シンデレラフィットへのこだわり
整理や収納関連で「シンデレラフィット」とよく聞きますよね。ほかの場面でも使われているのかもしれませんが、個人的には少々聞き飽きています。
私が収納グッズを買う時は、あらかじめ測って合うものを探しに行くので、シンデレラフィットはそこまで不思議なことではありません。だから私にとってのシンデレラフィットは、手持ちの収納グッズや空きスペースに、入れたいものを入れたときに偶然にもピタッと合うことだと思っています。
例えばキッチン収納では、料理中の動線や出し入れのしやすさを特に重視しているので、見た目云々よりも「どうしてもコレをココにしまいたい!」というときもあります。
そうすると、スペースが微妙に余ったり、自分なりの美しい収納にならなかったりすることもあるのですが、この場合の目的は「美しい収納」ではなく「使うための収納」なのでそれで良し。
そうやって何かをしまったときにピタッと合った、それこそが「シンデレラフィット」だと私は思っています。
もともと私は「きれい好き」でも「収納好き」でもありませんでしたが、雑然としているのは嫌いでした。
だから、至極一般的な整理整頓をするために、収納グッズや収納アイデアを調べていたのですが、気が付いたらいつの間にか収納沼にハマっていました。
最初は目につく場所から始め、試行錯誤しながら自分なりに納得のいく収納に仕上がった時は、得も言われぬ達成感がありました。爆発的な感動があったわけではありません。見るたびに口角が上がるような、ちょっとした喜びです。
でも、1カ所で満足感が得られると、他の場所も…となるんですよね。「ここももう少し整えよう」と思ったり、見えない場所も突き詰めたくなったり。
「スッキリしたね」「使いやすくなったね」と家族に言ってもらえたときは、やって良かったと心から思いました。
「ねぇ、セロテープどこだっけ?」などと、いちいちモノの場所を聞かれなくなったのも大収穫です!
こうして収納の沼にハマっている私ですが、もちろんピッタリ合うものを見つけた時はとても感動します。でも「シンデレラフィット!」とは思わないんですよね。というより、意地でも言わないようにしています。
しかし!この度とんでもないシンデレラフィットに気づいてしまいました。
これはもう、「シンデレラフィットって言いたくない」と意地を張っている場合ではないほど感動しました!
無印商品のメイクボックスの角(かど)の丸みが美しい
私はコスメ好きというわけではありませんが、コスメやメイク道具がきっちり収まった収納は好きなんです。
光沢感のあるコスメ、キラキラしたコスメが、1つのケースにきれいに納まっている様子が何とも美しくて…。いろんな形のコスメがきちっと収納されていると、テトリスみたいで気持ちがいいんです。
自己満足ではありますが、より自己満足するためにこれまでのコスメ収納を見直して、使いやすくまとめられる無印良品のナイロンのメイクボックスに変えることにしました。
店舗に買いに行くと、仕切りに使えるポリプロピレンのケースも同じ売り場に売っていました。半透明でいろいろなサイズがあって使い勝手もよさそう。
仕切りも必要だと思って手に取りましたが、ほぼ同じ見た目とサイズのケースを以前100円ショップで買っていたので、新たに買わずに持っているものを使うことにしました。
帰宅後、さっそくコスメやメイク道具を収納しましたが、何となく違和感…。
持っていた100円ショップのケースは、無印良品のメイクボックスの仕切りとして何の問題もありません。コスメもきちんと収納できました。だから「これはダメだ」と感じたわけではありません。
例えるなら、車のシートポジションがほんの少しずれているような感覚です。運転に何の支障はないけれど少し気になる、というような。
でも、なんだか納得がいかず、結局は無印良品のポリプロピレンのケースを買い直しました。「無印のメイクボックスに無印の仕切りなら間違いないだろう」という、無印への信頼と期待を込めて。
改めて収納し直すと、ナイロンのメイクボックスの角の丸みとケースの角の丸みがピッタリ一致したのです。仕切りはサイズがいろいろありましたが、仕切り同士の角の丸みも当然ピッタリ。
仕切りとして使うことを想定して作ったとしても、それぞれ別の商品なのにさすがの一言です!
