40カ国60都市以上を段ボール集めの旅をしてきた、島津冬樹が独断と偏見で決める年に一度のアワード“段ボール”・オブ・ザ・イヤー ノミネート!

そもそも段ボールにはまったきっかけは

 

遡ること2009年。大学生の頃に家にあった段ボールを使ってその場しのぎの財布を作り、使い始めたところ、気がついたら1年使えたことから、段ボール財布の活動がスタートした。と同時に段ボールの多種多様なデザインに惹かれ、ついには世界で段ボールを拾うこととなった。現在(執筆時点)は40カ国60都市を訪れ、500点以上を所蔵している。

「Cardboard of the year」とは?

一年間に島津が訪れ、拾った段ボールの中で1番を決めるアワードだ。ランキング形式で発表され、1位までを発表する。

過去のアワードはこちらから。

2017リンク

2018リンク

2023年のノミネート

コロナ禍の2020年以降は海外に行けなかったこともあり中止している。今年はアゼルバイジャン、ジョージアとコーカサス地方2カ国、ニュージーランド、ドイツ、韓国とアワードを行うには十分な訪問数となっている。

判断基準について

その国に段ボールを拾いに行って、まず拾うポイントとなるのが「その国らしさ」が現れているか、だ。

その国ならではとは、その国の言語や名産品、その国が原産としているものなど。ノミネートに上がっている段ボールはどれもその視点から選ばれている。

逆に選定から外れるのは「どこにでもある段ボール」。

段ボールは世界中を飛び回っている。つまり各国を旅していてどこにでもある段ボールが存在する。例えばバナナだ。バナナの段ボールの多くは南米やフィリピンを原産とする。ドールやデルモンテといったグローバル企業もあって、世界共通のデザインが見つかる段ボールも多い。キウイでお馴染みゼスプリも各国で見つかる段ボールの一つだ。希少性から判断するとそういった段ボールはノミネートの対象から外れてしまう。

 

バナナ箱は世界中で見つかる。可愛いものが多くもちろん拾えたら拾うが、ノミネートにはならない。バナナ箱は世界中で見つかる。可愛いものが多くもちろん拾えたら拾うが、ノミネートにはならない。

ノミネート | バクー・アゼルバイジャン

それはYazil Bazarという市場での出会いだった。一度もらおうと交渉したが、使用していてもらえず、別の場所でお願いしたところ、やさしいおばちゃんが快く提供してくれた念願の段ボールとは…?

 

アゼルバイジャンのランドマークが印刷された段ボール
Yazil Bazar, Baku

アゼルバイジャンで拾った段ボールで一番のお気に入りがこの段ボール。首都バクーは建築が結構面白い。フレームタワーズやザハ・ハディド氏設計のヘイダル・アリエフ・センターなどが有名だ。そんなランドマークがデザインされたこの段ボールはまさにバクーらしさがある。
以前、せり人から聞いた話だと、その段ボールをパッと見てどこ産かを見分けれる段ボールが有利だと聞いた。デザイナーもそれを考え段ボールをデザインする。この段ボールにはそんな意味もあるのかもしれない。

ノミネート | トビリシ・ジョージア

ジョージア語はものすごく個性的な言語で、なんとも可愛らしい。ジョージアへはまさにこのジョージア語の段ボールを求めてはるばるやってきた。先に述べたらしさ、でいうと「言語」である。
しかし正直ジョージアではそこまでジョージア語の段ボールを見つけることはできなかった。でもその中でノミネートするとすればこれだろう。

 

Domino Pizza
Tbilisi, Georgia

ドミノピザinジョージア!
日本でもお馴染みドミノピザのジョージア仕様だ。ピザ箱はかならず現地の言葉が入っててローカル感がある。だから困ったらピザ箱を拾えともいわれるくらいだ。過去にはUAEでもドミノピザの段ボールを拾ったが、そんなドミノピザだけを世界中で集めるのも違いがあって楽しめるかもしれない。
(ちなみにピザ箱も薄いEフルート構造をもったれっきとした段ボールだ)

ノミネート | ソウル・韓国

まず韓国の段ボールの特徴はレトロさがたまらない韓国ソウルのいい段ボールが多い点だ。
紙質や印刷もすごく素朴で、デザインもシンプルだ。おそらく、何十年とデザインを刷新していないからこその魅力だと思った。

 

Seoul, Korea

韓国に限らず、特に農業で使われる段ボールは10~20年近くデザインが変わらないものが多い。というか変える必要がないのだ。機能としては青果の名前がわかり、どこ産かが伝われば問題ない。情報としては普遍的だ。だから段ボールのデザインはどこかレトロなデザインが多い。70,80年代から変わってないという段ボールも少なくない。

実を言うと日本は段ボールの過渡期だと思っている。多くは段ボールにも「親しみやすさ」が求められる時代のようで、地方自治体のゆるキャラがここ数年、デザインのトレンドになっているようだ。
今風だが、個人的には飾りっけのない素朴なデザインの方が魅力でもあったので、韓国の段ボールにはそんな良さがあった。

韓国の段ボール群
Seoul, Korea

スポットオブザイヤー

段ボールオブザイヤーには段ボール拾いの場所としてベストな場所を表彰するスポットオブザイヤー。
2018年から新設され、これまで、日本含め、NY、ヨハネスブルクといった都市が獲得している。今年まずノミネートされるのはニュージーランドだ。

まずなぜニュージーランドに向かったかと言うと、農業が盛んであることが挙げられる。農産物を積極的に輸出している国は段ボールのバリエーションが豊かな傾向にあるのだ。つまり色とりどりな段ボールが手に入りやすい。
今回は市場、スーパーマーケットなどを中心にオークランド市内を徹底的に回った。すると拾った段ボールにはある特徴があった。

 

ニュージーランドの段ボール群
Auckland, NZ

それは青、黄色、緑の色の使用率が高いことだ。例えばニュージーランドで代表的な段ボールといえばキウイのゼスプリは黄色と緑を使っている。ニュージーランドは海と山に囲まれていて上には太陽がある。その国の景色からインスピレーションを受けてそれが段ボールに反映されていることは珍しくない。何かここにも「らしさ」があった気がした。

オークランドの景色。青い空、緑、そして黄色い信号の柱

スーツケースやバック3個分の大収穫となった
Auckland Airport, NZ

ダンボールオブザイヤー2023はここで発表しています!
気になる方はぜひチェックしてください。