もくじ
目で、土地で、ストーリーで。楽しめるポイントにあふれたクラフトビール
―クラフトビール飲み比べサービスOtomoniは、世の中にあるビールのサブスクサービスとどのようなところが違うのか、教えてください。
金澤:違いが最も表れているのは、毎回違うクラフトビールを6本セットでお届けする定期便です。ビールのサブスクはメーカーさんの提供するものが大半で、届く製品もそのメーカーさんが製造しているビールだけです。でも僕らにはその縛りがないので、世界中・全国各地から色々なクラフトビールを集めて、毎回違うセットをお客さまにお届けできます。
もう好きなビールが決まっている方はそのメーカーさんのサービスで満たされますが、「クラフトビール興味あるけど、“好きなものがこれ!”と言えるほど日常的に飲む習慣はない」という方が、うちを特に愛してくれます。
―金澤さんの考えるクラフトビールの良さとは何でしょうか?
金澤:「楽しむポイントが多い」ところですかね。普通のビールは、仕事終わりや料理のときに缶をプシュ、のようにある程度シーンが決まっていて、想像を超える楽しさは生まれづらいです。かつての私なんて「ビール=付き合いで飲む1杯目のお酒」と思っていて、自分から飲みたいなんて思ったことありませんでした。
でもクラフトビールは、大量生産されていないからこそのこだわりがあります。ラベルはユニークでかわいいし、注いだ後の色も白から真っ黒・ピンク・青まで。目で楽しめるのはもちろん、作り手さんがどういう土地で育まれた原料を使っているのか、どういう想いで作っているのかなど、ストーリーも楽しめます。しかもそれが全国各地で作られていますから、まるで旅のように各地に想いを馳せることができます。
金澤:あと、クラフトビールはどれも好みが分かれるのが面白くて、思ってもいないものが好みだとわかったり、「こんな料理が合うのか!」と相乗効果を生むペアリングを発見できたり。こうして掛け算的に楽しみながら、知ったことを話題に友人や家族とも楽しさを共有できます。
ーでは、Otomoniを通じてユーザーはどのようにクラフトビールを楽しめるのでしょうか?
金澤:はじめはバラバラのスタイルのクラフトビールをお送りして、ヴァイツェンやIPAなど、ビールにはいろんな種類があるんだぞ、ということを知って楽しんでもらいます。知っていただいた後は、アプリを通じてレビューをいただきながら、その方が好きそうなものにパーソナライズされていきます。
1700種類以上を扱っていますので、お客さまのご要望がない限り同じものは届きません。新作や限定品、飲んだ人がまだこの世にいないビールもお届けしているので、クラフトビールとの新たな出会い・発見を楽しんでもらいたいです。お客さまからも「普段の自分なら手に取らないような商品が届いて、しかもそれがおいしかった!」というお声をいただきます。
「ふたりのみ」は可能性の1つ。クラフトビールの掛け算は無限大
―このサービスは、初めは「Otomoni」ではなく「ふたりのみ」という名前だったと聞きました。「ふたりのみ」が生まれたエピソードをうかがってもよろしいですか?
金澤:きっかけは、春でした。娘が保育園に通い始めたタイミングに妻が復職したのですが、復職自体も大変なところに、環境の変化で娘も体調を崩してしまい、忙しさから妻と私もストレスを溜めこんでしまう時期がありました。そこで、夫婦仲を改善するために、試しに週末2人で飲む時間を設けて近況を伝えあおう、というアイデアが出まして、一緒に楽しめるユニークなお酒・おつまみを調達するように。
すると、子供が寝た後のゆっくりした時間にリラックスして話す中で、ストレスの原因は何で、何を改善すればいいのかがわかってきて。普段は口にしないお酒やおつまみが、日常から離れる心地よいひと時を演出してくれました。
―その経験から「ふたりのみ」としてこのサービスが生まれたのですね。そこからOtomoniに名前が変わったのはなぜしょうか?
金澤:サービス名を変更した背景には2つの要因があります。1つは、サービスの世界観を作りこむなかで、「1人でもおいしくお酒を飲みたい」「時間を合わせるのが難しい時もお酒は飲みたい、でも相手に悪いしやめとこう」と、2人の時間以外にもこのサービスを利用したい方が多いと知ったことです。そこで、「ふたりのみ」に限定しないことで、むしろ結果的には2人にとって使いやすくなるのでは、と思い至りました。
金澤:もう1つは、予想を超えたクラフトビールの可能性が見えてきたことです。初めは、「バリエーションが豊富でライトに楽しめるのに入手難易度の高いクラフトビールから可能性を確かめよう」くらいの気持ちでした。でも、「今日はお鍋にこれを合わせました」などペアリングを楽しんでくださる方や、「公園で飲んでみたら気持ちよくて2時間過ぎていました!」なんて方が現れてきて。そこで、「クラフトビール × ○○」の掛け算には無限の可能性があって、2人で一緒に飲む時間はその1つに過ぎないと気づきました。
こうした背景から、「誰とともに」「何とともに」「どんな場所とともに」楽しむのか。その掛け算は人それぞれでいいよね、と可能性を広げたコンセプトOtomoniが生まれたんです。
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