ママになって自分の時間がゼロに。

わが子の誕生。それはとても喜ばしい瞬間です。しかし、そのあと待ち受けるのは3時間ごとの授乳と頻繁なおむつ替え。睡眠時間さえ確保できない状況で、趣味の時間なんて持てません。しかし、私の場合初めのうちは全く気になりませんでした。

だって育児に必死だったから。

どこに行くにも、何をするにも赤ちゃんと一緒。特に初めての子どもは心配で、気が休まるときがありません。

 

家のもの全部が赤ちゃん仕様

赤ちゃんが生まれると、家は完全に赤ちゃん仕様になります。ベビーベッドにベビーゲート……インテリアより、赤ちゃんの安全が優先です。

また、テレビも完全に赤ちゃん向けになります。私の場合、赤ちゃんに事故のシーンや事件のシーンを見せたくなかったので、子どもが赤ちゃんのときは、ニュース番組さえ見ませんでした。テレビを観るのは幼児向け番組を見るときだけ。確かに子どもはお腹から出てきたけど、まだまだ精神的には子どもと一体化している感覚です。

 

ある日突然生まれる「ママの自我」

慣れない育児もようやく慣れ、子どもがハイハイするころでしょうか。これまで子どもだけを見つめて、一心不乱に育児をしていた私の中で「ママの自我」が生まれます。ある日、子ども向け番組を観ているわが子をぼーっと見ながら、「ドラマが見たい!」「私はどんなドラマが好きだったっけ?」「あれ、私が興味があったものって何だっけ?」と思ったのです。

強烈に自分らしさを取り戻したくなる時期がやってきました。もちろん育児放棄ではなく、精神的に子どもと自分を分離したくなったのだと思います。一人の人間として、もう一人の人間である子どもを慈しみたいという気持ちです。今思うと、この瞬間が本当の「出産」だったのでしょう。

そこで気づいた。赤ちゃんと同じコンテンツにはまればOKだと。

とはいえ、まだまだ小さなわが子。目を離すことはできません。それなら、子どもと同じコンテンツを大人目線で楽しめばいいのではないかと考えました。それであれば、感動を子どもと共有できるし、なにより子ども向け番組を観ることが苦になりません。

1歳を過ぎるとわが子は「きかんしゃトーマス」に夢中になりました。では、私もトーマスを楽しもう!と、大人目線で子どもとトーマスを観ているとき、登場キャラクターのクランキー(ブレンダム港にあるクレーン)がかっこよくてキュンキュンしている自分に気が付きました。生まれて初めての体験です。二次元の、それもクレーンに萌えるなんて……。この驚きの体験を皆さんに共有したくて今この記事を書いています。

子ども向けコンテンツにハマるワケ

子ども向けコンテンツに萌えるなんて意味が分からない!そんな声も聞こえてきそうです。でも、ママが子ども向けコンテンツにハマるワケは多くあるのです。ここからは主なメリットを3つ紹介します。

 


【ワケ1】子どもとの会話が増える!

テレビやDVDを観ているとき、子どもから「今のみた?〇〇がかっこよかったね」「なんで××はあんなことを言ったの?」など質問を受けることがあります。それまでの私なら、子ども向け番組だからとちゃんと観ることをせず「そう?気が付かなかったよ~」「なんでなんだろう?ママにもわからないや~」と流してしまうこともありました。

しかし、ママが「萌えパワー」で前のめり気味に子ども向けコンテンツを見るようになれば、それをもとに子どもとの会話がもっと盛り上がること間違いなしです!

 

【ワケ2】とっても時短!

子どもと一緒のコンテンツを楽しむことができれば、育児と趣味が同時にできるのでとても時短になります。子どもが寝たあとに自分の好きなドラマや映画を観て、翌日寝不足になってしまった、なんてことはありません。特に月齢の小さい子どものママにとって、睡眠時間は貴重ですから嬉しいメリットです。

 

【ワケ3】ママもメンタルにもGood!

