もくじ
1. お食い初めとは
2. お食い初めの準備
3. お食い初めのやり方と順番
4. お食い初め儀式が終わったら
5. お食い初めを大切な思い出に
お食い初めとは
「お食い初め」とは、生後100日を記念して行われるお祝いのひとつで、「一生食べることに困らないように」との願いをこめて赤ちゃんに食べ真似をさせる儀式です。地域によっては「お食い初め」ではなく、「箸揃え」「箸祝い」「真魚始め」「箸立て」などと呼ばれることもあります。
お食い初めの歴史と由来
お食い初めの起源や由来は、平安時代に遡ります。もともとは、生後50日に行われていたもので「五十日(いのか)の祝い」と呼ばれていましたが、室町時代から百日後にお祝いするのが風習となりました。
古代の日本では、「100日生きること」が一つの目標とされていたという説もあり、赤ちゃんの健やかな成長や食べ物に恵まれることを祈る行事として発展しました。
お食い初めの準備
お食い初めを実際にすることになったら、何を準備すれば良いのでしょうか。ここでは、お食い初めに必要な事柄や、必要なものなどを具体的にご紹介します。
お食い初めを行う日程と場所を決める
お食い初めを行うタイミングは、赤ちゃんの乳歯が生えはじめる生後100日~120日目に行うのが一般的だといわれています。しかし、ぴったりとその日に合わせなくても、生後3カ月~4カ月前後を目安に行うとよいでしょう。
お食い初めには父母、そしてその両親(赤ちゃんから見て祖父母)の参加が一般的ですが、家族の都合が合わない場合は、赤ちゃんの両親だけで行う場合もあります。
また、お食い初めをする場所は自宅の場合もありますが、料亭やレストラン、ホテルなどを利用するご家庭もあります。お宮参りと同じ日の場合は、神社の近くのお店などを利用するケースもあるようです。
自宅でお食い初めをするメリット、注意点は以下のとおりです。
● 慣れた自宅であるため、アットホームな雰囲気でリラックスしてお祝いできる
● スケジュールを調整しやすい
● 自分たちで好みのスタイルを取り入れることができる
● 場所代がかからず料理などを調整できるため、費用を抑えることができる
外でお食い初めをするメリット、注意点は以下のとおりです。
● 専門のスタッフに、お食い初めに必要なお祝い準備を依頼することができる
● 広いスペースを借りることもできるため、大人数でもお祝いができる
● 料理のバリエーションが豊富なので、お好みのタイプを選ぶことができる
● 料理を準備する手間がかからず、華やかなお祝い膳を準備できる
「お宮参り」と「お食い初め」を合わせて行うスタイルも
神社で行うお宮参りは、赤ちゃんが生まれて行う初めての行事です。最近では「お宮参り」と「お食い初め」を分けずに、合わせて行うケースも増えています。「お宮参り」は一般的に生後1カ月頃から100日くらいまでの間に行われる、新しい命の誕生を祝う大切な行事です。
「お宮参り」は、赤ちゃんの体調を考慮して「お食い初め」の時期まで日程をずらすケースもあります。無理をせず、季節や体調などに合わせて日時を決めると良いでしょう。
お食い初めに必要なものをそろえる
ここでは、お食い初めに必要な料理やものなどをご紹介します。
お食い初め料理のメニュー
基本的には、お食い初めの料理のメニューは「一汁三菜」となっています。鯛、赤飯、お吸い物、煮物、香の物の5品をそろえることが一般的です。「お食い初めセット」もあるため、何を用意すれば良いのか迷わずにすみます。
献立の内容は、地域ごとにさまざまであり「必ずこうしなくてはならない」というものではないため、それぞれのご家庭の状況に合わせて準備してみてください。
お食い初めの食器
お椀は漆器や素焼きのもので、男の子用は全部が朱塗り、女の子用は外側が黒塗りで内側が朱塗りのものが基本となっています。どのような食器を使えば良いのか迷ったら、食器のレンタルを活用するのもひとつの方法です。
現在では、離乳食で使用している食器を代用する場合もあります。正式な漆器を準備することが難しくても、家庭にある食器でお祝いの気持ちを込めて盛りつけるだけでも華やかになりますよ。
祝い箸
お食い初めには、「祝い箸」を準備します。祝い箸として使われる箸にはいくつかの種類があり、両端が細くなっている形状のお箸は「両口箸」と呼ばれています。これは、一方を人が一方を神様が食べるものとして「神人共食」という神様への感謝を表したお箸として知られています。また、柳の白木箸などを使用する場合もあります。おいしく楽しく食べることが大切であるため、お祝いの気持ちを込めてお箸もこだわって選ぶと良いでしょう。
歯固めの石
「歯固めの儀式」で使用するのが「歯固めの石」です。お宮参りの際に神社からもらうのが一般的で、遠方の場合は、近所の氏神様のいる神社の境内からいただく場合もあります。最近では通販で歯固め石を販売している場合もあるため、手に入らない場合は探してみるのもひとつの方法です。地域によっては、石ではなく梅干しや栗などで代用することもあります。
お食い初めの服装
お食い初めは、「お色直し式」を兼ねる伝統があります。小さな袖口の「小袖」を着せることが多く、母方の実家から贈られるのが習わしとなっています。小袖は、袖幅や袖丈が短いタイプの着物で男の子と女の子それぞれの小袖の特徴があるため、下記で簡単にご紹介します。
