皆さんはソフトクリームとの思い出ってありますか?
家族で行った遊園地、ショッピングモールのフードコート、旅先のサービスエリア……。このようなソフトクリームの原風景をお持ちではないでしょうか。
私にとってのソフトクリームの原風景は、家族旅行でのちょっとしたお土産屋さんで食べたソフトクリーム。当時は特に食べたいと強く思ったわけでもなく、それでも自然とソフトクリームをねだっていたような思い出があります。

 

 

振り返ってみるとソフトクリームは思い出の中心ではなく、どこかへ行った時の“ついでに”食べるもの。ソフトクリームってそんな存在に過ぎない。
いいえ。ソフトクリームはそんな食べ物ではないのです。
ソフトクリーム活動、通称"ソフカツ"に人生を捧げるソフトクリーム偏愛の私は、ソフトクリームを年間500個以上食べ歩き、その様子をブログやSNSにて発信。カフェやレストランはもちろん、旅先、道の駅、物産展、時には海外まで、ソフトクリームのあるところならどこへでも出没します。ソフトクリームを構成するもの、それはとても複雑で、知れば知るほどまたひとつ、またひとつ……と食べたくなってしまう。そんな魅力的な食べ物なんです。
今回は皆さんにソフトクリームの奥深さを知っていただき、この記事を読み終わるころにはソフトクリームが食べたくなる。そんな気分になってもらえたらと思います。

 

出会いは一期一会

「ソフトクリームの1番の魅力は何ですか?」と聞かれたら、必ず「ソフトクリームとの出会いは一期一会」と答えています。
アイスクリームのように冷凍庫で保存ができず、その場に行かないと食べることができない、またその時のサーバーの調子(サーバーについては後述)、気温や湿度、ソフトクリームを作る人の技量など……ソフトクリームを構成しているものは今この瞬間でしか成り立たず、同じお店で同じ味のソフトクリームを食べたとしても、二度と同じソフトクリームに出会うことはできないのです。

 

コーン派?カップ派?

氷菓界隈でも意見の分かれるこの派閥。周りのマニアの間ではカップ派の方が多いようですが、私は圧倒的コーン派です。純粋にソフトクリームだけを楽しむにはカップが良いかもしれません。でも私はコーンの先まで食べてこそソフトクリームを最後まで味わった気持ちになれるのです。
コーンの種類も色々あり、1番オーソドックスなシュガーコーン、食べ応えのあるワッフルコーン、メープル味のコーンなどがあります。
濃厚なミルクやチョコレートフレーバーにはワッフルコーン、牛乳のようなさっぱりとしたミルクにはシュガーコーンとの相性が良いです。シャーベット系のフルーツフレーバーはコーンとの相性がイマイチなので、コーン派の私でもカップで食べることが多いです。

 

手焼きのワッフルコーン。焼きたてのほんのり温かいコーンが出てくることも。

 

ソフトクリーム界のフェラーリ!?

こう言われているのが、イタリアのカルピジャーニ社のソフトクリームサーバーです。カルピジャーニのサーバーは他のメーカーと比べて空気の含有量が多く、ふわふわとしたまるで生クリームのような食感のソフトクリームが作られます。
お値段も他のメーカーと比べ段違いなこともあり、ソフトクリーム界のフェラーリと名を馳せているのです。

 

カルピジャーニのサーバーで作られたふわふわのソフトクリーム。マニアは先端を見るだけでふわふわしているか否か分かる。

 

圧倒的なシェアを誇るのは、日本の日世のサーバー。こちらはねっとりとしたソフトクリームらしい食感のソフトクリームが食べられます。
しかし、昨今ではカルピジャーニの知名度も上がり、サーバーを導入するだけ導入して全く良さが生かされていないお店も出てくるという由々しき事態も見受けられるので、サーバーだけを見て判断するのではなく、しっかり自分の舌で確かめないといけません。

 

「インスタ映え」、「フォトジェニックブーム」を経て‥

これまでソフトクリームの形の定番と言えば星型の絞り口から出たものでしたが、数年前のインスタ映えブームから丸口のソフトクリームがどんどんと増えてきました。(私はうんちゃんソフトと呼んでいます。笑)ころんとおもちゃのようなフォルムが可愛いので、若い子をターゲットにしているお店でよく見受けられます。

 

丸口から出たソフトクリームはねっとりとしたソフトクリームの食感をダイレクトに感じられる。

 

また、花びらのような独特の形のソフトクリームを提供しているお店もあるのですが、この形のソフトクリームを提供しているお店はかなり珍しく、私も年に数本しか出会うことができないレアなソフトクリームです。

 

花びらやリボンのような美しいフォルム。見た目以上にボリューミー。

 

