もくじ
1.武道とは
2.武道には主に9つの種類がある
3.武道を始めるメリット
4.武道を始めるには
まとめ.武道は年齢や性別問わず初心者から始められる!
武道とは
そもそも武道とはどのようなものなのかわからない方もいるでしょう。ここでは、武道にはどのような歴史があるのか、また明治以降の現代では武道がどのように変化していったのか、武道が今の形になったのはいつ頃なのかなどを、武道と武術・武芸に違いとあわせてご紹介します。
武道の歴史
「武道」という言葉は江戸時代以前からありました。そもそも、日本で武道が成立したのは江戸時代になってからといわれており、それ以前は現在の武道という言葉からイメージする形とは別のものでした。
武道が成立する以前は、戦いや立身出世のための芸として剣術や体術などを学びました。江戸時代に入ると、武士階級の教養の一つとして確立し、古くからある精神文化と融合し「武道」となります。ただし、現在とは意味が異なり、武士道という意味で使われていました。
現在のような「武道」という考え方は大正期に柔道、剣道、弓道などの総称として確立したといわれています。
武道と武術・武芸の違い
武士が守るべき道徳や武士道のことを「武道」といいます。一方、武術や武芸は武士が戦いに勝つために身につける技や技術のことです。弓術・柔術・馬術・槍術・砲術などがあります。
弓術は弥生時代に現れたとされています。和弓の原型と考えられる弓矢は、すでに戦争で使われていました。飛鳥時代の後期に、朝廷での弓射に関する礼法や技術がまとめられて、弓術となりました。ただ、弓術は歴史が古いため、明確なことはわかっていません。
「武芸」という言葉が初めて登場した平安時代では、まだ武器として用いられていましたが、火縄銃が登場した戦国時代に入ると戦場での活用が減り、以降武術・武芸としての弓術が一般的になっています。明治維新後は弓術は衰退しますが、弓道として受け継がれています。
武術・武芸で使われる弓矢は、元は狩猟用に生まれた武具です。遠くの獲物を仕留めるために使われてきました。現代では、弓を用いた儀式の弓取式や流鏑馬、お守りの破魔矢として浸透しています。
「武士」は、平安時代中期に地方で成長した有力農民が武装したことで誕生しました。武士は武術・武芸を身につけて、激しい闘争に勝ち抜く力を養っていったのです。
出典:武道とは
古武道とは
「古武道」とは明治維新以前に生まれた武道のことです。馬術・槍術・弓術・柔術・剣術・棒術・砲術・枝術など、「術」がついているものが古武道にあたります。
武士が身につけるべき古武術を「武芸十八般」といいます。武芸十八般とは、18種類の中国武術・武芸のことです
日本では日本の武器にちなんだ武術・武芸が改められて、江戸時代中期に日本に伝えられました。
18種類の古武道は以下のとおりです。
1. 剣術(けんじゅつ)
刀剣を使って戦う武術・武芸。
2. 小具足術(こぐそくじゅつ)
脇差や短刀など、日本刀よりも短い刀を使用して戦う武術・武芸。
3. 槍術(そうじゅつ)
長い柄の先に刀剣をつけた槍を使って戦う武術・武芸。
4. 薙刀術(なぎなたじゅつ)
長い柄の先に刀身をつけた薙刀を使って戦う武芸・武芸。
5. 棒術(ぼうじゅつ)
間棒や半棒を使って戦う武術・武芸。
6. 杖術(じょうじゅつ)
枝を使って戦う武術・武芸のこと。棒術から発展したもの。
7. 居合術・抜刀術(いあいじゅつ)
敵と居合わせた時に素早く刀剣を抜いて戦う武術・武芸。
8. 弓術(きょうじゅつ)
和弓を使って戦う武術・武芸。
9. 馬術(ばじゅつ)
馬に乗って操る武術・武芸。流鏑馬・かさがけ・犬追物がある。
10. 柔術(じょうじゅつ)
武器を使わず戦う武術・武芸。
11. 捕縄術(ほじょうじゅつ)
縄を使って人を捕まえる武術・武芸。
12. 手裏剣術(しゅりけんじゅつ)
手のひらで小剣を投げて戦う武術・武芸。
13. 十手術(じってじゅつ)
鉄製の棒である十手を使って捕まえる武術・武芸。
14. 鎖鎌術(くさりがまじゅつ)
鎖鎌を使って戦う武術・武芸。
15. 水術(すいじゅつ)
水中で武器を使ったり馬に乗ったりする武術・武芸。
16. 砲術(ほうじゅつ)
鉄棒で弾丸を発射させる武術・武芸。
17. もじり術(もじりじゅつ)
長柄の先に鉄叉をつけたもじりを使って戦う武術・武芸。
18. 隠術(しのびのじゅつ)
敵に忍び込んで探索する忍術。
1868年の明治維新によって西洋式の軍隊を導入した結果、古武道は衰退していきました。
現在の武道
江戸時代には武士の教養の一つとして学ばれていた武道ですが、明治時代以降、身分制度の撤廃により武士階級がなくなったことで転機が訪れます。武士の階級がなくなったことで、武道は武士だけのものではなくなり、一般の人にも広まることになりました。現在ではスポーツの要素も加わることで武道競技として大会が開かれることもあり、一部はオリンピックの競技にも取り入れられています。
武道には主に9つの種類がある
