国民的アニメ「サザエさん」マニアウォッチャーであり、日本で唯一じゃんけんコーナーを30年以上研究し続ける「サザエさんじゃんけん研究所」の主宰・高木啓之。「サザエさんじゃんけん」を長年分析したその偏愛研究結果から見えてきたものとは。これであなたも「サザエさん」に勝てる!?
あなたは「サザエさんじゃんけん」をご存知でしょうか。これは、現在放送中のアニメ番組「サザエさん」の次回予告で、主役のフグ田サザエというキャラクターが番組視聴者にじゃんけんを挑むコーナーです。
私は、この「サザエさんじゃんけん」のコーナーが始まった1991年から1回も欠かさずウォッチし続けている「サザエさんじゃんけん研究家」です。
具体的な活動内容として、フグ田サザエが出した全ての手を記録し、蓄積されたデータから傾向を分析して次に出される可能性が高い手を予想しています。また、個人ウェブサイト「サザエさんじゃんけん研究所」やX(旧Twitter)で「サザエさん」に関する最新の情報を発信しています。
サザエさんジャンケンの攻略データを絶やすわけにはいかない
この活動を始めたきっかけは、1991年当時に何の気なしに見ていた「サザエさん」でフグ田サザエが突然じゃんけんを始めたことに衝撃を受け、私が当時活動していたアニメファン向けネット掲示板(注:当時はインターネットが一般に普及する前だったため、パソコンとホストコンピューターを一般の固定電話回線で直接接続する「パソコン通信」がメインでした)で話題にしたことでした。
そのネット掲示板では、当時放送されていた様々なアニメ番組に関する感想が活発に書き込まれていました。そして、サザエさんじゃんけんに対しては、参加していたメンバーの間で「誰が最も多くフグ田サザエに勝つことができるか」という競争が始まり、「サザエさんじゃんけん」の攻略法を探求することになりました。
その後しばらくして飽きたメンバーが脱落してゆき、最後に私だけが残ってそのまま33年が経過しました。最初に言い出した者と最後に残った者として、データの完全性と継続性を絶やしてはいけないという責任感から現在も活動を続けています。
X(旧Twitter)での情報発信を2011年に始めたところ、2024年6月現在は約15000人にフォローされており、「サザエさんじゃんけん」に対する関心の高さを感じています。
X(旧Twitter)での活動により判明したことは、「サザエさんじゃんけん」だけでなく非常に多様な観点での「サザエさんマニア」が存在していることです。例えば「サザエさん原作出典特定マニア」「サザエさん脚本家マニア」「サザエさん瞬間湯沸かし器マニア」「サザエさんサブタイトルマニア」「サザエさんゲスト声優マニア」「サザエさんサブキャラクター登場回数集計マニア」「磯野カツオのテスト点数集計マニア」などがX(旧Twitter)で活発に活動しています。これらのサザエさんマニアから発信されている興味深い情報を私のX(旧Twitter)アカウントからリポスト(旧リツイート)していますので、あなたも私のX(旧Twitter)アカウントをフォローしてこのディープ過ぎる世界を覗いてみてはいかがでしょうか。
サザエさんじゃんけん界隈が湧いた奇跡の2020年
この33年間で最も衝撃的だった出来事は2020年に5回連続で同じ手が出たことです。フグ田サザエが2回連続で同じ手を出した後に、更にその次も同じ手を出すことは下の表に示した通り33年間にわずか15例しかない非常にレアなケースのためです。5回連続の同じ手という意外過ぎる状況に愕然とする内容をポストしたところ大きな反響があり、そのことについてテレビ番組からの取材があったほどです。
期間 | 内容 |
1993年6月13日~7月4日 | 4連続グー |
1999年6月27日~7月11日 | 3連続パー |
1999年8月22日~9月5日 | 3連続チョキ |
2000年6月25日~7月9日 | 3連続チョキ |
2001年2月4日~2月18日 | 3連続チョキ |
2003年5月4日~5月18日 | 3連続グー |
2003年8月10日~8月24日 | 3連続パー |
2003年9月7日~9月21日 | 3連続グー |
2004年11月7日~11月28日 | 4連続グー |
2005年5月22日~6月5日 | 3連続パー |
2006年2月26日~3月12日 | 3連続グー |
2008年11月2日~11月16日 | 3連続チョキ |
2020年5月10日~6月7日 | 5連続パー |
2023年10月1日~10月15日 | 3連続チョキ |
2023年12月24日~2024年1月7日 | 3連続チョキ |
サザエさんじゃんけんの傾向
最後に、「サザエさんじゃんけん」の具体的な傾向をご紹介します。これらの傾向から、フグ田サザエが出す手が人為的に決められていることと「サザエさんじゃんけん」に対してある程度の攻略が可能であることがわかります。
1.全期間のグー・チョキ・パーの割合はほぼ均等
33年間の平均はグーの割合が約32%、チョキの割合が約35%、パーの割合が約33%です。したがって、特定の手に偏っているわけではありません。
2.前回までに出た手によって、その次に出る手の割合が変わる
一例として、2023年1月から2024年6月までにチョキ→パーの順番で出たケースは12例ありますが、その次に出た手の内訳はグーが9例、チョキが2例、パーが1例と非常に偏っています。
3.特別な条件を満たすとチョキの割合が高くなる
条件その1:クールの初回
過去10年間のクールの初回に出た手はグーが1例、チョキが37例、パーが2例と非常に偏っています。特に、1月の初回は今年まで30年連続チョキが継続中ですが、これの意図や理由は完全に不明で、サザエさんじゃんけん最大の謎と考えています。
条件その2:スペシャル回
過去10年間のスペシャル回(1時間スペシャルおよびFNS27時間テレビ連動企画)に出た手はグーが1例、チョキが16例、パーが1例と非常に偏っています。
条件その3:フライングタマ発生回
フライングタマとはオープニングアニメーションの最後に磯野家の飼い猫のタマが果物などの中から人間のキャラクターよりも先に飛び出してしまうという稀な現象の通称です。2019年1月から2024年6月までに49回の発生が確認されていますが、これが発生した回に出た手はグーが11例、チョキが25例、パーが13例と非常に偏っています。
最初は独りぼっちで誰からも注目されなかった研究でしたが、33年続けた今では非常に多くの皆様からご支持いただいている研究になりました。上記の内容や私の個人ウェブサイトで公開している情報を参考にして、あなたも是非「サザエさんじゃんけん」にチャレンジしてみてください。