もし、いま
目の前に在る世界が、自分の想像したものだったら。
窓を開けて「今日は晴れだね」
庭に遊びにくる野良猫は、今日も気持ちよく日向ぼっこ
大切に水をあげている花が一輪咲く
何気ない日常はつづく。
人混みのなかで、コーヒーを片手に歩く女性も
路上で歌っている夢追いびとも
いつも横を歩いてくれる、大切なひとも。
全ての存在が、自分の頭の中で創り出されているものだとしたら ————
こんな想像をすると、少し楽になる。
というか、わたしって変だな、と我ながら思う。
それでもこの想像は、ふとした瞬間に浮かんでくる。
この瞬間だけは、世界を好きな方向に動かしながら楽しんでいる。
夕陽が美しい日。今日はどこかの神様の機嫌が良いんだな。
いや、わたしが部屋の掃除をしたから、これはきっとご褒美だ。
いつも混んでいるお店に、並ばず入れた。
きっと今日は混まないように、お店に来る日をみんなが調整してくれたんだな。
全部ぜんぶ都合よく考えていく時間は、案外楽しい。
実はこれ、嫌なことがあったときにものすごく役に立つ。
いま起こっていることは、想像の世界。
何があっても、わたしは安全に守られ
時間が経てば、思った通りの世界が向こうからやってくる。
そう考えると、時間に身を委ねることが、少しだけできるようになった。
時間が解決するって、よく聞くし。
こんな風に、わたしはわたしの機嫌をとっている。
「生きるの、少し上手くなった?」と、思わず自分自身に尋ねてしまうほど。
—
ではもし、この世界を自分の手でつくり上げられるとしたら。
自分の身の回りに在るもの、ひと、空間、出来事。
いまここで、細かく想像してみて。
ああ、私ってこんな生き方をしたかったんだ。
こんな場所で暮らしてみたいんだ。
こんな人たちに囲まれたいんだ。
そちらの天気はどう?
風は吹いている?
想像した世界で生きるわたしは、どんな気分?
ほら、世界は思い通り。
好きな場所で、好きな時間で働く。
なんて、街中でよく耳にするけれど
そんなことはどうだっていい。
好きな場所で、好きなタイミングで人生を拡げ
自分の人生を ”美しい” と感じられる瞬間を積み重ねる。
まだ見たことのない景色を見たり
美味しいものを食べたり
愛するひとたちと触れ合ったり
安心する空間や
心が動かされた経験や
欲望に素直に動いた瞬間が
自分にとって、心地の良い世界を描き出してくれる。
さあ、一歩だけ、外へ出てみて。
見られる世界も、素肌で触れられるものも
いまここで感じられるものを、ぜんぶ受け取ろう。
大丈夫。
今日もきっと、思った通りにいく。
プロフィール
河西 歩果
1996年生まれ、山梨県出身。
フリーアナウンサー、ヨガブランド ” iha ” ディレクター、ヨガインストラクター。
過去には「news zero」キャスター、「Abema news」報道キャスターなどに出演。
現在は人事、イベント企画、ライティング等、フリーランスとして活動中。
2020年末に帰郷し、東京と山梨の2拠点生活をスタート。
山梨では果樹農業に従事しつつ、FM局でラジオDJを務め、「女性が自分軸で生きる大切さ」を伝えていくことを目標としている。