武道と一口にいっても、一つの競技ではなく複数の競技があります。ここでは、武道にはどのような種類の競技があるのか代表的なものを9つご紹介します。
柔道
数ある武道のなかでも柔道はとてもポピュラーな競技ではないでしょうか。柔道はオリンピックの正式種目にもなっている競技で、日本国内だけでなく世界的にも知られている武道の一つです。また、柔道は学校の授業や部活でも取り入れられているため、経験する機会が多い武道でもあります。
柔道は古くから日本に伝わる柔術を元に1882年に作られたものです。武器や防具等は使わず道着を着用して競技に挑みます。突きや蹴りなどの技はなく、「投げ技」や、押さえ込みなどの「固め技」で相手と競い、審判員の判定によって勝負がつきます。
剣道
剣道は柔道と同様に学校の体育の授業で取り入れられている場合があり、一度はやったことがあるという方が多い武道なのではないでしょうか。剣道は江戸時代後期に竹刀の稽古として行われていたものです。道着と袴を着用し、その上にたれや防具を着けて競技に挑みます。
竹刀で相手の「面」「小手」「胴」「突き」と決められた部位に有効打突を入れることで勝敗を決めます。有効打突は3人の審判で判定し、3本勝負で2本先取した人が勝者となります。
弓道
弓道は和弓で矢を放ち、的に当てる競技です。的の真ん中に当たると高得点になるわけではなく、的に刺さることで1点となります。競技は2種類あり、近的競技と遠的競技があります。近的競技は28m先にある36㎝の的を狙い、遠的競技は60m先にある100㎝の的を狙い、矢を放ちます。体力を重視するというよりも、高い集中力を求められる競技であり、学校の部活動にも取り入れられています。
弓道は、足踏み、胴造り、弓構え、打起し、引分け、会、離れ、残心の8つの基本姿勢があります。
相撲
1500年以上の歴史を持つ相撲は、日本の国技といわれている武道でもあります。日本国内で人気の高い武道の一つですが、広まったとされるのは江戸時代で、職業として相撲をする人が生まれました。相撲の競技をする人のことを「力士」と呼び、裸に化粧まわしを締め、髪の毛は髷を結ったスタイルが特徴的です。
土を盛って作った土俵と呼ばれる囲いのなかで、1対1で組み合って戦います。土俵の外に出てしまうか、足の裏以外が土俵についてしまうと負けです。
空手道
空手道の発祥は琉球王国とされており、大正時代に沖縄県から全国に伝わった武道とされています。空手には「突き」「蹴り」「崩し」といった基本的な技があり 、競技には相手を想定して1人で行う「形」と呼ばれる演舞と、1対1で勝負する「組手」があります。空手は大きくわけて伝統派空手とフルコンタクト空手があり、オリンピック種目になっているのは伝統派空手になります。伝統派空手においての「組手」では、相手に直接打撃を与えないのがルールとなっています。
合気道
合気道は護身術としても人気があります。大正時代の末期から昭和初期にかけて確立された武道で、年齢や性別、体格を問わず多くの人が取り組める武道です。
合気道の練習は、「取り」といわれる技をかける人と「受け」といわれる技をかけられる人の2人1組で行います。合気道には試合はなく、あらかじめ流れが決められた技を披露する演舞大会があります。勝敗は技の完成度によって他のペアと優劣をつけて決めるのが特徴です。
少林寺拳法
少林寺拳法を中国発祥と認識している人は少なくないでしょう。しかし、少林寺拳法は日本発祥の武道の一つです。中国の「少林拳」の影響を受けているといわれているものの、実際は柔道に近い武術といえます。少林寺拳法は、戦後の日本において宗道臣が香川県多度津町で創始しました。
道具を持たずに攻撃をする「攻者」 と自ら攻撃しない「守者」に分かれて少林寺拳法は戦います。競技としては、2人1組で行う演武と、防具をつけて実際に戦う運用法があります。
なぎなた
なぎなたは道着に袴を着用しその上から防具をつけて競技を行います。剣道と似ていますが、すねも攻撃部位となるので防具はすね当ても使用します。使用するなぎなたは、2m以上もある刀のような棒になります。有効打突 は「面」「小手」「胴」「すね」「突き」の5つで、3本勝負のうち2本先取で勝利となります。
なぎなたははっきりとしたルーツがわからないものの、1000年頃の文書には長刀の絵や文字が登場していることや江戸時代には女性の競技者が多くなったことがわかっています。現在でも男性の競技者もいるものの、女性のほうが競技者が多いとされている武道です 。
銃剣道
銃剣道は明治時代にフランスから伝わった西洋式銃剣術を取り入れて確立された武道で、銃の先端に短剣をつけて戦ったことがルーツとなっています。現代に伝わるスタイルは第2次世界大戦のあとに競技として改良されたものです。
銃剣道は剣道と同じように袴を着用し、銃のような形をした木銃(もくじゅう)を使用して競技を行います。技は「突き」のみで、打技はありません。正しい姿勢で相手の喉もしくは左胸をつくことで勝敗がつき、3本勝負の場合は時間内に2本先取した人が勝者となります。