子どもが小さくて育児が大変なときこそ、負担にならない程度に趣味を持つことはいいことです。そして「萌え」という感情は、非常にポジティブな感情でもあります。子ども向けコンテンツに萌えることは、しばしばワンオペになりがちな育児の中で、ママのメンタルケアにもなりえるのです。

充実しているママ萌えコンテンツたち

子どもが喜び、ママも萌えるコンテンツ。トーマス以外にもいくつかあるのです。

ママ萌えコンテンツは大きく分けて実写系とアニメ系に分けられます。実写系には国民的子ども向け番組である「おかあさんといっしょ」や、イケメン俳優を多く輩出している「特撮系シリーズ」があります。アニメ系としては、「忍たま乱太郎」をここでは挙げてみます。

 

おかあさんといっしょ

おかあさんといっしょといえば、優等生的イメージの歌のお兄さんと、さわやかで筋肉質な体操のお兄さん。特に体操のお兄さんはママからの人気が高く、よしお兄さん(小林よしひささん)やひろみちお兄さん(佐藤弘道さん)は有名です。もちろん、笑顔が素敵で、ちゃんと笑いも取っている歌のお兄さんもとっても素敵!

おかあさんといっしょは2~4歳児を主な対象としているので、トーマス(対象年齢2~5歳くらい)に一番近いといえます。トーマスよりは登場人物は少ないですが、実写である分「萌え」にリアリティを感じることができます。ただし、ストーリー性があるわけではないので、感情移入はしにくいでしょう。

 

特撮系(戦隊シリーズ・仮面ライダーシリーズ)

おかあさんといっしょのお兄さんたちはさわやかで優等生的でしたが、戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズなど、特撮系コンテンツ出身の俳優たちは個性豊かな面々です。特撮系コンテンツは売れっ子役者の登竜門的なイメージで、今でもテレビで活躍されている人が多くいます。子ども目線でも、ママ目線でもかっこいい俳優ばかりです。

特撮系シリーズはイケメン俳優が実写で出演していますので、ママ萌えポイントはこの中で最も高いといえます。ただし、特撮系コンテンツは話が複雑な場合も多く、親子で楽しむのであれば早くて年中さん(4歳)くらいからでしょうか。それまではおかあさんといっしょやトーマスで楽しむとよいかもしれません。

戦隊シリーズ出身の主な俳優

俳優名タイトル名               配役名         放映年    
ケイン・コスギ忍者戦隊カクレンジャーニンジャブラック

1994

照英星獣戦隊ギンガマンギンガブルー

1998

玉山鉄二百獣戦隊ガオレンジャーガオシルバー

2001

金子昇百獣戦隊ガオレンジャーガオレッド

2001

松坂桃李侍戦隊シンケンジャーシンケンレッド

2009

千葉雄大天装戦隊ゴセイジャーゴセイレッド

2010

山田裕貴海賊戦隊ゴーカイジャーゴーカイブルー

2011

横浜流星烈車戦隊トッキュウジャートッキュウ4号

2014

志尊淳烈車戦隊トッキュウジャートッキュウ1号

2014

仮面ライダーシリーズ出身の主な俳優

俳優名タイトル名          配役名       放映年        
オダギリジョー仮面ライダークウガ五代 雄介2000‐2001
賀集 利樹仮面ライダーアギト津上翔一2001-2002
要潤仮面ライダーアギト氷川誠2001-2002
半田 健人仮面ライダー555乾 巧2003-2004
水島 ヒロ仮面ライダーカブト天道 総司2006-2007
佐藤 健仮面ライダー電王野上 良太郎2007-2008
菅田 将暉仮面ライダーWフィリップ2009-2010
福士 蒼汰仮面ライダーフォーゼ如月 弦太朗2011-2012
竹内 涼真仮面ライダードライブ泊 進ノ介2014-2015

 

忍たま乱太郎

放映期間が長く、幅広い世代から愛されているのが忍たま乱太郎です。小学校時代にリアルタイムで観ていて、どのキャラクターが好きか友達と話し合ったというママもいることでしょう。ただし、忍たま乱太郎は学園ストーリーなので幼児には難しすぎます。私の息子は小学校一年生になって、ようやく楽しんで観られるようになったようです。こちらも、子どもが楽しめる年齢になるまで待つ必要があるでしょう。

 

きかんしゃトーマス

ママ萌えコンテンツはいくつかありますが、私はきかんしゃトーマスにはまりました!私の場合、当時子どもはまだ3歳。そして男児だったため自然とトーマスを見る機会が多く、一緒に観ているうちに萌えポイントを発見してしまった、というかたちです。しかし、トーマスにはまってとても楽しめたし、何より精神的に助かったことが多くあります。