● 男の子の小袖は、一般的に伝統的なデザインや柄のタイプが多く、青や緑などの色合いのものを選びます。小袖に合うベビー袴などを準備します。
● 女の子は、華やかなデザイン、ピンクや赤、白などの明るい色合いを選ぶことが多いようです。男の子と同様に小袖に合うベビー袴などを準備します。
ただ、本格的な着物を着用するのは赤ちゃんにとってはストレスになる場合もあるため、正装にこだわることはなくフォーマルなベビードレスやタキシード風のロンパースなどのベビーウェアを着用することもあります。
フォーマルな雰囲気のロンパースを着用した場合は、着替えがしやすくおむつ替えも楽なので、赤ちゃんも過ごしやすくお世話をする人にとっても助かることでしょう。お食い初めをする場所に合わせて適切に服装を選択するのがおすすめです。
記念写真の準備も忘れずに
当日は、お食い初めの様子をカメラに収めたいもの。映像や写真を残せば一生の宝物になるので、記録用のビデオやカメラの準備、充電なども事前にしっかりとしておくと良いでしょう。
お子さんにとって一生に一回の大切な儀式となるため、自分たちで撮影する以外にも、プロのカメラマンに撮影を依頼するのもひとつの方法です。写真スタジオを予約すれば、撮影だけではなく赤ちゃんや家族の衣装のレンタルや着付けをしてもらえる場合もあります。お好みに合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
最近では、記念に寝相アートをしたり、素敵な飾りつけをしたりして撮影をするご家庭もあるのだそう。あらかじめ必要なアイテムも準備しておくと安心です。自宅で写真撮影する場合は、バルーンやウォールデコレーションなどで部屋の雰囲気を華やかにすることができます。背景にもこだわると、思い出に残る記念写真になるでしょう。
お食い初めのやり方と順番
ここでは、お食い初めのやり方と順番についてご紹介します。
料理の並べ方
自分から見て手前左に飯碗、手前右に汁椀を置きます。その左奥に平椀、右奥につぼ椀を並べ、中央には高杯を置きます。平皿はお膳の外に置くのが一般的です。
それぞれの食器に入れるものは、下記のような料理が基本になります。
飯椀:お食い初めの大切な料理のひとつである赤飯やご飯もの
汁椀:出汁をベースにしたお吸い物などの汁物
平椀:出汁や醤油で味付けをした煮物など温かいもの
つぼ椀:香の物(漬物)、酢の物など冷たいもの
高坏:歯固め石、梅干しなど
平皿:鯛など尾頭つきの魚
赤ちゃんに食べさせる順番
次に、赤ちゃんにお料理を食べさせる順番をご紹介します。
1. 赤飯などのご飯
2. お吸い物
3. 赤飯などの ご飯
4. 鯛のお頭などお魚
5. 赤飯などのご飯
6. お吸い物
これを3回繰り返すのが一般的です。最後に歯固めの石を歯茎にあてたり噛ませたりして、歯固めの儀式を行います。赤ちゃんの誤飲などが懸念されるため、赤ちゃんの歯茎に歯固めの石を直接当てないように注意しましょう。
食べさせ役は年長者
赤ちゃんに食べさせる真似をする役は、赤ちゃんの成長を祝福する役割である「養い親」が行います。「養い親」は祖父母様もしくは親戚の中最年長の人を指し、男の子なら男性が、女の子なら女性が「養い親」となって、自分の膝の上に赤ちゃんを乗せて食べさせる真似をするのが一般的です。
両親と赤ちゃんだけで行う場合は、男の子であれば父親が、女の子であれば母親が「養い親」の役をすることもあります。地域の風習などに従い、食べさせる人を決めると良いでしょう。
お食い初めのお祝いマナー
地域によっては、「お食い初め」祝い膳一式を母方の実家から贈る習わしがあります。招待された場合には、祝い膳の金額を目安に現金を包む場合もあります。ほかにも、衣類やおもちゃ、絵本などを添えるのも良いでしょう。赤ちゃんやその家族へのお祝いの気持ちと、赤ちゃんの健やかな成長や幸せを願う言葉とともに渡せば、あなたの気持ちがより伝わります。
お食い初め儀式が終わったら
お食い初めの儀式が終わったら、赤ちゃんは慣れない着物で疲れてしまわないように、
普段着ている楽な服に着替えさせてあげましょう。
祝い膳に盛られた料理は、手付かずのまま残さずに集まった家族で食べるのが一般的です。祝い箸はすぐにゴミ箱に捨てるのはご法度になっているため、神様への感謝の気持ちを込めて下記のように処分する方法を参考にしてみてください。
● 塩でお清めをしたあと、白い紙に包んで家庭ごみとは分けて処分する
※神様への感謝の気持ちを込めて処分する
● 年末年始にお食い初めをした場合は、小正月に行われる神社の「どんど焼き」に出してお焚き上げしてもらう
もし、自宅で漆器や離乳食用の食器などを使用して祝い膳を用意した場合は、きちんと洗ってからしまいます。
お食い初めに出席した方からのお祝いをいただいた場合は、基本的にはお返しは不要ですがお食い初めのときの写真を添えてお礼のお手紙を送るなど、感謝の気持ちを伝えると良いでしょう。
お食い初めを大切な思い出に
お食い初めは、赤ちゃんの健やかな成長を願う大切な行事。さまざまな決まりや作法はありますが、ご家庭の状況や希望に合わせながら楽しく行えるよう工夫してくださいね。
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