農家さんの”こだわり”を伝えるために。FRUITESTは、完熟の香りを世界へ  【前編】

2022.01.27
FRUITESTは「日本が誇る最上級の完熟果物」を独自技術のレア・ドライでお届けするブランドです。生産者のこだわり、果物の本当の美味しさが伝わるように苦心する先には、何を見据えているのでしょうか。経営者の有井誠さんにお話を伺いました。
ブランド
フルーテスト / レア・ドライフルーツ
ブランドが大切にしている想い
顔の見える関係
Craftmanship

日本の農家の「狂気的」なこだわり

―FRUITESTは「日本が誇る*最上級の完熟果物」を提供していますが、日本の果物の特長は何でしょうか。

 

有井:農家さんの「ものづくり」へのこだわりが表れているところですね。日本には例えば生食用ブドウだけでも5000種類以上あると言われています。それでも、毎年更なる美味しさを求めて日夜改良が繰り返され、新しい品種が生まれています。加えて、同じ品種でもどこまで丁寧に作るかによって味や香りがまったく変わってきますが、その品種数・丁寧さの2つが海外と比較してもずば抜けていると思っています。

あと、本当にこだわっている農家さんって、畑も果実も美しいんですよ。FRUITESTがお世話になっているブドウ農家の方の畑を訪れるたびにそれを感じます。

葉同士は隙間の空きすぎないぎりぎりの距離感を保っているので、畑全体はレースのカーテンを引いたかのような程よい明るさです。なっている果物も横から見るとガタガタしていなくてきれいに一直線で、果実に栄養が偏りません。房づくりも徹底的で、少しでも形がわるいと出してくれません。よく「ブドウは上の方が美味しい」なんて聞くかもしれませんが、すごい作り手のぶどうはどこを食べても美味しいんですよね。工業製品ではないのに完璧にコントロールできているのは、実がなっていない状態から完成形を見据えて、広大な畑のブドウ一房ずつを盆栽のように剪定するからで……これはもう狂気の沙汰です。 

 

―農家さんがそこまでのこだわりを持つ理由は何だとお考えですか?

 

有井:職人気質、だと思っています。私はものづくりにも携わっているので、日本・海外どちらのメーカーとも付き合いがあります。その中で、分野にかかわらず日本の作り手はこだわりすぎるあまり、時には求められている以上のクオリティになることもあります。果物で言えば、それはお客さんに「美味しい」と思ってもらうためのこだわりであって、それを探求心が加速させています。

ものづくりで日本が目指すべきは、「世界で一番売れている」ではなく、「世界一高い品質でお客さんの期待を超える」だと思っています。なので、FRUITESTも農家さんのこだわりを表現できるよう、レア・ドライという製法をとっています。

 

―レア・ドライというのは?

 

有井:生でもなければ、完全なドライフルーツでもない、旬の風味と香りを最大限引き出すための製法です。このレア・ドライであれば、最上級の果物の「香り」がきちんと感じられます。

世間では、果物の美味しさを測る指標として糖度が重視されていますが、「作り手×品種×熟度」がそろった最上級の果物と他の果物で一番違うのは「香り」なんです。

それに、香りは果物が植物として種を広げるために出すものであって、だからこそ完熟して初めて真価を発揮するんです。香りは理性を通らず直接感覚に結びつくので、違いがダイレクトに感じられるんですよね。 

 

―1人だけしかプロフェッショナルがいない、ということは難易度がかなり高いのでしょうか。

 

有井:そうですね……加工というより料理に近いんですよ。例えば、ブドウや桃も品種によって皮が厚い・薄いがありますし、モノによって違うからこそ「何度で何分乾燥させる」などを一律で決めていません。目の前の果物に合わせて、毎回違うレシピで作っています。画一的でなく、ただ生感と完熟の香りが残っている状態をレア・ドライと呼んでいるだけで、この難しさがFRUITESTでしかできない体験につながっています。

