"欲しい物"こそ最高のデザイン。Yourniture.の、人を想うパーソナライズ家具

2020.11.27
Yourniture.は、自分の欲しい家具をデザインしてくれるパーソナライズ家具ブランド。テクノロジーと家具を通じて「次のスタンダード」を作るためにYourniture.を立ち上げた和田さんと、オペレーション担当のヨセフさんにお話を伺いました。
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人の暮らしが多様化する時代、その人が欲しいものこそが、最高のデザイン

─和田さんの手掛けるブランド「Yourniture.」とは、どんなサービスなのでしょうか?

 

和田:一言で言うと「これがいい、をカンタンに」というサービスです。大勢の人が必要としているものって、もうすでに全て存在していると思うんですよ。何かを探そうと思えばいくらでも探せる。

だけど、そんな世の中でまだ浸透していないのが、もっと「自分」を大切にした考え方だと思っています。「自分の夢を諦めない」「徹底的にこだわる」「自分が自分であることを、しっかり意思表示していく」ということを、家具で叶えるために立ち上げたのが「パーソナライズ家具」のブランドYourniture.です。

 

─なるほど、そうしたコンセプトはブランド名にも込められているのでしょうか?

和田直希

 

和田:「Yourniture.」は“Your(あなたの)”と“Furniture(家具)”を組み合わせた造語で、文字通り「あなたのための家具を作ります」という意味です。ここには、「あなたのために作る家具が、あなたにとって最高のデザインです」というメッセージが込められています。

もちろん『ミラノサローネ』(世界最大規模の家具見本市)に行けば素晴らしい家具はあるけど、それが日本のワンルームで一人暮らしをしている人にとって素晴らしいかどうかは分からない。人の暮らしが多様化している以上、家具も多様であるべきですし、そうやって考えていくと「その人が欲しいものこそが、最高のデザイン」ということに行き着いたわけです。

最後に「.(ピリオド)」が入っているのは、家具の最終形を目指している僕たちの意気込みが込められています。ちょっとロックな感じになってしまいますね(笑)

家具としてはこれ以上進化する必要がないものを、テクノロジーを通して実現していきたいと思っています。

 

─サイズや色を変えている間にリアルタイムで金額が変わるサイトのシステムに驚きましたが、まさにテクノロジーの力ですね。なぜこうした仕組みを考えられたのでしょうか?

「Yourniture.」サイトのカスタマイズ画面

 

和田:昔インドネシアで家具のOEM工場をやっていた時に、「良いものを安く作れる」と話題になり、見積もりの依頼がたくさんきたことがありました。ところが、インドネシアには雨季と乾季があり、木材は湿度によってカットサイズが変わってしまうんです。

なので、その都度見積もりを出すことも難しく、時間がかかってしまうので、「これはもうロボットにやってもらえないかな」と。とはいえパターンとしても何千通りあるはずなので、しっかりとアルゴリズムを組んで、自動化させたほうが便利だろうと考えたことがきっかけです。

その頃ちょうどNIKEさんが、シューズをカスタマイズする「NIKE ID」を立ち上げるなど、一人ひとりのこだわりを実現する「パーソナライズ」という言葉が注目され始めていました。1センチ単位でサイズを変えて、色も選べて「こだわりの家具」をカスタマイズできるサービスは、きっと10年後には当たり前になるんじゃないかと思ってワクワクしたことを覚えていますね。

個性を表現する、オーダーメイド本棚「MAIN SHELF」

 

─現在、Yourniture.で作れる家具は本棚とボックス収納の2種類です。なぜ机や椅子といった家具ではなく収納家具から始めているのですか?

 

和田:日本の家具の歴史を紐解いてみると、実は椅子やダイニングテーブルなどは明治以降に西洋から入ってきたものなんです。鎌倉時代~江戸時代は、家の中に土間があり、ものを収納する家具しかなく、それは「機能」のみで、椅子やダイニングテーブルのようにデザインを楽しむものでもなかったんです。

であれば、もっと機能的で、デザインを楽しめる家具として「収納家具」はまだまだこだわる余地がある。しかも、収納ボックスや本棚にとって大事なのは、自分の住む間取りにぴったりなサイズを探すことです。日本の家具を前に進める意味でも、「収納」からパーソナライズに挑戦してみたいと思いました。

 

 

 

10年以上使っていただく家具を作る、こだわりの素材

─商品の管理や販売、総務や人事など、Yourniture.全体のオペレーションを担当されているヨセフさんは、もともと有名家具メーカー出身と伺いました。なぜYourniture.に入社したのですか?

