生き物好きを公言し、生き物に会える園や館に足繁く通うお笑いコンビ「男性ブランコ」の平井まさあき。その愛は芸人としての活動にも溢れ、自身のコントライブを水族館で開催してしまうほど。”演者”という特殊な立場からも水族館を味わい、まだまだ愛が留まらない彼が「水族館」の魅力を存分に語ります。今週末、水族館に行きたくなる、新たな楽しみ方が見つかるかも。

こんにちは。芸人を生業としてます男性ブランコの平井です。率直に言って僕は水族館が好きです。僕は公私共に水族館が好きといって憚りません。公私の私の部分では、休日にかこつけてはただただ水族館に行き、キューティマウスをハーフオープンしてメルティアイズでヨタヨタウォーキングしています。つまり可愛い口を半開きにしてとろん眼でヨタヨタと歩き回っているのです。どうです。好きそうでしょう?公の部分では、昨年にサンシャイン水族館さんにご協力いただきまして、閉館後に配信コントライブを敢行しました。どうです。好きそうでしょう?僕はよく速い魚顔だねと言われます。どうです。好きそうでしょう?

 

この水族館好きは留まることを知りません。この好きが行き着くところは、もう住む、です。水族館に住む、です。水族館に布団を敷き、水槽を見ながら眠りにつきます、そして魚たちと共に泳ぐ夢を見ます、朝起きたら歯磨きをしながら水槽を見ます、マイワシの群れが雨マークを作ってくれたら、傘を持っていきます。ラッコがお気に入りの石を貝殻に五回打ち付けたなら、それは「気をつけて」のサイン。僕は「ありがとう、いってきます」とのたまう。外出の目的は最近発売された人口エラです。人口エラをつけて帰ってきた僕は大水槽の中にチャプンと入り、仲間たちと心ゆくまでダンシングスイミング、疲れたら海藻の布団を冷えないようにお腹に巻きつけて眠ります。これで僕の住所ははれて水族館県大水槽市珊瑚町のメゾンわかめの住人になるのです。どうです。好きそうでしょう?ここいらで僕の水族館好き感が余すことなく伝わったかと思います。

さて今回のコラムでは水族館好きの端くれとして、読者の皆さんに少しでも水族館のことを好きになってもらうべく、ナガスクジラがたくさんのオキアミを一気に食すようにダイナミックに水族館の素晴らしさについて書き連ねていこうと考えています。

水族館の素晴らしさその1
陸ではお目にかかれない方々に謁見を賜う

やはり普段、陸上で暮らしていると出会うことのない多種多様な水族達との謁見です。日本だけでなく世界中の浅瀬から深海までの海、川、湖に生息している水属性の方々を水族館という一館で見て、知ることができるのです。さらに時に奇跡的な体験も与えてくれたりします。上記で書いたようにサンシャイン水族館でコントライブをした時のことです。閉館後ということで館内の照明は薄暗くなっていたのですが、ミズダコの水槽内で神秘的な光景が広がっていたのです。ドーナツ状の小さく真っ白な物体がたくさん水槽内を雪のようにふゆふゆ浮遊していました。スタッフさんに伺ったところ、これは月に一度ほど行われる吸盤の脱皮だそうです。なるほどだからドーナツ状なのですね。この瞬間に立ち会えることは非常に稀だそうです。吸盤スノー舞い踊る中を8本の足をぐいぐいと伸ばして移動しているミズダコはまるで美しさと力強さを兼ね備えた浮世絵を見ているようでした。

水族館の素晴らしさその2
考え抜かれた水槽レイアウト

水槽を彩るレイアウトです。各水槽にはそれぞれコンセプトがあります。例えば、熱帯の海には美しい珊瑚礁や岩や水草が配置されていたりします。これは我々、見る者の目を楽しませてくれるのですが、何をおいてもそこに住む生き物たちがストレスなく、なるべく自然体でいられるようなレイアウトになっています。

このようにスタッフさんによって考えに考えぬかれた水槽レイアウトによって、生き物にとってお気に入りになる場所があったりして、それを探すのもとても楽しいです。何度も水族館に通っていると「こいつ、いっつもここいるなあ」という生き物に出会ったりします。

