お笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」のボケを担当している、平井“ファラオ”光に<偏愛>している物について語っていただく企画。今回は、満を持して・クロミについて語っていただいた。

 

ファラオの最推しサンリオキャラクター

今この世はサンリオが熱い。

これは割と大袈裟でなくそう思う。僕自身、約6年前にサンリオにハマって以降サンリオアンテナが敏感になっていることを抜きにしても、明らかに世間でのサンリオに対する興味は増していっている。

そしてここ数年、そんなサンリオの中においても特に勢いがあるのが『クロミ』というキャラクターである。今や街を歩けばお店や人々のファッションに至るまでそこかしこにクロミ。監視カメラよりも多いかもしれない。

というわけで以前この5PM Journalさんでハローキティについての記事を書かせていただいたサンリオ大好きファラオさんだが、今回はサンリオが誇るクロミにスポットを当てて書いていこうと思う。

まず何を隠そう、僕の最推しキャラクターである。

サンリオを好きになった当初、ホームページのキャラクター一覧を眺めていたとき、ふと目に入ったその姿。
明るいパステルカラーを基調としたキャラクターが多い中、黒を基調とし、額にはドクロマーク、そして何やらイヒヒとでも笑っていそうな悪巧み顔。

調べてみるとどうやらこの子はかの有名なマイメロディの自称ライバルキャラクターだそうだ。
マイメロディのSNSにもたびたび登場し、イタズラを仕掛けたり、怒ったり、嫉妬したり、そして時には優しさを見せたり。

なんだぁ?可愛いぞ?

『ギャップ』というものはいつの世も人々を惹きつける魅力となりやすい。
一本芯の通ったかっこよさと、その実誰よりも女の子らしい可愛さのギャップ。
クロミはこれまでのサンリオキャラクターにはなかった新たな個性をサンリオに持ち込み、サンリオという世界そのものにさらなる深みを持たせた、非常に重要なキャラクターだったのだ。

ちなみに僕もこんな見た目や芸風でサンリオ好きということ自体がよくギャップとして取り上げられる(イジられる)。それが人を惹きつけているのか引き離しているのかはまあ……ね。いいじゃないですか。

そんなわかりやすく世間でいうところの『ツンデレ』的な性格のこのクロミが僕はとにかく気になった。
以後僕はクロミのグッズを漁るようになり、知れば知るほどその魅力にズブズブとハマっていった。

サンリオピューロランドで素敵なコスチュームに身を包み、ダンスしたり他のキャラクターと絡んだりするときのクロミの可愛さには毎度参らせていただいている。

ものすごく個人的に好きなシーンがあるのだが、ピューロランド25周年のときに始まった、現在でも定番のショー『Miracle Gift Parade』にて、キャラクター登場時の『THE WORLD OF DREAM』のイントロ部分。フロートに乗り一番手として登場するクロミが、座っている体勢からスイッチを入れるように立ち上がる瞬間。曲の盛り上がりも相まって、まさにクロミここにありを見せつける、オーラ全開鳥肌シーンである。

また、イベントごとに披露されるコスチュームも毎度素敵なものが多い。特に毎年のハロウィンや、『Puro Easter』、今年のピューロランドネオナツマツリのコスチュームなどは個人的に大好きなコスチュームである。とはいえ最終的には本来のシンプル正面顔が結局一番魅力的というところに辿り着いてしまうのも、ひとつのファン心理かもしれない。

そんな魅力まみれのクロミだが、デビュー当時から人気キャラクターではあったものの、ライバル視しているマイメロディには長らく今一歩及ばない状態が続いていた。キャラクター大賞では満足のいく結果でなかったときに、後のツイートにて珍しく落ち込み、弱みを見せることもあった。

 

 

2021年『#世界クロミ化計画』が始動

そんな常にマイメロディの影に隠れた存在であったクロミのデビュー後、再び注目され始めたのは2019年頃。サンリオキャラクター大賞において久々に一桁以内(7位)に入ったあたりである。

この頃から年々人気を伸ばし、今やサンリオキャラクター大賞では3年連続3位という好成績を収めている。
別にこれといって目立つ仕掛けがあったわけでもなく、自然発生的に人気が再燃していった感じだが、様々な要因により息苦しく気疲れしやすい現代社会において、自由で正直で自分らしく生きるクロミの生き方に、ある種の憧れや共感の気持ちを持つ人が増えたのかもしれない。

そして2021年、クロミは大いなるプロジェクトを始動させる。

『#世界クロミ化計画』と名づけられたその計画は、クロミの『なりたい自分になる』というスピリットを世界中に広めるために始まった。別に全ての人間が黒頭巾を被って『アタイ』という一人称で喋り、らっきょうを主食として生きていかなければならないわけではない。
その第一歩目として、クロミのサンリオ公式としては初の楽曲『Greedy Greedy』が発表され、これまではマイメロディのXに定期的に登場するだけだったのが、単独としてのSNSアカウントも開設され、その勢いを加速していった。

クロミに共感し、クロミと共になりたい自分になっちゃう仲間を総称して『KUROMIES』(クロミーズ)と呼ぶ。今やその数はクロミーズ数十万とかクロミーズ数百万とかになるかもしれない。その人気はサンリオキャラクター大賞の海外順位にも大いに反映されている。つまり文字通り『#世界クロミ化計画』は着々と進んでいるのである。

さて、そんなクロミだが、来年にはとうとう20周年を迎えることになる。浮き沈みもあったこの20年はクロミにとって非常に濃厚な年月だったと思う。おそらくハロウィンであり誕生日でもあるこの秋から本格的に20周年のイベントがスタートすることだろう。過去最高に脂の乗っている今のクロミが何を仕掛けてくるのか、既に死ぬほど楽しみである。

ちなみにこれからクロミの魅力を掘っていこうと思っている方には、都内在住であればやはりピューロランドでクロミとのグリーティングを体験していただきたい。

ファンに寄り添うというよりは、そのカリスマ性をもってファンを引っ張っていくスタンスのクロミは、ある種のロックスターのようであり、ドラクロワ作『民衆を導く自由の女神』の女神のようでもある。

ハローキティのコラムではハローキティを『愛』の象徴と書いたが、僕にとってクロミは『信念』の象徴である。

その点で以前のコラムでも書かせていただいた、女流日本画家にして信念の人・上村松園に通じる魅力がクロミにはある。
松園は今よりも社会的に不利だった女性という立場から、クロミは何かと息苦しく個性を抑えられがちな現代という時代から、それぞれ信念をもって人々の固定観念を覆してきた。
もしもどちらかが同じ時代に存在していたら是非松園にクロミを描いてみてもらいたいし、クロミに『序の舞』のポーズをとってみてほしい。

『なりたい自分になる』という自由に向かって信念を持って先頭を行くクロミに、そこのあんたも一緒について行ってみようじゃないか。

きっと夢の扉が開けるはず。