トーマスがコンテンツとして貴重なのは、幼稚園に入る前の小さな子どもとママが一緒に楽しめるという点にあります。幼稚園に入る前の子どもは、赤ちゃんの延長。ママといつも一緒で、ずっと見守っている必要があり、ママの息が詰まることもあるでしょう。そんなときの清涼剤として、きかんしゃトーマスはとても有効でした。

ママ萌えポイントの高い特撮系や忍たま乱太郎は、話が複雑なこともあり対象年齢が比較的高めという共通点があります。しかし、そのくらいの年代の子どもは、幼稚園や小学校に行っていることがほとんどなので、自分の趣味の時間を持てなくて悩むママは減ってきます。つまり、一番助けてほしいときに現れた救世主がきかんしゃトーマスだったのです。

きかんしゃトーマスの萌え要素とは?

きかんしゃトーマスは1942年にイギリスのウィルバート・オードリー牧師が、はしかにかかって療養している息子クリストファーのために作った話がもとになっています。その後書籍化され、日本でも翻訳本が発売されていますが、映像コンテンツとして目にすることが一番多いでしょう。

きかんしゃトーマスは登場キャラクターも多く、キャラクターをどれだけ覚えられるかに執念を燃やす男児もたくさんいます。同じくアニメ作品である忍たま乱太郎との大きな違いは、機関車たちが「仕事」をしていること。そう、きかんしゃトーマスの舞台は社会なのです。ですから、世界軸的には忍たま乱太郎よりもきかんしゃトーマスの方がママに近いといえます。

 

キャラクター萌え

きかんしゃトーマスには多くのキャラクターが出てきます。幼児向けなのでそこまで複雑な話は出てきませんが、たまに「これは気持ちがよくわかるなあ」「こういうことはあるかもしれないな」と思える話があるのです。ルールが厳格な職場ではありえないかもしれませんが、家庭や友達など厳格なルールのない世界では発生しそうな事件がよくあります。

たとえば第328話「ヒロのだいかつやく」。この話の主人公は真面目で温厚なヒロです。忙しそうなトップハット卿を気の毒に思ったヒロは、トップハムハット卿に指示を仰ぎに来る機関車たちに、よかれと思って勝手に指示を出してしまいます。しかしそれらの指示はすべて間違っており、トップハムハット卿はさらに忙しくなってしまいヒロが反省する、という話です。我が家だけでしょうか?夫と私の連携がうまくとれていないときなど、子どもに間違った指示を出してしまうことはよくあったりします。

また、第333話「トビーとかぜのなくもり」では、優秀だけど臆病なトビーが侯爵夫妻の別荘に石炭を届ける事になります。しかしそのためには苦手な「風のなく森」を通らなければなりません。トーマスとジェームスが一緒に行こうかと申し出ますが、臆病者と思われなくないトビーは断ってしまいます。怖さを押し殺して何度も森に入ろうとしますが、そのたびに不気味な音が聞こえて途中で引き返してしまいます。最後にトーマスとジェームスとともに森に再び入ると、怖かった音が森の動物や自然によるものだと気づくという話です。

臆病と思われたくないというプライドはよくわかりますし、かっこつけたい気持ちもわかります。でも、素直に助けを求めることも必要ですね。こうした大人でも共感できるストーリーやキャラクターが、萌えポイントといえます。

 

ナレーター萌え

きかんしゃトーマスはその魅力的なキャラクターが萌えポイントです。しかし、ナレーターのかっこよさも紹介させてください。元々イギリス版のトーマスは、ナレーターのみで一人芝居のように物語すべてを進行していきますが、日本版では各キャラクターに声優があてられたうえで、ナレーターは場面や時間の移り変わりのほか登場人物の心情を代弁する役割を担っています。

ナレーターは当初森本レオさんでしたが2008年4月からはジョン・カビラさんに交代しました。2人とも穏やかで紳士的な声で、番組にアクセントを添えています。この美しい声にうっとりするママもいるかもしれませんね。ちなみに、第22シーズンではトーマスの声でおなじみの比嘉久美子さんが担当します。