パッと見、ちょっと心配になるぐらいひっくり返っていますが、ご安心を。ちゃんと生存しております。この子はこの体勢で、フィットするのがとても好きなのだそうです。なんて生き物味があるのでしょうか。ニンマリしてしまいます。

水族館によっては、現状の海の実態として、人間が廃棄しているペットボトルなどのゴミが沈んでいる日本の海の様子をありのまま再現している水槽もあります。その様子を見ると地球に住まう身として人ごとでは全くないのだと再確認させられます。

レイアウトとはまた違うのですが、僕の大好きなアクアマリンふくしまという水族館では大水槽の前に寿司屋があるところがあります。魚たちを見ながら寿司を食べるという一見なかなかパンクな試みだと思います。しかしながら、このような場所を設けることで、心に生命に対する感謝が生まれます。僕らは生命を頂戴しているのだと。改めて我々は地球に住む人間という一生き物であると考えさせられます。

水族館の素晴らしさその3
ワックワクがとまらない裏側潜入

水族館によってはバックステージツアーという催し物を開催してくださるところがあります。僕はこのバックステージというものが好きでたまらないです。要は水族館の裏側に潜入できるのです。バックステージには、飼育している生き物たちのご飯を作る場所があったり、水槽を掃除するためのダイビングスーツが干してあったり、まだ展示することができない稚魚がいたり、パソコンや顕微鏡が設置されている生き物の生態を研究しているようなところも見ることができます。何より水槽の裏側も見ることができ、普段見られない角度の生き物を覗き見ることができます。何かの暗号のような文字が書かれているバケツや何かを制御しているであろう装置、海水を送るぶっといパイプなんかもあったりして、なんとワックワク想像力が掻き立てられるのでしょう。

ここはアクアマリンふくしまのバックステージ。蟹の水槽の裏側です。

 

場所は同じ。サメの歯形を触らせてもらうことができました。サメマンになれました。さめざめと泣いてもらえたら駆けつけます。

水族館の素晴らしさその4、5、6とどしどし続けていきたいところではありますが、今日のところはこれぐらいで勘弁してやりますね。好きなあまり大雑把にキーボード打ち殴った伝え方で申し訳ありません。少しでも皆さんに水族館の楽しさが伝わっていればこんなに嬉しいことはありません。水族館は、それを形作る方々と水族たちの作品です。入館すると小説や映画のように、別世界へ心ごと没入することができます。ぜひその物語に身を任せ、ボーッとしてみてください。きっと海の中を漂うような心地よさを体験できるかと思います。

もう終わりの時間になりました。僕はもうそろそろ寝ることにしますね。ふう~、えっと、上着を脱いで、ズボンとパンツを脱いで、あ、靴下も脱がないと、よし、後はこの人工エラをつけてえいっ、チャプン、ごぽぽぽぽ、ごぽぽぽ(海藻をお腹に巻きつけて)、ごぽ、ごぽごぽ!(それではグッドナイト!)


《お知らせ》

サンシャイン水族館を舞台に行ったコントライブに続き、生き物にまつわる新たな舞台、国立科学博物館でのコントライブが叶いました。お客さんに入っていただき、博物館内を歩き、場所を変え、コントライブをするという未知なる挑戦をいたしました。休館日で眠っている博物館にお邪魔し、コントという生命を躍動させました。眠りを妨げて申し訳なかったですが、博物館もハクククっと笑ってくれたのではないかと思います。2023年12月18日に行われた博物館コントライブがアーカイブ配信中ですので、ご覧いただけましたら嬉しいことこの上ありません。ぜひ共に博物館を旅しましょう。

◾️男性ブランコの博物館コントライブ「嗚呼、けろけろ」  @国立科学博物館
・配信期間:12/28(木)10:00~1/8(月)23:59
・販売期間:12/28(木)10:00~1/8(月)12:00 
・配信チケットURL:https://online-ticket.yoshimoto.co.jp/products/danseiblanco-231228