 

ヨセフ:以前、勤めていた大手家具メーカーでは、本当に多くのお客さまに家具を提供してきました。

しかし、自分自身がお客さま目線で買い物すると想像した時に、心から「自分の家具」と実感が持てたことはなかったんです。結局は、限られた商品の中から選ぶしかない。しかも、心のどこかでは「安いし使わなかったら捨てればいいか」という思いもあったと思います。それが嫌だなと思っていた時にYourniture.を知りました。「あなたのためだけの家具」って、すごく良いコンセプトだと感銘を受けましたね。

 

─大量生産・大量消費となってしまっている状況に、作り手としても違和感を覚えていたのですね。

和田:僕自身、やはり家具を作る立場としては、「作ったものを捨てられたくない」という気持ちがあります。もちろん、それはお客さまが判断することですし、良い家具でなければ捨てられてしまうのも仕方がないのですが、だからこそ、自分たちが自信を持ってご提供できるクオリティにしたいんです。

 

─特にこだわっているのは、どういった部分でしょうか?

 

和田:パーソナル家具ですので、2、3年ではなく10年以上使っていただこうと思い、「この値段で、この素材なんだ!」と驚いていただけるような良い素材を使っています。ただ、それはあまり表に出すのではなく、届いた時にお客さまに感じていただきたいと思っています。

 

─素材もこだわり抜いていらっしゃるのですね。

 

和田:あまり表には出していないのですが、永続性を保つサービスであることも心がけています。

パーソナライズさせて長く使っていただくこともそうですが、結局はサービス自身がサステナブルじゃないと続かないと思っているんです。例えば、材料はFSCやPEFCといった森林認証制度(持続可能な森林の利用と保護を図ろうとする制度)を運用した森林で伐採した木材を使用しています。ちゃんと伐採と植林の成長サイクルが管理された森林なので、伐採し尽くすことがない。そういうところから買えば、材料自体もなくならず、安定した調達が可能です。作り手としても森林を伐採してまでごみになるものは作りたくないと心がけています。

悪銭身に付かずじゃないですけど、ずっとサービスを続けていくには、そうやってちゃんと自分たちが自然の中の一部だよって気持ちを持ってやらなくてはというところにはすごくこだわっています。

   

─そうした取り組みについて、なぜ表に出してこなかったのですか?

 

和田:最近でこそ「サステナブル」という言葉が頻繁に使われるようになってきていますが、それより以前から取り組んできたので出そうという意識すらなかったんです。言葉を知ってからも、言わないことが「いぶし銀」だ、「サムライ」だという気持ちも、実はありましたけど(笑)。

 

プラナダ・ヨセフ

良いものを届けるため、相手にも自分に対しても「誠実」に

─ヨセフさんに伺いたいのですが、Yourniture.を利用するお客さまは、どういった意識・価値観の方が多いと思われますか?

 

ヨセフ:本当に様々なタイプのお客さまがいらっしゃるのですが、こだわりがあるところですかね。サービスにまだないサイズや形、穴、パーツなど、私自身も想像がつかないようなご要望をいただくことも結構あります。用途としても様々で、壁を完全にカラーボックスで埋めたいという方もいらっしゃいますし、仏壇の中に置くためにちょうど良いサイズ・色の家具が欲しいという方もいらっしゃって、お一人おひとりから強いこだわりを感じますね。

  

和田:お客さまからの要望、アイデアにはいつも驚かされ感銘を受けています。本当にユニークなアイデアがたくさんありますし、他の家具屋さんには絶対に相談しないようなこともおっしゃっていただけるので、それはこちらとしてもありがたいですね。次のサービス開発の参考にもさせていただいています。

 

─ユーザーとコミュニケーションを取る際に、お二人が気をつけていること、工夫していることはありますか?

 

ヨセフ:一般論かもしれませんが、お客さまがしたいと思っていること、叶えたいと思っていることに誠実に向き合うことです。例えば、同じような要望やお問い合わせ内容でも、そこにたどり着くまでのお客さまの考え方はそれぞれ全く違うわけで。そこにちゃんと向き合わず、表面的なやり取りで済ませてしまうことがないようにしていますね。

 

和田:「誠実」というのは、弊社のキーワードですね。相手にも自分にも誠実であること。「お客さまが満足するものを作りたい」と思って始めたことなのに、「作ること」自体が目的になるのは本当に嫌なんですよ。自分自身でも、忙しい時はつい要件を捌きそうになってしまうのですが、絶対にそうならないよう気をつけています。

─それでは最後に、Yourniture.が、今後どういったサービスになっていくのか教えてください。

 

和田:まずはラインナップを増やしていく予定で、今はテーブルを考えています。テーブルといっても会議用のデスクやダイニングテーブル、和室に置く卓袱台など色々な種類がありますし、例えば「四人がけ」といっても希望のサイズは人によって大きく異なる。そこをパーソナライズしてみたいと思っていますね。

その先で僕たちは、「Yourniture.が普通だね」とみなさんに思っていただけるくらい、パーソナライズ家具を当たり前にしていきたいです。当たり前だからこそ、「Yourniture.のデザインはクールだから使ってみたい」と思われないようにしたい。今ないものを当たり前にする、「次のスタンダードを作る」、そういう存在でありたいと思います。

Text by 黒田隆憲

Photo by 加藤甫

Edit by 黒田隆憲

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