ドローンスクール東京のドローンスクールで身につく「実践」と「許諾」
―ここまでドローンの魅力について伺ってきましたが、そのドローンを専門とする「ドローンスクール」いったいどのようなものなのでしょうか。
鈴木:シンプルに言えば「ドローンを安全・安心に飛ばせるようになるスクール」です。
ドローンを飛ばすには「実践」と「許諾」という2つのスキルが必要になります。「実践」とは、平たく言うと操縦技術です。おそらく「ドローンスクール」と聞くと多くの方はこの力だけを身につけられる場所だと思うのではないでしょうか。
―そうですね、正直そう思っていました……「許諾」とは、どういったことなのでしょうか。
鈴木:「許諾」と表現したのは、ドローンを飛ばすときに国土交通省や警察に対して許可を得るための事務手続きをそつなくこなせる力です。実はドローンは好き放題飛ばしていいわけではありません。しかしドローン講座・スクールと呼ばれるものの多くは、操縦技術を教えることに重きが置かれ、そこに対するケアが手厚くないんです。ドローンスクール東京に在籍しているインストラクターは依頼を受けて都心部などの人口集中地区でドローンを飛ばす機会も多く、「許諾」についても丁寧に教えられるところが強みです。
鈴木:ちなみに、法改正により2022年12月にはドローンの操縦資格が国家資格になる予定で、ドローンスクール東京を卒業すると、資格取得に必要なプロセスの一部を免除されますよ。
―ただドローンを広めるだけならドローン販売等から始める選択肢もあったと思うのですが、なぜ初めに「ドローンスクール」に注目されたのでしょうか。
鈴木:いえ、その観点で言えば、僕にとってドローンを浸透させる有効な打ち手はドローンスクール一択でした。
ドローンを広めていくには3つのアプローチがあります。それは、「機体生産・販売」「アプリ・ソフトウェア開発」「パイロット育成」です。でも、「機体生産・販売」「アプリ・ソフトウェア開発」はドローンの需要がなければ市民権の拡大に貢献できません。であれば、「パイロット育成」から手掛けるのが最も合理的だと考えました。
鈴木:また、「ドローンスクール東京には人に教えられるほどドローン操縦のスキルが高い人材が集まる」と知られれば、ドローンを使用した業務の依頼も舞い込んできます。すると、その依頼を受けたインストラクターは経験値が上がり、より実践的な内容を受講者に伝えられるわけです。
なので、ドローン業界にいい循環を生み出すためにも、はじめはドローンスクール一択でした。
―なるほど……それで、実際にスクールを開校するわけですね。
鈴木:はい。でも、いくら「パイロット育成からやるべきだ」と頭でわかってはいても、「ドローン? なにそれ?」くらいの状態だった日本では、やはりハードルは高かったですね。創業の場所は江東区にある倉庫の一角でしたし、「吹きさらしの知らない倉庫で知らないものについて学ぶために数十万円出そう」とはなりませんよね。
その時に、「夏は暑くて虫も出るし、冬は寒い……そんな環境じゃなくて、もっとみんなが楽しめる場所にスクールを開けばいいじゃないか」とお台場のヴィーナスフォートにスクールをオープンしました。
―そうして、「商業施設初のドローンスクール」がオープンするわけですね。
鈴木:開校までには批判もありました。当時ドローンに興味を持っていた人のほとんどはラジコン愛好家で、彼らは「河川敷や原っぱなどの”モノが壊れない広い場所”がいいに決まっているんだから、倉庫のままでいいじゃないか」と。ただ、お客さまに喜んでもらうためにはどうすればいいか考えた時、同じお金を払うなら便利で快適な場所がいいに決まっているじゃないか、と思わずにはいられなかったので、反対を振り切って開校しました。
―すごいモチベーションだったんですね……その原動力は何だったのでしょうか。
鈴木:何でしょう、「自分のやっていることは間違っていない!」という確信があったんですよ。資金が足りなくて経営が危機的な状況になっても、こんなに可能性に満ちたものが広がっていかないはずがない、と信じてきたからこそ今があります。創業当初シェアオフィスで共に働いていた企業がお客さまを巻き込んでいくために試行錯誤しているのを見て、「こうやって人の心を動かすのか」と学べたのも大きいですね。
それに、倉庫で運営していた頃から受講者・従業員は少なからずいたわけで、彼らにとってドローンスクール東京が諦めることは「卒業した母校がなくなること」と同じです。彼らを絶対に裏切りたくないという想いがありました。
卒業生をも魅了するドローンスクール東京
―ドローンスクール東京のドローンスクールと他企業のドローンスクール、最も異なる点はどこになるのでしょうか。
