仕事の制服を着た男性って素敵ですよね。

自衛隊や警察、バーテンダーにシェフ……制服には男性を3割増しにみせるマジックがあるようにさえ思います。逆に制服姿が素敵だった人にプライベートで会ったら誰かわからないほど印象が違っていた、なんてことも。それだけ制服の魔力は強いんです。

その制服の持つ魔力の正体が知りたい。その正体について私なりに深く考えてみることにしました。

後姿の警察官

制服姿の男性がかっこいいのはなぜだろう?

制服の男性

仕事用制服とは、ある会社や組織、業務に携わる人が着用する同じ規格のユニフォームを指します。世の中にはさまざまな特徴を持った制服がありますが、そもそもなぜ仕事用の制服を着た男性に惹かれるのでしょう。まずは「仕事用制服」そのものについて考えてみます。

 

第一情報の「職業」が興味を持つためのとっかかりに

そもそも日常生活の中で全く知らない人に興味を持つことってありません。芸能人レベルのイケメンだとか、思わず振り向いてしまうほどの強烈な個性が無ければ、知らない人に注目することってないですよね。

しかし、制服姿の男性であれば、第一情報として彼の職業が分かります。制服を見て職業を判別できるくらいですから、その職業についてある程度の基礎知識も持っています。つまり、制服はその人の「社会的な面」の情報を数多く開示してくれているのです。

仕事面での情報がある分全く知らない人ではなくなるので、男性の「個」の部分までを知る道筋がつけられるのです。つまり、仕事用制服の男性はいとも簡単に「全く知らない人」を通り越して、「話したことはないけれど、何となくどういう人か分かる存在」となってしまうのです。そしてもし彼の顔や声、仕事ぶりが私のタイプだったらすぐに恋に落ちてしまうことでしょう!

 

自分の持っている情報内に落とし込むことができる

仕事用の制服が物語るその男性の職業。その職業に関する漫画やドラマ、映画などを見たことがある場合は、惹かれる可能性大です!なぜなら自分の見たストーリーに、目の前の制服を着た彼を落とし込んで、職場での彼を想像することができるからです。

会ったばかりの人をよく知ろうとするとき、私たちはその人について、あんな人なのではないか、こんな人なのではないかといろいろ想像しますよね。制服姿の男性であれば、自分がすでに持っている情報に落とし込めるので、その人の仕事に取り組む姿勢がイメージしやすいのです。

もし自分の見たストーリーが感動ものであれば、きっと目の前の彼に対して簡単にプラスのイメージを持ってしまうでしょう。もちろんフィクションと現実は違うのですが、強烈なインパクトのある作品を見てしまうとどうしてもその制服を見ただけでその作品に引っ張られてしまうことはありえます。

だからこそ、実際その彼とお付き合いしてみたらイメージと違う!ということがあるかもしれませんが……。

 

その職業に就くまで/就いてからの努力が想像できる

仕事用の制服からは、その職業に就くまでの男性の努力や苦労を読み取ることができます。例えば白衣を着た医師であれば、医学部に入るためにかなりの勉強をしたはずです。また、制服を着た警察官であれば規律の厳しい警察学校を経てその仕事をしていることが容易に想像できます。

また制服の中には階級の分かるものもあります。その階級章には今までの仕事上の努力が内包されています。仕事に打ち込む男性は素敵ですよね。仕事での努力が想像できるからこそ、着ている男性の魅力が増して見えるのでしょう。

萌える男性の仕事制服は主に3種類に分けられる

世の中には多くの男性制服がありますが、それぞれ「萌えポイント」は異なります。ここでは男性の仕事用の制服を便宜上3種類に分けてみました。もちろんきっちり3種類というわけではなく、制服によっては2種類の中間というのもあり得ますし、時代とともに種類が変化したという制服もあると思いますので、ザックリな区別と考えてくださいね。

 

とにかく重厚。権威系制服

まず制服といえば、権威系の制服が挙げられます。

一番イメージしやすいのは自衛隊や警察の制服でしょうか。とても重厚で権威あるデザインとなっており、制服を着た警察官が近くにいるだけで緊張してしまうことさえあります。これらの服は有事の際に敵味方の区別をつけやすくしたり、階級が一目で分かりやすくなっているなどのメリットがあります。