実際に角度を測ったわけではないので厳密には分かりませんが、無駄なくピタッと収まったあの瞬間は、「無印が好き」から「無印を推す」に変わった瞬間でした。
無印のファイルボックスの直線と直角が美しい
収納好きにとって、100円ショップは心躍る買い物スポットです。無印良品も良心的なお値段ですが、やっぱり「100円均一」にはかないません。
収納界隈のインスタでは、多くの方が収納術や収納アイデアの投稿をしています。「これをこんな風に使うと、この不便が解決できる」といった、本来の使い方とは違う「じゃない使い方」が本当に目から鱗…!
例えば、冷蔵庫のドアポケットにひっかけて使う薬味チューブホルダーは、薬関係の収納ケースに引っ掛けると、塗り薬のチューブを立てて入れるのにピッタリ。
また、食器棚に置いて空間を2段に分けられるディッシュラックは、靴箱の棚板に引っ掛けると、棚の上部に薄型のサンダル収納が作れます。
地味だけどものすごく便利だと思うのが、コードをスッキリまとめるコードクリップを使った「じゃない使い方」です。両面テープがついているので、洗面所の好きな場所に貼り付けると、あっという間に歯間ブラシの一時置き場が誕生。
こうした投稿と比べるとオーソドックスなものですが、ファイルボックスを使った収納もよく見かけます。
そして、例にもれず私も真似をしています。100円ショップで同じファイルボックスをたくさん買ってきて、棚に並べていました。
ただ、そこでも角の問題がありました。
100円ショップのファイルボックスを並べて収納していたのですが、どうしても隙間が気になる…。
100円ショップで売られている多くのファイルボックスは、角が直角ではないんです。底より口が少し広いので、複数並べるとケースの下部分に隙間ができてしまいます。
隙間があることで圧迫感がない収納になりますが、私としてはやっぱり嫌で…。たかが数ミリの隙間ですが、目につく場所だったので見逃すことができませんでした。
結局また無印良品で買い直してしまいました。
無印良品のファイルボックスは角が直角なので、並べると隙間なくピッタリ!
空間を無駄にしない収納ができる商品として、無印良品が人気があるのもうなづけますね!
100円ショップの収納グッズの中には、無印良品の商品によく似たものも結構あります。
無印良品の商品はシンプルで、良い意味でデザイン性がない。そこがファンにとっての魅力であり、日用品として多くの人の生活になじむのだと思います。
一方、100円ショップの商品は、デザイン性のあるもの・ないもの、たくさんの種類があります。デザイン性のないシンプルなモノを作ろうとすると、すでにある無印良品の商品と似たものになるのはシンプルさ故、仕方がないことかもしれません。
もちろん似ているだけで、まったく同じではありません。まったく同じではない、その相違部分が現れているのが「角」なのです。
一切のムダのなさに無印良品の愛を感じる
無印収納は「角」へのこだわりがスゴイ
会社として本当に角にこだわっているのか調べてみたのですが、明確なコメントはありませんでした。
ただ、無印良品のホームページに
明晰で自信に満ちた「これでいい」を実現すること。それが無印良品のヴィジョンです。
と書いてありました。そして無印良品の商品は、個性や流行、強い嗜好性を出さず、簡潔で「素」を旨とする究極のデザインを目指している。
角が直角なのは、ケースとしてそれが「素」だからではないでしょうか。
鋭角にする・鈍角にするなど角度をつけるには、その角度に何らかの理由やこだわりが生まれます。それは簡素ではなく、ともすれば個性のある商品に仕上がる可能性も。
だから「箱(ケース)としてシンプルな直角の作りになっているのだと思います。
そして、シンプルな直角は、先述したように隙間のない美しい見た目や使いやすさに繋がります。
私はホームページでこのこだわりを読んだとき、無印良品の商品への愛にとても感動しました。
