱中症になりやすいので室温の管理が大切です。
夏の暑い時期にはクーラーを使用して、体調の変化がないかどうか常に気をつけるようにしましょう。
飼育スペースは広めに確保する
ピットブルは体力や気力に溢れているため、狭い場所に閉じ込めておくとストレスが溜まり、攻撃的な行動を起こしてしまうかもしれません。できるだけ広いスペースを確保して、自由に体を動かせる環境で飼育することが大切です。
しかし広いスペースを確保するために家の外で飼育しようとすれば、道路を行き来する人や動物を攻撃することも考えられます。安全のために家の中に広いスペースを用意するようにしましょう。
十分な運動量を確保する
ピットブルは闘犬のほかにも、牧羊犬として働いていたこともありスタミナのある犬種です。一日中家で過ごすような環境ではストレスを溜める原因にもなってしまうので、十分な運動量を確保しなくてはなりません。
運動量を確保するためには、毎日朝と晩に1~2時間ほど の散歩が必要です。毎日の散歩や運動におもちゃやボールなどを使った遊びを取り入れれば、遊びながら噛み具合を覚えさせられ、しつけや訓練の機会も得られます。
自由に駆け回れるような場所で遊ばせられればストレス解消にもなりますが、ドッグランなどほかの動物も走り回るような場所はトラブルが起きる可能性を考え、飼い主の命令に従えるような訓練を積んでからにしましょう。
ピットブルはほかの犬種より運動量を確保する必要があるので、飼い主も長時間の散歩の付き合えるだけの体力と時間的な余裕をもって飼育する必要があります。
リードは頑丈なものをつける
ピットブルを飼う場合には、頑丈なリードを用意して安全に配慮しましょう。元来穏やかで従順な性格をしていますが、きちんとしつけていても何らかの刺激を受けて、突然走りだしたり攻撃的になったりすることもあります。
突然の行動を抑えるためには丈夫なリードが必要です。万が一興奮したときのために、あらかじめ口輪をしておくのもトラブルを避ける有効な手段のひとつです。
ピットブルのお手入れ方法
週1~2回程度のプラッシング
短毛種のピットブルは基本的にほとんどヘアカットが不要です。ブラッシングもしすぎると皮膚を傷付けることもあるため、毎日する必要はありません。
一方で、定期的にブラッシングすることで皮膚の異常やマダニに気付くこともできるため、週に1~2回程度ラバーブラシなどでブラッシングするようにしましょう。とくに換毛期は抜け毛が多くなるので、適度にブラッシングするのがおすすめです。
濡れタオルでやさしく拭く
また、短毛種は皮膚のトラブルが多いため、通常は蒸したり濡らしたりしたタオルでやさしく拭いて、皮膚の汚れや抜け毛を落とすようにしましょう。垂れ耳のピットブルは耳の中が蒸れることもあるため、耳の中まで優しく拭いてあげるのもおすすめです。
軽い汚れは濡れタオルで拭くだけでも十分。ですが、特に体が汚れたときや体臭が気になったときには、犬用シャンプーで洗ってあげるとサッパリします。
シャンプーは月に1度程度にして、皮膚に刺激が少ないシャンプー剤を使ってください。
ピットブルがかかりやすい病気
ピットブルとの生活を考えている場合、病気についてもあらかじめ知っておきましょう。ピットブルがかかりやすい主な病気には、次のようなものがあります。
● 股関節形成不全
股関節が緩んだり変形したりして関節に炎症などが起こる病気です。7割が遺伝的要因による発症といわれていますが、環境が影響する場合もあります。散歩を嫌がる様子やふらつくことがある場合には、早めに医師に診せるようにしましょう。
● アレルギー性皮膚炎
アレルギー皮膚炎は皮膚に赤みやかゆみが生じる病気で、進行すると赤みや脱毛、湿疹などが生じるのが特徴です。アレルギー性皮膚炎は食物が原因となるもののほか、ダニやハウスダストなどのアレルゲン物質への接触が原因の場合もあります。
皮膚を舐めることが多い場合や脱毛や炎症がある場合には、医師に相談して原因となる物質を遠ざけたり薬による治療を受けたりすることが必要です。
● 動脈管開存症
動脈管開存症は犬の心臓疾患のなかでも、特に多く見られる病気といわれています。母犬のお腹の中にいるときに使われていた血管が、生まれた後も閉じられないことで起こる先天性の心臓病です。疲れやすさ咳などの症状で気付く場合が多く、重症化すると心不全や肺高血圧症を起こすこともあるので注意が必要です。