また、重厚で権威あるデザインにすることで、自衛隊であれば部下を統率するための威厳を演出したり、警察であれば民間人を誘導しやすくする効果があります。さらに自衛隊や警察など命を懸けて働く人にとって、同じユニフォームは帰属意識や連帯感を強め、使命感を高める効果もあるでしょう。

ほかにもバスや電車の運転手も制服を着用しています。そしてその制服はなぜか警察官に似ている……これも運転手さんとほかの乗客とを一目で区別できるようにするねらいがあるとともに、運転手さんに威厳を持たせることで乗客に安心感を与えたり、有事の際に乗客を誘導・指示がスムーズになるという効果があります。あえて権威を出すデザインにしているのですから、かっこいいと感じるはずですよね。

 

権威系制服は昔から憧れの存在

権威系制服の歴史って、制服の歴史の中でも最も古いものではないでしょうか。

最古の権威系制服は聖徳太子による冠位十二階といえるでしょう。冠位十二階は、朝廷の役人たちを大徳・小徳・大仁・小仁・大礼・小礼・大信・小信・大義・小義・大智・小智の12の冠位に分け、それぞれの冠位に冠の色を割り当てたものです。冠位十二階の画期的な点は、「氏」ではなく完全能力主義で冠位を与えていたことです。冠の色に権威を持たせ、「より位の高い冠の色を!」と役人たちのモチベーションアップをはかることに成功しました。

他に注目すべき権威系制服は、江戸時代の火消しでしょうか。火事と喧嘩は江戸の華と言われるくらい、江戸の町では火事が日常的でした。そんな勇敢な彼らの姿は江戸の人々の憧れで、火事のときには火事と火消しを見るために大勢の見物客が集まったそうです。江戸の火消しは帰属意識が高く、自分の担当地区の火事は名誉をかけて消し止めていたほか、火消し同士の縄張り争いなどもあったそうです。命を懸けた現場で、同じユニフォームを着ることで帰属意識、そして使命感を高めるというのは現在の権威系制服に通じるものがあります。

 

働く男の象徴。飾り気のない実用系制服はセクシー?

仕事は効率が第一。仕事用の制服はその仕事を遂行するにあたってもっとも適したものである必要があります。そういった意味では実用系制服は実用性100%の作業服といえます。権威系制服とは違い、すべては仕事を少しでもスムーズに行うためにデザインされています。しかし、この飾り気のない実用系制服は、逆にとてもセクシーだったりするのです!

とび職の男性の着用しているニッカポッカや工事現場作業員の作業着は男性らしさが感じられ、好きな人も多いのではないでしょうか。

 

未知なる分野の知識を持っている=ミステリアス?

作業着は実用性を第一に考えられており、専門性に特化したデザインとなっています。現在では女性の社会進出が進みましたが、少し前まではエンジニアや建設現場の作業員のほとんどは男性でした。ですから未だに私はこうした作業着に魅力を感じてしまうのかもしれません。

また土木や電気などはかなり専門的な知識が問われる仕事ですが、多くの女性にとっては未知の分野ともいえます。作業服は着ている男性がそんな未知なる世界のスペシャリストであることを表し、分からないからこそ逆に彼に興味を抱いてしまうのかもしれません。

 

働く男のワイルド感が素敵。

働く男性の汗のにおいが感じられそうなのが作業服です。作業服を着ている人って、たくましくてワイルドなイメージがありませんか?汗の臭いにはフェロモンが含まれるとも言われており、もしかしたら制服好き女子は「汗」に惹きつけられているのかもしれません。

また、先ほど紹介した江戸時代の火消しですが、当時の消火活動は現在のように放水するのではなく、住宅密集地での延焼を防ぐため家屋の破壊活動が主だったようです。ですから火消しにはとび職などの土木に精通した男性が多かったといわれています。もしかしたら私がニッカポッカの男性に惹かれるのは、江戸時代からの前世の記憶なのかもしれません!?