無印良品の魅力は、見た目のシンプルさや美しさだと勝手に感じていましたが、そうではない商品づくりの目標を知ったことで、より「角」への愛着も湧きました。
さて、下の写真はメイクボックスの仕切りに使ったポリプロピレンのケースです。外側の大きいのが無印良品のもので、内側の小さいのが100円ショップのもの。
メイクボックスのなかでは、小さいケースにアイライナーやマスカラなど、ペンシルタイプのコスメを立てて収納しています。見た目はほとんど一緒で、使い道を考えても、このセットに何の問題もないですよね。
では次に、こちらをご覧ください。
これは外側も内側も無印良品のポリプロピレンケースです。角の丸みがピッタリ一致しています。さきほどの100円ショップとのセットでは、わずかに隙間がありましたがこちらはありません。
同じシリーズの商品なので、角の丸みとか規格が同じなのは当たり前!と言われたらそれまでなのですが…。
でも、この「角の一致」こそが無印良品の愛すべきポイントであり、100円ショップの収納とは一線を画すすごいところだと思います。
最初の写真を見ていただくと分かるように、「隙間」といってもわずかなものですよね。使ううえでは何の問題もない程度、人によっては隙間と感じないかもしれません。
なのに、なぜ私がこの隙間が嫌だったかというと、「私が認めた隙間ではないから」です。
意味がわかりませんよね…。冒頭の「私が思うシンデレラフィット」のところでお伝えしたように、モノを整理収納するうえでは、ときに「多少の隙間ができてもOK」としているところもあります。使い勝手を優先しているからです。
では、このメイクボックスはなぜ「許せない隙間」だったのか?
それは、「使いやすさ」と同じくらい「美しさ」も重視しているからです。メイクグッズはそれ自体もキレイですし、自分をキレイにしてくれるアイテムでもあります。
つまり私自身が、「メイクボックス」「メイクグッズ」に美しさを強く求めているから、ちょっとした隙間が許せない「認められない隙間」だったということです。
その個人的なこだわりを満たしてくれる無印良品のケースには、「100円ショップとの価格差は角の差」「この角にお金を払っている!」くらいに思っています。
無印の角からゴミ出しの気遣いを学ぶ
使う人の使う場面を考えて作るのは、モノづくりの基本なのかもしれません。
でも、その一言で片付けるのはちょっと違うと思います。考え抜かれて商品化され、それを私が買えるのは、本当はもっとありがたいことなんですよね。
例えば、ハサミが必要だったら、多くの人はコンビニでも100円ショップでも手軽に買えますよね。
でも、そう感じているのはおそらく「多くの右利きの人」であって、左利きの人は同様の感覚ではないでしょう。
私の友人(左利き)もときどき愚痴をこぼしているのですが、それでも「左利き用が昔より増えてきてありがたい」とも言っていました。子どもの頃は仕方なく使いにくい右利き用を使っていたようです。
このように、少数派だからこそ感じざるを得ない不便は、世の中にどうしてもあります。
それでもこの不便に目を向けて、使いやすい商品を作ってくれる人や企業もあるのです。
左利き用のハサミでいえば、右利きの私は「その辺で買えないし、種類も少ないよね…」と若干ネガティブに感じますが、左利きの友人は「なくて不便だったものが今はあるのだからありがたい」と言っています。
私もこの友人のように、小さな発見や企業努力に感謝しなければいけません。
今回でいえば「無印良品の角へのこだわり」の発見と感動です。
この感動や感謝の気持ちを、私も他の誰か、他の何かのためにできないかなと考えるようになりました。もっと自分以外の誰かの立場に立って、物事を考えることが大事なことだと改めて考える機会になりました。
そこでふと思い出したのが、ゴミ収集車の作業員の方の「シュレッダーゴミをそのまま出すと、収集車の回転歯で袋が破けて祝賀パレードのようになる」という話です。
