もくじ
「日本らしさ」で、海外に情緒的な暮らしを届ける
―Komonsで香り以外にもこだわった部分はどのような部分なのでしょうか?
有井:「人にも環境にも優しい」を掲げる中で何を取捨選択するか、ですね。安く済むからケミカルなものを、ではなく、費用が掛かっても品質の高いものを使う、などです。
また、ある意味では「分かりやすさ」も犠牲にしたことの1つだと思っています。例えば「100%〇〇使用」と打ち出すと、称賛の声と同時に「本当に?」と疑われて、信頼性が揺らいでしまいがちじゃないですか。だからこそ、Komonsはそのような特徴がありながら、わかりやすさだけを考えて「100%植物性」と打ち出さないことが、逆に重要だと考えています。
―Komonsの由来は江戸小紋とのことですが、コンセプトと重なる部分があるのでしょうか。
有井:贅沢禁止令で無地の小物を着るよう言われた町人が、遠目では無地、近づくと模様が見えるようにデザインしたのが江戸小紋です。無地のものを着ろ、という幕府の命令が、大手数社の選択肢しかない食器用洗剤の今と重なると思っていて。
しかも、江戸小紋は普段着なのに型紙一つひとつ作っていて、そこまで労力をかけて毎日を楽しむ「日本らしさ」を突き通す心意気をKomonsでも意識しています。ゆくゆくは、こうした日本のよさを、モノをベースに海外へ伝えたいと思っていますね。
有井:日本の、経済的には合理性のない職人魂がいいんですよ。「質より量」のモノづくりでは、他の国に勝てません。そういったモノでは満足できないこだわりの強い世界中の人をファンにしていくことが大事ですし、それができる製品を作りたいです。
―海外展開のビジョンなども、伺ってもよろしいですか?
有井:Komonsはもともとアジアを中心にした海外に展開していきたいと考えてつくりました。そのためにデザインや香りなどの部分で、国内でうけるものよりも、アジア圏でうけるものを意識しました。その意味でようやくはじまった台湾での展開についてはとてもワクワクしています。現地にはまだホームケアブランドがほとんどなく、これから市場が出来上がっていくタイミングなので、台湾におけるNo.1ホームケアブランドを目指したいと思っています。
日常に情緒的な価値を求めるのは、衣食住が満たされてからです。なので、台湾を足掛かりに海外でKomonsが一定の知名度になってから、今満たされていない人が5年、10年後に「生活の質」に目を向けたときKomonsに出会ってくれたら幸せですね。
大事な人が心地よいと感じる香りで、誰かの毎日を豊かに
―機能で選ぶことが多いホームケア製品で目指す、情緒的な価値とは何でしょうか?
有井:使っているときの心地よさです。食器用洗剤やトイレ用洗剤でテンションが上がることってめったにありませんよね。でも、毎日やらなければいけない家事にかかわるのに、機能価値だけ求めて情緒的な価値は求めない……これが当たり前って、よく考えると不思議じゃないですか? シャンプーや化粧品は香り・デザインが重視されるじゃないですか。それと同じで、毎日触れるものなら楽しい方がいいに決まっています。
有井:ちなみに、私は各商品の香りを決めるにあたって「子供・妻・自分がいい香りと感じるか」というのを最終的にはよりどころにしています。好きな香りは、人それぞれ。なので、せめて身近な人と自分が好きな香りにすれば悔いはありませんし、自分たちが好きだと思った香りを世の中の1%……いや、0.1%くらいの人が気に入ってくれれば、それでいいかな、と。
また、これは直感なのですが、森林浴が嫌いな人がほとんどいないように、天然のものだけで作ったら実は嫌いな人ってあまりいないんじゃないかな、とも思っています。
―今後、商品カテゴリを増やすことはお考えですか?
有井:香りを演出するプロダクトやキッチン雑貨をはじめ、家事にかかわるモノ全般を展開したいですね。ルームスプレー、モイストポプリ、キャンドル、エプロン、鍋つかみ、トイレブラシ……たくさんありますね(笑)
ラインナップがブランドを体現すると思っているので、スピード感を持って展開したいです。「この製品の香りが好きだから、じゃあ他もKomonsで……」とホームケア用品一式をKomonsで揃えていただけたら嬉しいですね。
―Komonsで実現したい理想の状態とは、どのような状態でしょうか。
有井:気持ちが前向きになるKomonsの洗剤で、皿洗い・掃除・トイレ掃除からおっくうな部分が減り、毎日「心地よさ」という要素が入ってきます。それだけでも日々の暮らしは変わってくると思いますし、また、ファブリックミストをスプレーすれば、毎日着けるのが面倒だと思っていたマスクも、着けるのが楽しみになります。こうしたプラスが日々積み重なることで、気持ち的な豊かさにつながるこ とが理想ですね。
「今週末は旅行があるから、一週間つらいけど頑張って乗り越えよう」ではなく、目の前のことを毎日楽しく・気持ちよくすることに寄与したいです。
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