やってみたら思ったより大変な、気の長い話で。そもそも基本的に果物の旬は1年に1回で、かつこの農家さんでこの品種で……と限定していると、試作に費やせるのは年に数日から1週間程度です。しかも、農作物なので「今年は天候不順で出せない」とかもありますし。

そこで試作してうまくいかなかったら来年に持ち越しですし、加工自体がうまくいったとしても賞味期限などが目標に達しているかは別問題で……加工業者からしたらかなりクレイジーな製法のようです。でも、果物の品質・加工方法に妥協しないからこそ、FRUITESTならではの美味しさを提供できていると考えています。 

 

ラインナップで日本を表す。FRUITESTの目指す理想

―FRUITESTはフルーツの最上級として作り手・品種・熟度にこだわっていると伺いました。では、扱う品種はどのように決めているのでしょうか?

 

有井:いくつか軸はありますが、一言で表すなら「美味しいもの」です(笑)

方程式のような統一基準があるわけではなく、次々開発される品種から、自分たちが実際に味わったうえで美味しいと感じたもの、かつ入手難易度が比較的高いプレミアムな品種を中心に扱っています。もちろん問い合わせフォームから連絡をくださる方もいるのですが、自分が食べて、お話を伺って、こだわりが詰まっていると感じたら、その農家さんとお付き合いしています。こだわっている農家さんって、やっぱり「完熟の香り」を大事にされているので、熟度や香りの話で自然と盛り上がれるんですよ。

また、今はつながりの多い山梨の品種中心ですが、本当は日本全国の果物に手を広げたいと思っています。地域の分散性、季節感をラインナップで表現したいですね。

 

―ラインナップを広げるうえで「お客様と共創していく」ことを目指されているそうですが、どのように増やされているのですか?  

 

有井:最近はFRUITESTに共感してくださった農家さんの持ち込みが多いですが、これからはお客さんから「これをレア・ドライにしてほしい」と言ってもらえる仕組みも取り入れていきたいです。試作の段階から試食会を行ってフィードバックをいただきたいですが、試作できる回数自体が少ないこともあって、なかなか実現できていないんですよ。 

 

有井:また、お客さんがいつでもFRUITESTを楽しめるよう、20種類くらいの果物が常にあって、1つが売り切れた頃には次のシーズンの果物が出て……と入れ替わる状態に早く持っていきたいです。だからこそ、僕が見つけてくるだけだと数に限界がありますし、農家さんやお客さんと共創関係を作らなければいけません。「UPCOMING」といった予定もどんどん出して、「これ食べてみたい!」などの声があればそれの開発を優先的に進める、みたいなこともしていきたいですね。

また、日本全国いろんな品種の色んな果物がありますが、当然私が全部知っているわけではありません。ネットにも情報が出ていない、市場に出回らない品種もありますし、情報に双方向性があって初めて、知る人ぞ知る品種を全国から集めてお届けできると思っています。

 

―FRUITESTの商品でこういう時間を過ごしてほしいな、といった理想のシーンなどはありますか?

 

有井:初めはわかりやすくパーティーのような場面ですかね。家に人が来た時に何種類か缶を開けて、白ワイン飲んでいる人ならシャインマスカットだね、みたいに合うものをペアリングして、「これも合うよ!」と言い合ってほしいです。あとは、一人でゆっくり、自分へのご褒美として味わっていただくのも嬉しいですね。実は、お酒とのペアリングって香りがない物には難しいんですよ。完熟の香りをそのまま感じられるFRUITESTだからこそ出来ることで。未来の話になりますが、例えばバーなどでも手に取っていただけるようになれば、そこで本当に美味しいお酒と合わせて、豊かな時間を過ごしていただきたいですね。ワインでも、日本酒でも、スコッチでも……

 

*FRUITESTの考える「最上級」:「おいしい”品種”を、熟練の”農家”が情熱をそそいで育て、”完熟”のタイミングで収穫したもの」 

Text by 5PM編集部

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フルーテスト / レア・ドライフルーツ
日本が誇る完熟果物の”新しい楽しみ方”を提案する、国産・完熟果物のレアドライフルーツのブランド。
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