今までゴミの分別はルールを守っていましたし、指定のゴミ袋に入れて捨てていたので、それ以上何か考えることはありませんでした。十分やっているつもりだったといいますか…。
「相手の立場に立って」と考えた時、自分が取る行動には、ほとんど人が関わっていることを改めて感じました。
そして、直接関わる人を気にかけることができても、間接的に関わっている人に対しては、私はあまり気が回っていませんでした。
だから、ゴミ収集車の作業員の方のコメントを見た時、回収してくれる方のことをもっと考えてゴミ捨てをしなければいけないなと思いました。「不要なものをルール通り捨てる」から一歩踏み込んで、少しの配慮で、回収作業員の方の仕事のしやすさが変わるのではないかと思ったからです。
重すぎるゴミは作業員の方の負担になりますし、水分が多いと袋に穴が開いたときに作業服が濡れてしまうかもしれません。
自分のできることは限られますが、回収の作業員の方のことも考えて行動するよう心がけています。
自分の行動を振り返ると、「自分以外の人のため」に何かを考えたり行動に移したりすることは、あまり多くないと思いました。
ただ、私一人では少なくても、世の中に視点を向けると、普段気付かないだけで使う人のことを考えた小さな愛は日常にたくさんあります。
例えば、お店で商品を紙袋に入れてもらったとき、袋の口を留めるテープの端が折ってあったことはありませんか?紙袋を開ける時に、剥がしやすいようにお店の方が気を使ってくださっているんですよね。
また、カフェで飲みものを頼んだ時、ストローの口の方だけ袋が残っていることがあります。お客さんが口をつける部分が何かに触れないようにという、衛生面での配慮です。
もっと日常的なものだと、シャンプーの詰め替えパウチ袋は、使いやすいように進化しています。詰め替えができた初期のころは、単なる袋状のパウチでした。それが、注ぎやすいように切込みが入ったもの、注ぎ口がキャップで残りが保管できるものなど、使う人、使う状況に合った形状に進化してきました。
これらの小さなこだわりや愛を「当たり前」だと受け取ったら、心が動くことも優しい気持ちになることもないでしょう。「考えてくれているんだなぁ…」としみじみ感じられたほうが、少し温かい気持ちになれますよね。
ただ、そもそも気が付かずにスルーしていることもたくさんあると思います。
また、収納はちょうどよく入ればいい、テープなんて剥がしにくければ切ればいい、と考えていれば、そこに込められた愛には気付きません。
逆に、世の中が便利になりすぎているせいで気付けないこともあると思います。便利で当たり前、使いやすくて当たり前、という世の中で過ごしていると「込められた気遣い」にまで、なかなか目が向かないですよね。
それでも、世の中にある小さな愛を、どれだけ見つけられるかによって自分の幸せ度が変わってくると思います。使う人のことを考えてくれている、便利になったと思えた方が自分も嬉しいですよね。
物理的に幸せな出来事が勝手に増えることはありません。でもそこにある「実は優しいこと」に気が付ける自分になれば、感じる幸せは増えますよね。心遣いに気が付くたびに感謝の気持ちが湧きますし、ほっこり温かい気持ちになります。
大げさなことはできなくても、こだわりや優しさがあることに気付ける余裕を持っていたいと思っています。
無印収納の角は大きな感動と学びを与えてくれた
無印収納の角へのこだわりは、数ミリの隙間すら気になってしまう収納好きの私にとって、とても大きな感動でした。
収納好きの方、無印良品の良さを知っている方にとっては「何をいまさら」かもしれませんが、自分自身で気が付いたことが大きな収穫で大事なことなんだと思います。
無印良品に限らず、これからも私の収納好きは続いていきます。
自分なりのこだわりは大切にしながら、世の中にちりばめられた小さな愛を、一つでも多く見つけられるように過ごしていきます!