● 口蓋裂
口蓋裂(こうがいれつ)は、口内の天井部分に穴が開き、鼻につながってしまう症状を指します。子犬がミルクを上手に飲めず栄養不足になったり、呼吸がしづらくなったりする症状が出ます。治療には穴が開いている部分を塞ぐなどの外科的手術が必要です。治るまでの間は栄養管理も行います。
先天的なものが多いですが、事故などによる後天的な口蓋裂もあるため、食事の様子や咳の有無などを気に掛けるようにしましょう。
● 網膜形成異常
網膜形成異常は、網膜血管の育成が正常に行われないことで起こる目の病気です。軽度の場合はほとんど症状がみられませんが、重度になると網膜剥離に、最悪の場合は失明の可能性もあるため、早めの治療を意識しましょう。
● チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)
チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)とは、「第三眼瞼(だいさんがんけん)」と呼ばれる犬の目頭の部分の膜が飛び出してしまう病気です。先天的要因や外傷などによって、第三眼瞼の付け根が緩むために起こることが多い病気です。
1歳未満での発症事例が多く、軽度の場合は綿棒などで押し戻すと元に戻りますが、悪化すると手術が必要になる場合もあります。
● 尿石症
尿石症は尿に含まれるミネラル成分が結晶化し、腎臓や尿道に結石として留まる病気です。初期は結晶が小さいですが、尿道の粘膜を傷付ければ頻尿や血尿などの症状が現れ、結晶が大きくなり結石化すると尿が出にくくなって膀胱炎や急性腎不全など命に係わる可能性もあります。
頻尿などの様子がみられたら、早めに医師に相談するようにしましょう。
ピットブルは初心者が飼っても大丈夫?
興奮したときでも飼い主の言うことが聞けるようにするためには、ほかの犬種よりも厳しいしつけが必要になります。そのため、犬の飼育に慣れていない初心者にはピットブルはおすすめできません。
犬の飼育に慣れていない初心者は、温厚でしつけがしやすい犬種を選ぶほうが飼育のストレスを抱えることがなく楽しく生活できるでしょう。
またピットブルは飼育の初心者だけでなく、小さな子どもがいる場合にもおすすめできません。子どもが不用意に刺激してしまい噛みつかれてしまう可能性があることを考えて、別の犬種を選ぶほうが安心です。
ピットブルを飼える人の特徴
強くたくましい姿に惹かれて、いつか飼ってみたいと思う人は多いでしょう。ピットブルを飼うのに向いているのはどのような人でしょうか?
しつけが難しい犬種といわれ、ほかの犬種と同様のしつけでは興奮したときに飼い主の指示に従わなくなってしまうかもしれません。そのため魅力だけに注目せずに、攻撃性や肉体的な強さを理解してしっかりとしつけができる人が向いています。これまで犬の飼育や訓練をした経験が豊富な人ならば、ピットブルとしっかりと信頼関係が築けるでしょう。
また、飼育には経済面を考えることも大切です。地域によっては脱走防止の頑丈なおりを設置する必要があるなど、費用もかかります。経済面で余裕があることも飼い主の条件になるでしょう。
安全に飼えるように、ピットブルの特徴を理解しましょう
ピットブルは攻撃的で危険なイメージが強いですが、飼い主への忠誠心が強いためきちんとしつけや訓練を行えば家庭でも安全に飼育できます。けれども、力が強く一度興奮すると抑えるのは難しい一面もあるため、犬の飼育経験が少ない人は向かない犬種です。
家に迎え入れるためには、広いスペースや長時間の散歩は欠かせないことや、特徴や性格を理解して飼育に適した環境を用意することが大切です。
念願がかなって憧れのピットブルとの暮らしが実現したならば、長く健康に暮らしてほしいと願うでしょう。喜んで食事する姿が見たくて、思わずペットフードをいろいろ取り寄せてしまいそうです。
「PETOKOTO FOODS」は人間が食べないものは使わずに、栄養学専門の獣医師と開発したペットフードです。新鮮な食材をスチーム加工してから急速冷凍するため、保存料を使わずに作られています。
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【参考サイトURL】
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