さらにここ数年は、インスタ映えから派生して高級ソフトクリームも増えてきました。特に都内ではパティスリーがこだわって作ったソフトクリームを提供しているお店も出てきて、1本1,000円近くするものも珍しくありません。もはやソフトクリームは、高級スイーツの仲間入りを果たしていると言っても過言ではないのです。

 

パティスリーのソフトクリーム。見た目からして高級感ありまくり。

 

インスタ映えのブームに乗れたことで、映え系インスタグラマーの投稿でもパンケーキやパフェと並んで取り上げられることも増えたように思います。露出が増えたことでそれまでよりもたくさんの人がソフトクリームを食べるようになり、お店も増えてきて、私個人としてもとてもうれしい限りです。

 

マニア的食べ方のススメ

せっかくなので、私がソフトクリームを食べるときのルーティンをご紹介したいと思います。真似できるところは参考にしていただき、ソフトクリームを美味しく食べる一助になれば幸いです。

①その日の気候がソフトクリームを食べるに適しているか否かを確認
もちろん暑いとすぐに溶けてしまいますし、ソフトクリームはとても湿度に弱いので湿度もかなり重要になってきます。そして写真を撮る場合は曇天が最適です。日が照りすぎていると白いソフトクリームは反射してしまい撮影しづらくなります。気候にあわせて行くお店を判断することも、ソフトクリームを美味しく食べるポイントなのです。

②お店に着いたら、まずは撮影場所を決める
ソフトクリームはサーバーから出てきてすぐが美味しいので、1秒でも早く食べることがとても大切です。撮影する場所を決めて提供されたらすぐに写真が撮れるようにしておきましょう。

③会計はできる限りキャッシュレスでスピーディに
私はメニューの確認とあわせて上述のサーバーをチェックしながらオーダーするのですが、可能な限りキャッシュレスで購入するようにしています。お店によってはソフトクリームを作ってからお会計をすることもあり、お金のやり取りをしている間にソフトクリームが溶けるのを防ぐためです。周りに食べている人がいれば、その人の食べているソフトクリームをチラ見して、食感や水分量など(だいたい見ればわかります)その日のソフトクリームの状態をあらかじめ確認できると尚良いです。

④来店する際は、開店してすぐは避けるべし
開店したばかりだとサーバーが本調子になっておらずきちんと混ざる前の中途半端な食感のソフトクリーム(水っぽかったり、シャリシャリしていたり…)が出てくることがあるので、少なくとも開店から30分くらいは待ちたいところ。(朝イチの微妙なソフトクリームが出てくることを朝イチの洗礼と言っています。)逆に朝イチから最高のコンディションで提供されると、今日は幸先の良い日だなあと思ったりもします。

⑤とにかくすぐに食べること
ソフトクリームは、ビールと同じでサーバーから出来立てが1番美味しいので、提供されたら無駄口叩かず溶ける前にサクッと食べましょう。ビールと同じと言いましたが、空きっ腹で食べるのが至高と言うのもビールと同じかもしれません。私にとってソフトクリームは、食後のデザートではなくお腹を空かせて食べるメインディッシュであり、主食なのです。

 

コンビニのソフトクリームアイスも侮ることなかれ

ここまでお読みになってソフトクリームを食べたくなってきたものの、近くにお店がないなあという方へ。最近では、コンビニのソフトクリームアイスの進化も目を見張るものがあります。大手コンビニ各社では、期間限定のソフトクリームアイスを定期的に販売しています。価格も300円弱とコンビニアイスとしては少しお高めですが、その分クオリティも高く、味もサーバーから出てくるソフトクリームでは再現できないようなものも多くあるので、ハーゲンダッツばかりに目をくれず、ソフトクリームアイスもぜひ食べてみてくださいね。

 

秋は芋栗系、冬はチョコレートなど季節ごとのフレーバーや企業コラボが多いのも魅力。

 

いかがでしたでしょうか。この記事を読んでしまったからにはソフトクリームの奥深さを感じながら食べざるを得なくなったのでは!?

私が1番好きなソフトクリームは「牛乳本来の味を残しつつもソフトクリーム然とした濃厚さのあるミルクソフトクリーム」です。ソフトクリームの味はやはりミルクが圧倒的に多いのですが、美味しいけどちょっとさっぱり過ぎる、濃厚すぎて牛乳よりもクリームっぽいかも・・・と私の好みドンピシャなソフトクリームにはなかなか出会えず、理想のソフトクリームを追い求める日々です。
昨今の高級路線によって、ソフトクリームが大人のスイーツへと昇華されているように感じますが、ソフトクリームの原風景も忘れてはならないソフトクリームの姿だと思うのです。この両極端な世界を見せてくれるのもソフトクリームの魅力なのではと思います。