 

美しさも意識?見られる系制服

最後に紹介するのは主にサービス業などの「見られる系制服」です。専門性があるところと機能的な面は実用系制服にも似ていますが、こちらは人に見られる仕事であるが故、ファッション性があります。

人から見られることを意識している点では権威系制服に似ていますが、見られる系制服は権威を表すのではなく「不特定多数の人に不快感を与えない」ことを目的している点に違いがあります。

ホテルマンやシェフなどがそれにあたるでしょうか。また後述しますが医師の白衣も「衛生的である」というアピールであることを考えると見られる系制服にカテゴライズできます。

 

スペシャリストとしてのかっこよさ

見られる系制服も作業服と同様、専門性を持つのでスペシャリストとしてのかっこよさがあります。しかし、電気や土木など未知なる世界ではなく、グルメやお酒など自分の身近なトピックの先にいるスペシャリストといったイメージです。

人からの視線を気にする点では権威系征服にも似ているかもしれません。しかし、権威系制服はまるで私より一段上にいるようなイメージでしたが、見られる系制服は私たちと同じか、私たちのために何かをしてくれる「味方」です。頼れるスペシャリスト……見られる系制服の男性に対して、私はそんな印象を持つのかもしれません。

 

消している「個性」が逆に気になる

ゲストをもてなすことが、見られる系制服を着る男性の仕事です。ですからゲストに失礼がないようにスマートな身のこなしを身につけているほか、ゲストを引き立てるために自分の個性を消しています。

しかし、あまりに完璧な接客をされると、逆にその消している個性が逆に気になって仕方ありません!これは隠されると逆に見たくなる「カリギュラ効果」というものでしょうか。この「知りたい」という欲望が、恋につながるのでしょうね。

魅力的な男性の仕事制服ベスト5

板前さん

さて、男性の萌え制服について自分勝手に語ってきましたが、ここからは私が独断で選ぶ、男性の萌え仕事制服を紹介していきます。それぞれの仕事用制服の系統まで解説しているので、ぜひ最後までお付き合いください!

 

第5位 【見られる系】ギャルソン・執事の制服

ギャルソンも執事も、どちらもお客様のために尽くす仕事です。

腰から膝辺りまであるギャルソンエプロンは、プロフェッショナルかつスマートな印象です。ギャルソンはもともとフランス語で「男の子」という意味ですが、日本においては多くの場合男性の給仕人を意味します。

ギャルソンはレストランにおいてはメニューの紹介や飲食物の提供のすべてを担っています。お客様に失礼にならない丁寧な言葉遣いと身のこなしを身につけているほか、食に関する知識も豊富です。また執事はご主人様に敬意を払うため、またご主人様の行先のドレスコードに合わせたフォーマルなファッションが基本です。

ギャルソンも執事も、お客様やご主人様をもてなしたりサポートするためにその制服を着ています。「私のために着るフォーマルウェア」という点で、萌え制服と感じるのかもしれません。

 

第4位 【実用系】とび職人のニッカポッカ

とび職人の着用するだぼっとしたシルエットが特徴的なニッカポッカ、素敵ですよね。職人ならではの硬派で男らしいイメージです。

意外なことに、ニッカポッカの起源はオランダの子供用の短ズボンです。1700年代末にオランダ人が移民として多くアメリカに渡るとともに、アメリカで普及していきました。アメリカで普及していくうちに、いつしか子供用ではなく大人用のスポーツウェアとして定着するようになります。

日本でも当初は野球・乗馬・ゴルフ・登山用のスポーツウェアとして広まりましたが、その動きやすさからしだいに建設現場で働く人たちが着用するようになりました。今ではとび職を代表するワーキングウェアとなりました。ニッカポッカを見るだけで、彼らの職人としてのプロ意識や技術をうかがうことができます。

 

第3位 【見られる・実用系】医師の白衣

医師の白衣に憧れる人も多いのではないでしょうか。医師の白衣には、着ているその男性の頭脳明晰さ、医学部に合格するだけの努力家であること、命を救うという崇高な仕事をしていることなど多くの情報が含まれています。