武道を始めるメリット
武道を始めることで、単純に体力向上が期待できるだけでなく、武道特有の礼儀正しさや1本を決めるための集中力が身につくなどさまざまなメリットがあります。ここでは、どのようなメリットがあるのかいくつかご紹介します。
礼儀正しさが身につく
武道は「礼に始まり礼に終わる」というほど、礼儀や礼節が重要とされています。例えば、道場に入る際には一礼してから入り、神棚に一礼するなど礼を重んじるのが武道です。稽古の際も挨拶や礼から始まるため、礼儀正しさが身につきます。年長の人に礼にはじまり所作や道具の扱い方など、その武道の全てのことを習うことになるので、自然と上下関係を学ぶことにもなるでしょう。
また、きびきびとした挨拶や言葉遣い、相手に敬意を払うことなどを、武道を通して学ぶことで、人としての品格や相手への思いやりも身についていきます。
集中力が高まる
武道のなかでの心構えの一つとして「残心」というものがあります。残心は、練習や試合にかかわらず、どのようなときでも相手からの攻撃に備えるための心構えであり、相手の動きに絶えず注意を払うものです。具体的には、技を打ったあともすぐに相手に向き直り、構えを崩さないことを意識するのが残心の心構えとなります。残心を行うには、一瞬の気の緩みが起こらないように、雑念を追い払い、心を途切れさせないようにする必要があります。
また、残心に限らず武道に取り組むことによって、達成感などから安定した精神につながり、集中力の向上につながります。
体力が向上する
武道は基本的にどの競技も全身運動になります。そのため、体力の向上に有効です。競技によっては、基本的な体力向上だけでなく、筋力や瞬発力、持久力を高めることができます。また、普段は使わない筋肉を武道では使うことになるので、体幹が鍛えられ、トレーニングにより体力もついてくることになります。筋肉量が増えることにもなるので、代謝アップが期待でき、ダイエット面にも良い働きがあるでしょう。
体が柔軟になる
武道では競技によっては肩甲骨や股関節などを多く使うことになります。デスクワークなどで運動する習慣がない人は、肩甲骨や股関節などを日頃使う機会がなく、体が硬くなっている傾向があります。 柔道や剣道、弓道などの武道の動きには肩甲骨や股関節を大きく使う動きがあり、武道を続けることで柔軟性が回復し、ケガをしにくい体づくりができます。
初心者から始められる
もちろん小さい頃から武道を始める人も多くいますが、武道の種類によっては年齢や性別にかかわらず、初心者からでも取り組めるメリットが数多くあります 。多くの道場では、子どもからお年寄りまで受け入れが可能となっており、年齢や経験に応じて無理なく少しずつステップアップできるように練習を始められるようになっています。また、道場のなかでは幅広い年齢層の人がおり、お年寄りも現役で稽古をしていることは珍しくありません。一度始めてしまえば長く続けられる点もメリットといえます。
護身術として有効
武道を習うきっかけとして、護身術として習おうと考える人も多いでしょう。比較的治安が良い日本ですが、いざというときに備えて護身術を身につけておくと良いかもしれません。専門家も推奨、指導していることもあるほど、武道は護身術として有効です。
身を守るという観点では、特に柔道などで学ぶ受け身は転んだときなどにもとっさにダメージを減らすことにつながるので覚えておいて損はないでしょう。武道の稽古を通じて、心身を鍛えるとともに、自己防衛術も身につけられます。
武道を始めるには
武道を始めてみたいけれど、具体的にどのようなアクションを起こしたら良いのかわからない人もいるでしょう。武道を習うには、まずは道場を探して見学や体験をしてみることから始めるのがおすすめです。道場はインターネットや街の掲示板、地域の広報誌、チラシなど、さまざまな方法で探すことができます。
武道というと厳しいイメージを抱く人もおり、敷居が高く感じてしまうこともあるでしょう。道場ごとに雰囲気が違うこともあり、自分に合うか不安に感じる人もいるかと思います。実際に武道を体験してみて、自分に合うと感じたら入会してみましょう。
武道は年齢や性別問わず初心者から始められる!
ここまで武道について、歴史や種類、メリットなどをご紹介しました。主要な武道は9種類あり、競技によっては年齢や性別に関係なく始められるものもあります。武道を習うことで、心身が鍛えられるため、興味がある方は道場を探して見学・体験をしてみましょう。
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参考URL
武道の種類まとめ!始め方や道具の値段も解説 | WeXpats Guide(ウィーエクスパッツガイド)
武道の種類一覧【特徴や人口もご紹介】 - 空手情報サイト SORUSH‼︎
what | 少林寺拳法公式サイト | SHORINJI KEMPO OFFICIAL SITE
日本における武道の魅力と武道をおこなうことのメリット | にほんご日和