機関車トーマス 萌えランキング ベスト5

ここからは私の独断と偏見で、きかんしゃトーマスの萌えランキング ベスト5を発表したいと思います。私は主にアニメ版(特にCGアニメ版)推しなので、人形劇版とアニメ版でキャラクターが変化している場合は、アニメ版に合わせています。どうかご了承ください。

 

第1位 無骨で硬派。クレーンのクランキー

無骨で硬派。少し偏屈だけど根がいいやつなのが、ブレンダム港にあるクレーンのクランキーです。船の荷物を積み下ろしするのが彼の仕事で、仕事にも厳しく一生懸命です。皮肉屋で短気なところもありますが、どこか母性本能をくすぐるところもあり、私が一番キュンキュンするキャラクターです。この記事も「クランキー萌え」を広めたくて書いたといっても過言ではないかも……。ずっとクランキーの声を担当されていた黒田崇矢さんのセクシーな声とぶっきらぼうなセリフとのギャップもたまりません。25シーズンからは声が堂坂晃三さんに代わりましたが、今後どのようなクランキーになっていくのか楽しみです。

 

第2位 とにかく仕事ができる!男気あふれるビクター

ビクターはきりっとした眉毛に大きな鼻が特徴。ソドー整備工場の責任者で、工場のことはなんでも熟知しています。機関車たちが壊れたときに修理・整備するという仕事柄、機関車たちの兄貴分のような存在です。映画版「きかんしゃトーマス ブルーマウンテンの謎」ではビクターがキューバ出身でもともと黄色い車体だったこと、もともとはスペイン語しかしゃべれなかったことが明らかになります。

ラテンのノリなのでしょうか、声も大きくユーモアもたっぷり。仕事もできて男気もある、こんな上司がいたら毎日が楽しそうです。頼りない部下・ケビンに対しても広い心で接しています。

 

第3位 日本の伝説の機関車、ヒロ

ヒロは日本から来た「鉄道の英雄」で、モデルはD51型蒸気機関車です。紳士的で頼りになるヒロは、トーマスたちの憧れの機関車。声優の玄田哲章さんの落ち着いたダンディな声がぴったりの、陽気なビクターとはまた違った大人の魅力あふれる機関車です。

礼儀正しく真面目で勤勉で、時間にも正確なところに、日本らしさがあり親近感を感じます。すでに有名な機関車ですが、「役に立つ機関車でありたい」と日々精進しているところも素晴らしいです。

 

第4位 トーマス界の出木杉君。エドワード

真面目でみんなからの信頼も厚いエドワードは、ドラえもんの出木杉君のような存在。第332話「チャーリーとエドワード」では、お調子者でいつも冗談を言っているチャーリーに「きみは真面目過ぎてつまらないね」とからかわれて無茶をしてしまいますが、羽目の外し方さえ真面目でかわいかったです。チャーリーがからかってみたくなった理由がとても分かります。

 

第5位 かわいい小動物系?トビー

頭もよくて優しい性格ですが、気が弱く臆病なのが路面機関車のトビーです。地味な仕事や大変な仕事も引き受け着実にこなす実力があるのですが、不気味な山や廃鉱山などではかなり怯えてしまいます。一口に臆病といっても、強いものや凶暴なものが怖いというより、不気味なものや幽霊やモンスターが怖いようです。しかし、その怯えっぷりも小動物系でとてもかわいい!頭がいいからこそ、人気のない場所に行ったりすると「モンスターがいたらどうしよう?」と想像力を働かせすぎてしまうのでしょう。

きかんしゃトーマスに萌えてみよう!

「萌え」はパワーです!

疲れたとき、いっぱいいっぱいになってしまったときには、ぜひ萌えパワーを活用しましょう。特に小さな子どもを持つママへの萌えコンテンツとしておすすめなのがきかんしゃトーマスです。もちろん昔きかんしゃトーマスを観ていたという世代が今改めて観てみても、萌えポイントを再度発見できるかもしれません。

小さな子どもと同じコンテンツを違う視点から楽しみ、一緒に盛り上がる。きっと活き活きした毎日になることでしょう。子どもが小さいのはわずかな期間です。そのわずかな期間、萌えパワーで楽しんでしまいましょう!

    2023.10.17