医師の白衣には患者の血液や体液、薬品などから医師を守るという実用的な面もありますが、白色にすることで汚れがない=衛生的だと患者を安心させる効果もあります。実際白色は汚れたらすぐに分かるので清潔に保ちやすい色といえるでしょう。つまり、白衣は患者に衛生的であるとアピールする「見られる系制服」でもあるのです。

最近では医師の白衣は減っていて、スクラブというVネックにブルーやグリーンの医療用作業着が一般的になってきました。スクラブとは英語でゴシゴシ洗うという意味のscrubに由来し、洗濯しても傷みにくいことが特徴です。

スクラブはもともと医師の手術着だったので、白ではなく手術中の血の色のインパクトを抑える効果があるブルーやグリーンが採用されています。より実用性の高いスクラブも、今後かっこいい医師の仕事服になっていくのでしょう。

 

第2位 【見られる・権威系】ディスコの黒服

ディスコの黒服とは、ディスコで働いている従業員を指します。一口にディスコといっても時代によってその特徴はさまざまですが、きらびやかで大型のディスコが流行った80年代から90年代には、そこで黒い服を着て働く「黒服」に大きな注目が集まりました。

当時のゴージャス志向の高級ディスコでは、エントランスで黒服による「服装チェック(ドレスコード)」がありました。その服装チェックにパスをすることが当時の若者にとっておしゃれであることの証明だったのです。来店客の服装をチェックするわけですから、黒服自身も黒い制服をかっこよく着こなして威厳がありました。これによりディスコが客を選び、ディスコに入りたい客がより店のセンスに合った服を着用する、という流れを作ることに成功したのです。

当時の有名ディスコはこうして店のブランディングを行い、働く黒服に権威を持たせたことで、黒服に憧れる女性も急増しました。「〇〇ってディスコの黒服さんよく知っているから!」なんて会話ができたら夜遊びのプロ!ですよね。

 

第1位 【権威系から見られる系へ】警察の制服

一番身近な仕事の制服といえば警察官の制服ではないでしょうか。警察をテーマにした映画やドラマは数多くあり、その制服からは身をていして市民を守る正義の味方というイメージが思い起こされます。

昔の日本の警察の制服は軍服のような制服で、まるで権威の象徴でした。今でも古い映画やドラマでその威厳ある姿を見ることができます。現在私たちが見ている警察官の制服は1994年に変更されたものです。

このとき、「実用性」と「親しみやすさ」の2つを特に重視してデザインされました。実物をみたら思わずぎょっとしてしまうであろう手錠や拳銃を市民から見えずらくしたり、黒を基調とした権威あるデザインから、紺やブルーを基調とした穏やかなデザインとなりました。そういえば前述の医師のスクラブも紺やブルーが人気でしたね。時代とともに警察官の制服は権威系から見られる系に進化しているのです。

よい制服はみんなを惹きつける。

制服の帽子

世の中に多く存在する男性の萌え仕事制服。それぞれに歴史があり、萌えポイントがありました。

服装で人を判断するなと言われますが、服装は着ている人について多くのことを語ってくれると私は思います。その制服の語る情報が、着ている男性を理解・イメージする道筋となりその男性により惹きつけられるようになるのです。

ちなみに、第1位の警察官の制服は子どもからも大人気ですよね。最近私も4歳の息子にねだられて、警察官の制服と帽子がセットになった「なりきりおまわりさんセット」を買わされました。特にかっちりとした警察の帽子がお気に入りの様子で、毎日かぶっています。

そしてこの帽子を見て気づいたのですが、警察官の帽子って、「アポロキャップ」に似ている……。アポロキャップは少し前に「中高年男性がかぶりがちなおじさん帽子」として話題になりましたよね。実際、70歳の私の父も愛用しています。おまわりさんセットの帽子をかぶる幼児とアポロキャップをかぶる老人。この2人を見ていると、警察官の制服は女性だけでなく、男性の心も惹きつけるデザインなのだなあと感じるのでした。