鈴木:施設要件ですね。きれいさ、快適さ、便利さ、楽しさ。それらが感じられる場所でスクールを運営しています。そのわかりやすい例が、「商業施設内のドローンスクール」ですよね。こういう施設内でドローンスクールを運営しているのはドローンスクール東京だけなんです。空調設備などに関わる水道光熱費や賃料など、商業施設に出店するにはどうしてもコストがかかってしまいますから、そのデメリットを避けたい考えは、運営サイドとしてはよくわかります。
鈴木:でも、せっかく自分たちのスクールに来るために時間を割いていただくなら、ついでにドローン以外でも楽しんでいただきたいじゃないですか。商業施設ならいつもとはちょっと違う食事ができて、気になっていた服も買えて。それでアクセスもよければ「仕事終わりに来ようかな」と自然に思えます。実際に受講者に「どうしてこのスクールを選んだの?」と尋ねると、一番多く返ってくる答えは「ここが便利で通いやすかったから」ですしね(笑)
―夜、仕事終わりくらいの時間に開いているドローンスクールというのも珍しいような気がします。
鈴木:だと思います。それに、毎日講座を受けられる体制が整っているスクールもかなり珍しいと思いますよ。さらにドローンスクール東京では、インストラクターが全員正社員なので、スクールに常にインストラクターがいる状態を作りやすいんですよ。もちろん人件費もかかってしまいますが、その体制を整えておいた方がより多くのお客さまに応えていけますし、ドローンスクール東京の、そしてドローンの普及にも貢献できますから。
この姿勢があるからこそ、今や業界全体で1500ほどあるドローンスクールの中で、卒業生数トップでいられるのだと自負しています。
―ドローンスクール東京のインストラクターは半分以上が受講者と伺ったのですが、これは卒業生が多いがゆえなのでしょうか。
鈴木:もちろんそれもあると思います。でも最たる理由は、「受講者にいかに喜んでもらうか」を最優先に考えるインストラクターからドローン操縦を学ぶ中で、「自分もドローンスクール東京でこんなインストラクターになりたい」と思っていただけるようになるから、ですかね。
うちのコースは最短3日間で資格を取得できるのですが、その間インストラクターがつきっきりで受講者をサポートします。そうすると、インストラクターと仲良くなって深いところまで知ることができて、より身近な憧れになっていきます。
鈴木:新宿マルイ メン・渋谷マルイのインストラクターに至っては全員が卒業生です。
ドローンスクール東京の卒業生が自らの経験を活かして受講者に寄り添って指導して、受講者が卒業してドローンスクール東京のインストラクターになって、受講者に寄り添って指導して……というサイクルが生まれているのはドローンスクール東京ならではの特徴だと思います。
ちなみに、自分のインストラクターが教えている他の受講者と仲良くなって卒業後にドローンに関するイベントを開くなど、インストラクターがハブになって受講者・卒業生の絆が深まっていくのもドローンスクール東京の特徴ですね。
―「ドローンスクール東京に来たからにはこうなってほしい!」といった想いをぜひ伺いたいです。
鈴木:もちろん「誰よりも操縦がうまくなってほしい」などもありますが、一番は楽しみながらスキルをつけていただいて、卒業するときに「このスクールでよかった」と思っていただきたいです。うちのインストラクター陣はそう思わせることができる経験豊富な「プロ講師」ですし、その多くはドローンスクール東京に関わり続けたいと思ってくれた卒業生ですから。
―そうしてスクールを中心にドローンを日本社会に広げ続けるドローンスクール東京の、次の目標・ビジョンとは何なのでしょうか。
鈴木:ドローンに関連するトピック・領域すべてに、常にドローンスクール東京が登場したいです。いわば「ハブ」ですね。
ドローンスクールを立ち上げた理由に重なりますが、ドローンスクール東京の卒業生が何千・何万と増えれば増えるほど、ドローンパイロットを探す会社はドローンスクール東京を訪れるし、ドローンの機体・ソフトウェアを扱う企業も効率を求めてドローンスクール東京に働きかけるでしょう。すると、ドローンに関するあらゆる情報が集まるようになり、常に最高品質のドローンスクールであり続けられます。だからお客さまの満足度が高まって、評判を聞いて受講者が増えて、卒業生はドローンに関する相談をドローンスクール東京にして……という構造を作れます。
私たちがドローンと人、今と未来をつなぐ「ハブ」になれるのは、そう遠くないと思っています。
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